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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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二人の改装審議。

 後日。夏休みに突入した7月下旬の昼下がりの教室に、悠馬は風間を召喚した。召喚した理由は勿論。現在悠馬が検討中である和泉型重巡洋艦2番艦、鈴鹿の二つの改装案で、どちらが一番最適かを審議するため、風間を召喚した。


 教室の窓ガラスから日差しが少し差しその日差しは窓ガラス側の列から2列半までを照らしていた。その列の中に僕の席は入る。夏休みと言う事もあり、蝉の声が元気良く鳴り響く。蝉のせいもあってか少しだけ夏の暑さを感じながら僕は風間が来るまでの間、持ってきた水筒の水を飲む。

 流石、冷蔵庫に5時間冷やしていただけはある。少量でも暑さを吹き飛ばすほどのこの威力。


 僕はこの水筒を暇なので「クラードリンク」と名づけ、また、喉が渇いたので少し注ぎそして飲んだ。冷たい。夏には本当に持ってこいの冷たさだ。この冷たさならカキ氷にも負けないと、個人的にではあるが確信できる。


 ガララッと教室のドアが開く音が聞こえた。風間。やっと来たのか。

 僕は手に持つ水筒を一旦、カバンの中へ詰めて代わりに鈴鹿の改装案のイラストが描かれたA4サイズの紙を一枚と筆箱を用意した。

 約束の時間より、僅かではあるが3分。遅れている。が、まぁこのぐらいの誤差は友人として許しておこう。流石に1時間以上は我慢できないけどな。


 風間は一旦カバンを自身の机の上に置いて椅子を持って僕の机の前に陣を取って座った。席に着くといつも通り眼鏡をクイッと直してその改造案を見つめる。

 改装案確認後、風間は僕の方に視線を向けて語り始めた。


 「一つ目の第一案。これは最上型のような……と、言うより艦橋や砲塔の数が違う最上型だね。で、第二案は砲塔を4基備えた航空母艦ときたか。僕はこの中ではどちからかと言えばやっぱり、第一案かな。火力は落ちるけど艦隊に随伴できて砲撃戦も一応出来る。僕はそこに注目したね」


 風間の意見は最もだ。実際に存在する艦がいるからこそ運用も安易に想像できて尚且つ第一案の改装案は安価で実現可能と言うのが大きい。また新兵装、新装備がこの第一案には実装されている。今後、中々期待できる艦型だ。それにかっこいいしね。

 決めた。第一案にしよう。


「風間も第一案か。じゃあ無難に第一案のような艦影になるように努力しようかね。それに数々の新装備、新兵装を載せて新たに生まれ変われる。最高じゃあないか」

「決まったかな」

「勿論。鈴鹿は本日よりこの第一案のような艦影として生まれ変わる事が今、決まったよ」


 風間は「そうか」と言い、椅子を持って席を立つ。椅子を自分の席に戻してカバンを手にして教室を出た。出る間際、「帰らないの」と聞いたので僕は「もう少し此処にいるよ」と言って、教室を出る風間を見送った。


 再び水筒をカバンから出してコップ一杯分まで入れると一気に飲み干した。飲み干した時、冷たさが体全体に染み渡った。そして、時刻が午後二時三十八分を過ぎた頃、席を立った。

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