敵の潜水艦を発見ッ!
ー1階廊下にてー
1階廊下には3人の女子が楽しそうに歩いていた。右側にいるのは3組の宮本見附。左側には2組の古市綾部。中央で歩いているのは1組の石沢伊根だ。彼女らは中学時代からの仲で今もこうして関係を保っている。
すると宮本が何かを見つけたかのような仕草を取り石沢が聞く。
「何か向こうにあるの?」
「ううん。ちょっと変な音がしただけなんだけど……なんだろう、この音」
「見附ちゃんの力は千里眼とどんな音でも拾う力だからねぇ。これは何かが近くに居るてっ事だね」
「でも……何も聞こえないわよ?」
彼女らが戸惑うもの無理はない。宮本が拾ったこの音は彼女らからは見えない世界。次元を潜航し、今、偵察任務に励んでいる波300型の波308であった。波308はこの時、別の人物の後を追い潜航中だったのだ。次第に音が小さくなるのを感じ取った宮本は耳を澄ます。
「あっちに行っている!追いかけよ!」
そう言って一人だけその後を小走りしながら波308を追う。
二人はと言うと。
「やれやれ、放置する訳にもいかないし……行くわよ。綾部」
「うん、分かった」
二人も小走りで宮本の後を追う。後を追って数秒後。宮本は案外近くに居た。が何かから隠れるような体制でじっと待っていた。
向こう側に何かあるのだろうか?
「居た居た。見附。こんな所で何してるの?」
「シッ!」
「見附ちゃんがいつにもまして集中しているよ?」
「……向こうに誰か居るのかしら?」
「うん。どうやらそう見たい。ほら」
古市が指を差す方向には2人の生徒が廊下を向こう側に向かって歩いていた。石沢は誰かを確認してみるとそれはどこかで見た事のある顔だった。誰だったか、彼女は思い出せそうで思い出せない。そこで千里眼の持ち主である宮本に訊ねる。
「ねぇ、見附、あそこを歩いている二人てっ誰だったかしら?」
「えっと……誰だろう……少なくとも同級生じゃあないみたいだけど……」
「じゃあ先輩?」
「かも知れない。綾部。あれ誰か分かる?」
「私、千里眼持っていないよ?」
「遠くから見て、大体でいいから」
そう言われて顔を出して二人を見てみると、古市は直ぐに分かった。
「あれは、うちの学校の生徒会長だね」
「生徒会長?」
「と、なると隣に居るのは書記か副会長と言う事になるのかな」
「いずれも生徒会の人だね」
生徒会長と書記、もしくは副会長と思われる人物が廊下を曲がり階段へ向かった。と同時に波308も彼らの背後に居るとは言えかなりの距離感を保ちつつ追跡する。そして勿論、宮本達も後を追う。
「あっ、階段に入ったね」
「後を追うよ!私が察知している音も会長の後を追うように向かった!」
「ストーカー?でも私達の後ろにも、会長の後ろにもいなかったけど……」
「ともかく後を追うよ!」
三人は宮本に言われるがまま会長の後を追う事にした。




