一つの問題。
「来島型給糧艦は皆に暖かい食事と飲めるように調整済みの新鮮な飲料水を提供する事を目的として設計、建造された補助艦艇です。食料はコンビニ弁当やレトルト食品等。また、レトルト食品等を温めるために熱湯も充分、搭載されています」
「おーぉ」と言う驚きの声と共に数名が安堵した。「これなら一週間は楽々乗り越えられる」と言う少しばかり、慢心した心の声が誰かから聞こえたような気がした。
更に、下のイラストについての質問も入江下田さんから質問があったが、僕は此処で最重要機密である事を皆に話した後、静かに説明をした。
「この来島型の下に描かれている潜水艦は、僕の海軍の中でも最新鋭艦に類する艦艇で、決して他の誰かには話さないでほしい」
皆はコクリとバラバラではあるが頷き、それを確認した僕は解説に入った。
「この伊1300型食料水分補給潜水艦は主にインスタント食品及びレトルト食品等をメインに輸送を行う潜水艦で飲料水は各艦ごとに五千リットルを予定している。また、本型はこの飲料水をメインに皆に提供したいと思うが、本型は浮上しないと補給できないので、浮上の際には周囲の警戒を充分にしてから飲料水を得てほしい」
全艦投入する予定であるこの伊1300型補給潜水艦はインスタントやレトルト等なので、食料運搬にはあまり適していない。だが、来島型を大きく上回る事が充分に期待でき、更に潜航時の静粛性もかなり優れた潜水艦だ。
だが此処で一つの難点がある事を皆に指摘した。
「ただ、一つ。これらが運用可能になるには食料が……実は足りないんだよね」
一同「……ハ?」
一気に静まり返った教室。
まるで、さっきまでの活気が嘘のようだ。僕の台詞と同時に、まるで予想外の展開を思わせるかのような素振りを皆、見せている。
本当にすまない。補給する食料も飲料水も枯渇しているんだ。この間の試験用しか用意していないんだ。すまない。
これでは、ただの動く的だ。何か、何か対処法はないだろうか?
「手配しよう」
その時だった。僕が深刻に考える中、一人の男子生徒の声が静まり返った教室に響く。その声の主は、中央側の列に席がある、林成田だった。
「手配てっ……来島型の食料でも最大貯蔵量は弁当やレトルト、インスタント等で一ヶ月分。更に言うと、新鮮な食材がないと弁当は作れないので、新鮮な食材は各種二週間分は必要とするんだぞ」
「可能だ。余裕に手配してみせるさ」
ほほう……。
「じゃあ、その手配は能力大会開催日に積み込み作業を行うけど……いいんだな?」
「任せてくれ。そんなの朝飯前さ」
林は両手を広げてハテナマークの時の仕草を見せる辺り、本当に余裕なのだろう。
僕は、林と寮の部屋で打ち合わせ会議を開き、給糧艦と補給潜水艦が何処で手配を済ますか、それと日時をじっくりと話し合い、本番に備えた。
本当に手配が出来るのだろうか? 僕は半信半疑で林と話し合った。




