六人は自ら立候補する。
「皆。男女構わない。1万pt。余裕に持っていると言う奴が居たら素直に手を挙げてくれ」
「悠馬。最低でも攻勢に転ずるならば必要なpt数を教えてほしい」
僕は少し動揺を隠せなかったが今、ざっと考えただけで計算し、そして最低限。本当に最低限の数字を及川に提供した。すると更に及川は驚きの発言をする。
「……攻勢に転ずるならば、最低でも戦艦はもう4隻。重巡洋艦に至っては艦隊の中核として活躍するので現在保有する中でも潜水艦、駆逐艦に次ぐ規模になって、15隻はほしい。軽巡洋艦も指揮系統などで最低5隻。駆逐艦はその分隊に加入するため最低30隻以上」
「潜水艦の場合は偵察、攻撃もかねるので50隻以上はないと攻勢に出にくい。なので……最低……」
言いずらそうにしていたら刀義さんが小さく言った。
「構わないわ。最低。何pt必要になってくるの」
「……六万は必然的に必要になるだろう。戦時急増型の量産、安価型を生産するなら三万か」
六万は欲張った数字で三万は本当に最低限必要な数字だ。戦艦や重巡洋艦はしっかりと建造しなければならない。また潜水艦も攻勢用、偵察用を更に建造すると三万ではとてもじゃあないが、足りない。
六万ptは現金に直すと六万円。この規模の大きさに皆沈黙する。
が、沈黙したのはほんの少しだった。及川が言い切った。
「悠馬。まず僕が君に1万pt寄付しよう。何。優勝さえすれば1万帰ってくるしその六万で建造された艦艇は後々役に立つだろう。さぁ!受け取ってくれ!」
及川はそう言うとスマホを取り出しptが貯められている画面から僕に向けて1万ptも送って来た。戦艦ならば1万もあれば五十隻は建造できるほどの金額。僕は動揺と焦りと共に及川に再確認する。
「……確かに受け取った。この六万は臨時建造費として受けとるが……本当にいいのか?」
「構わない。優勝すれば1万帰って来るんだ。何の問題もない。たとえ優勝を逃しても俺らには悠馬と言う強力な戦力がいる。どのクラスも太刀打ち出来ない海軍力を手にし俺らのクラスは今後安泰になるだろうと俺は願っている」
願っているてっそれ他人任せのような物だぞ。まぁ、受け取ってしまったからには最高傑作な艦艇を量産しなければならないな。
すると及川を皮切りに次々と名乗り挙げて来た。pt数は本当に集まってしまったのだ。
「あ、あの!私のも、どうぞ!」「私も」「悠馬君。私も寄付するわ。大事に使って頂戴」「俺も寄付しよう」「じゃ、僕も寄付するよ」「俺も……と言いたいところだが既に寄付者は六人を越えたな」
お前ら……本当にいいのか。寄付したのは及川、刀義、池田むつ、西村野洲、そして風間と寄付しようとしたが既に六人である事を確認した花丘だ。
また及川に続いて寄付をした西村さんが自身げに言った。
「私の予知によれば彼に寄付してもマイナスな事は一切ないと出たわ。小川君。君に一万を託すね」
いや、本当にいいのかよ。
しかし、彼女の発言後、周囲にいる女子達が「やすちゃんの予知は本当に当たるからねぇ」や「てっ事は優勝の可能性がこれで上がった!?」等と言っている。
そう言えば予知が使える女子が居ったな。成功率は本当に当たるのかは良く分からないけどね。
……分かったよ。お前らの期待に添えるように。今までよりも強い。最強の艦隊を整備してみせよう。この、六万で。




