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奇想の艦隊  作者: 置草茅
50/122

対「えろはす」戦。

 えろはすの前を鈴鹿の艦首が見え始めたのは彼の腕時計が19:44を差したときの事だった。

 鈴鹿の主砲が見えた時、その砲身はこちらを捉えるように向いていた。

 艦首側には主砲は2基4門。連装砲で後部にも2基4門備えられている。その他の武装として連装高角砲が4基8門。えろはす側には2基4門。しっかりと向けられていた。


 ついに、えろはすが居る所に探照灯が灯された。光が近づく事を感じたえろはすはとっさに熊に出くわしたときの方法を思いつき実行した。

 死んだ振りである。

 本来、この方法を使うと熊が寄ってきて本当に死んでいるかどうか実際に噛み砕いて確認するらしいのだが、さて、鈴鹿相手に通用するのだろうか。


 探照灯が彼を照らしたとき鈴鹿は一旦、停止した。鈴鹿の機関停止に気がついた和泉も機関を停止する。鈴鹿が照らす方角に備え後部の主砲をトヨタ・86に向かい旋回を行う。

 一方、その頃、息を潜めていたが体制が悪く、ついに疲れきった表情で車にもたれてしまう。

 鈴鹿はそれを待っていたかのように機関を始動。


 和泉との衝突を回避するため少し右舷側によりつつ後部砲塔による砲撃を行う算段だ。

 その頃、後部砲塔は主砲を左舷側に旋回中。

 すでに装填済みでいつでも撃てる状態。えろはすは「しまったッ!」とまるでやっちまった!みたいな感じの声で言い直ぐに立ち上がり、地面を蹴ってその場からの脱出を試みた。


 彼が元の居た場所から離れようとしたときにはすでに主砲を旋回し終えた2基の連装砲がしっかりとこちらを向いていた。彼からしてみれば玩具のような大きさではあるがそれでも威力は本物。

 当たれば保健室送りとなる。そして。


 ドォォォン! ドォォォン!


 この戦いにおける最初の砲撃を鈴鹿が行った。砲弾はえろはすの右腕スレスレを2発が通過し、もう2発は頭上を通過した。そのうち1発は頭上より左側により着弾した場所は所有者が分からないトヨタ・86であった。小さい豆鉄砲みたいな砲弾なのに速度は異常に早く、そして1発だけでトヨタ・86と隣に停車していた車、数台を爆発に巻き込んだ。

 バァァァン!と爆発音が夜のゲームセンターに響く。


「ぐわッ!?」


 爆風によって思いっきり背中を押された彼は宙返りをしながらそのまま転がる。転がった先は別の停車している車に背中から激突。鈍い音が車と背中から鳴った。

 しかし問題ない。模擬戦が終わるか保健室送りになれば痛みはない状態になる。

 だが、今、立たなければ戦場から退場する事になる。


 ドォォォン! ドォォォン! ドォォォン! ドォォォン!


 立てないえろはすに向かい鈴鹿が4基の主砲を放つ。その間際。

 せめて鈴鹿にダメージを追わせようとえろはすはゆっくりと右手を伸ばし力を振り絞り思いっきり握った。その後、えろはすが居た場所は8発が着弾しえろはすは保健室送りとなった。

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