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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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彼はロマンを求める。

 兎魚は大掛かりな改修を受けて、駆逐艦よりも小さい船体に航空機を載せると言うトンデモプランを実現に無理やり設計し改造した。

 無理やりなので、戦果は余り期待できないものの、本艦は後部構造物を煙突と機銃を除き全て撤去した。えぇ、撤去しましたとも。


 航空機をバランスよく搭載するために小さくそして長めな平均台みたいな旋回式カタパルトを一基。その上に航空機を載せて行くだけの簡単なお仕事です。


 Qでも搭載機が少ないんでしょう?

 Aいいえ、偵察機もつけて何と三機になります。


 もう一度言います。この小さな船体に三機も載せれるんですよ! そのうち、攻撃機は何と一機! さぁ、今すぐお買い求め下さい。電話番号はフンフンフンのフンフン、フンフンフンフンです。

 はい。売りません。非売品です。


 流石に78cmぐらいの後部甲板に八機は無理だったよ。パトラッシュ。二機でもぎゅうぎゅうなのに何故三機も載せたのか。それは索敵能力を上げるためだ。

 兎魚は黒部型や身延型のように多くは載せれないが、元々、偵察機を飛ばす駆海艦として考えていたのである意味で成功。第二航空艦隊へ即編入し艦隊の目となってもらう。


 搭載機は零式艦上戦闘機。決して、新たに設計し開発するのが面倒臭かった訳ではない。理由は能力大会に間に合わせるためで、ただでさえ囮を務める予定である第一航空艦隊の航空母艦本体自体の設計も手付かず、更にはその艦載機も未定。


 なら、昔に活躍した機体を載せても問題ないよね! と言う解釈でやりました。後悔も反省も御座いません。ただ、強いて言うならば、「やってやったぜ」と言う満足感は得た。


「次は駆逐艦に飛行甲板を載せてみるか、いや、それとも、後部甲板のほとんどを魚雷で埋めてやろうか。それとも、ハリネズミにしてやろうか」


 様々な妄想が僕の脳裏を掠める。

 ハリネズミ艦はまだ作った事がないが、何処で運用するかは未定。と言う訳で没。飛行甲板案もあったけど、そもそも接近戦を主任務とする艦隊型駆逐艦に航空機等不要! と言う結論に至り没。


 残った魚雷発射管で埋め尽くすと言う案はロマン心を擽られ決定。第一殴り込み艦隊の駆逐艦の中に決戦型駆逐艦と言う種類が居たのでこの重雷装高速駆逐艦を五隻。建造する事にした。

 役に立つかは未知数だが、ぶっちゃけ旧海軍の島風も似たような理由で作られているから問題なし! と言うより艦隊決戦+大艦巨砲主義の僕にとっては大歓迎である。


 提督は現在、イケイケ状態です。


 じゃ、具体的な形状を忘れないように、もう設計を進めて行こうかね! シャーペンを手に取ってA4サイズの白紙に書き進める。設計図と言うよりどちらかと言うとイラストに近い。

 最低限の砲塔と対空兵装に大量の魚雷を投射できるように試行錯誤を繰り返す。


 日付は既に八月も末期。八月の二十四日の事であった。

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