表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇想の艦隊  作者: 置草茅
54/122

3人の激闘はここに幕を閉じる。

 鰊が沈む頃、軽航空巡洋艦手取は偶然にも1基の探照灯がヤトガミの足の部分を発見。僅かではあるが手取はヤトガミと判断しこれに攻撃を加えるため探照灯で目標を照らしつつ船体を左舷へ旋回させる。その一方で右舷に主砲を旋回。これでいつでも射撃が出来る体制が整った。


 数分後。手取砲撃開始。反撃が今、始まった。

 手取の砲声が唸る中、1隻の駆逐艦がヤトガミに向けて全速力で進むふねの姿があった。

 駆逐艦:大鮃おひょう。あれからヤトガミ本体を求めただひたすら最大速度55kmで前進する。

 55kmの快速に電探のみで進むがこの黒い霧には電波を妨害する粒子物があるため頼みの電探でも正確な位置は掴めず、此処に居るだろうと言う感覚で進んでいた。


 船体中央には射撃命令を待ち既に装填が終わっている3連装魚雷発射管が1基。いつでも撃ちだせるような状態で待機していた。


 大鮃の右舷前方31mに一つの赤い閃光が光った。この閃光は手取の主砲発砲により発生したもので既に戦闘が始まった事を大鮃は確信する。

 その頃、手取が放つ主砲弾が2発のうち1発がヤトガミの右肩に直撃。

 直撃したときの火花が周囲に散ってヤトガミは一旦、霧に身を潜めた。姿を消したヤトガミに対し、手取自身も身を隠すため、探照灯を消し、主砲に撃ち方止めの号令が下る。


 ヤトガミは手取より随分と離れた所に姿を現した。勿論、その黒い霧の中で。

 しかし、彼が姿を現したのは丁度、最大速度55kmで爆走する駆逐艦:大鮃の艦首3m手前だった。

 大鮃自身も前方に人影を確認して急いで舵を右へ切った。


 右舷へ旋回を始めた大鮃に対しヤトガミも反射神経で何故か同じ方向へ頭から突っ込んだ。

 大鮃は残り僅か2mの所で後進を指示。後進を始め魚雷が撃てるように最大速度で左舷へ旋回。

 探照灯による支援を受け、完全にその姿を捉えた大鮃は満を持して待機させていたその3連装魚雷発射管を左舷にあわせて右舷へ旋回。


 駆逐艦大鮃、満を持して魚雷を射出。射出された魚雷は水上艦からの攻撃としては初めての描写のため、まるで待っていました!と言わんばかりに大鮃の魚雷は投下された直後、ヤトガミに向かって時速110kmで爆走する。


 一度放たれたら逃れる道はなく、ヤトガミは魚雷1本を受けて気絶。保健室へ送られると同時にその黒い霧は嘘みたいに晴れた。一連の海戦が終わる頃、駆逐艦太刀風より旗艦松島に電報が打たれた。


 <我、多楽ノ仇ヲ討タレリ。>


 駆逐艦:太刀風はロリ神の後方80mに展開し左舷へ旋回。主砲による精密射撃を加えてロリ神は5発の主砲弾が直撃。ロリ神も同様に保健室へ転送され戦場から退場。

 ここにこの三回の海戦は幕を閉じ、同時に夜間に行われたライブ配信も終了した。


 しかし、海戦自体はまだ、終わっていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ