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奇想の艦隊  作者: 置草茅
20/122

伊1207側の視点。

 ーカフェ周辺の道ー


 男子3人、女子3人が見守る中、艦載機を発艦させ周囲の哨戒任務に就いている波309、波304、波317、波315の補給作業に入る。本艦は伊1206型波型潜水艦補給母艦の2番艦「伊1207」。

 何故この場所で浮上したのかと言うと、まず監視カメラの死角である事。そしてなにより人気のない場所である事が理由として挙げられる。


 伊1207は浮上の際しっかりと周囲を確認し人気もない事、監視カメラの死角などを確認して浮上したが浮上したときに女子3人組みが既にこちらを確認していたことを浮上してから知る。伊1207は焦る。急いで艦尾のドッグを二つ蓋を開き波300型の4隻が来るまで待機する。


 まず最初に伊1207に接近し浮上したのは波304だった。艦橋には「波-304」の文字。

 浮上後、ゆっくりと伊1207に近づき左舷側のドッグへ入港する。船体がすっぽりと入ってしまうほど本艦の全長、全幅の大きさ。

 次に波317が浮上。同じくゆっくりと右舷側のドッグへ入港し右舷側のドッグの蓋が閉まる。閉まるときの速度は以外と速い。付近には波309と波315が待機している。


 この波317が入港する際、愛海が撮影しラインで拡散しようとしたが刀義が止めに入る。本艦の存在が周囲に拡散されるところでまさに間一髪であった。

 補給を終えたとき、両側のドッグが開き右側から順次波型が出航。波304、波317は揃って潜航。それを待っていたかのように波309、波315が浮上。波309は右舷のドッグへ、波315は左舷のドッグへ入港。補給を受けた。


 波315は潜航中、何かに引っかかり傷を受けていたが伊1207で修理を受け完全と言ってもいいほど完璧に修理を受けた。伊1206型は潜る明石型工作艦と言ってもいいほど修理能力が高く艦種は違えどこう言うときは修理の作業も艦内のドッグで行う。


 ここで余談ではあるが伊1207の艦橋には「イホ-1207」と書かれている。

 悠馬が後日別の同型艦ではあるが伊1208を見たとき視力が少し悪いと言う理由もあるが悠馬にはこう見えた。「休-1208」と。

 うん、艦の種類や役割からその見かたは間違っていないかも知れないけど。後に「イホ-1207」から「休-1207」に変更されたのはまた別の話。


 補給を終えた波309と波315は順次潜航を開始。任務を終えた伊1207はドッグの蓋を閉鎖。ゆっくりと加速しつつ潜航を開始。

 3分間ほどでその巨大な船体は別次元へ姿を消した。姿が消えた事を確認した刀義はようやくカフェへ向かい歩き始め、久留米、愛海の二人も後に続く。

 男子3人組みもその場を去る。


「ねぇあれってやっぱり……。」

「潜水艦だよね?潜水艦だよね?」


 久留米と愛海が呟くとゆっくりと刀義が呟きその場は静まり返った。


「私達は何も見なかった。いいわね。保有者が分かってもそっとしといてあげてね」

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