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奇想の艦隊  作者: 置草茅
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朽ち果てた兎魚。

 雨と風は巨大な台風だからか、時間が立つごとに激しさを増した。

 兎魚は現在。波320潜の情報によると、段々と朽ち果てているらしい。修理には時間を要し更に、ptもほっておくごとに増していくだろう。


 暴風域を出たら少しだけ様子でも見に行くか。でも、待てよ。確か台風の日に「ちょっと田んぼの様子を見に行ってくる」と言うのは一種の死亡フラグだったような。

 そして、ニュースでもその言葉を最後に行方不明になるケースもそこそこ……。


 晴れたら花を添えにでも行くか。


「さてと、腹でも空いたし、飯でも食うか」


 とっ、僕はずっと置きっぱなしにしていた来島製の牛丼を手に取る。

 よし。予想通りだったけど、冷めているな。


 飯は冷めてては旨くない。そこで、僕は再び来島を呼び出し、玩具サイズの自動ドーリーを呼び出し、牛丼をその上に載せる。

 載せたら自動的にドーリサイズになるのでそのまま後部艦橋へ流し、暖まるのを待つ事、約五分。カップ麺より少し長いかなと言う感覚で待つと自動的に後部甲板へその玩具サイズの牛丼が姿を現した。


 ホッカホッカな状態で。

 僕は、素手で持つと熱そうなので拭き物を片手にその玩具サイズの牛丼と手に取る。大きさは直ぐに実物サイズになり、蓋を開けて割り箸を持ち、食べる。


 旨い。

 旨いぞ、これは。これで店を開けば大評判待ったなしだな。


 牛丼弁当を美味しく頂いている時、外の雨や風は少しずつ、その威力を弱めて行った。食事を済ませた頃には多少は外に出ても大丈夫そうなぐらいに天候は回復し、それから四時間後。

 外はすっかり夕暮れ時で、嵐が去った後の夕日は美しかった。その美しい夕日の中。僕はスマホを片手に部屋を出て玄関の下駄箱から靴を取り出し兎魚の様子を見に裏門に近い渡り廊下へと足を運んだ。


「酷く朽ち果てているな。まるで、どこかの廃墟のみたいだ」


 兎魚のその変わり果てた姿に僕はただ、見つめていた。実に五時間ほど雨や風の中、放置されて艦橋や煙突。主砲の砲身や機銃座の所々がボロボロになっている。

 夕日の反射で船体やそのボロボロになった艦橋は薄い赤色で時間が立つに連れて少しずつ濃さを増していく。窓ガラスは全て割れていて、これが本物サイズの状態だったらとても幻想的な光景が広がっていただろうと、僕は軽くそう思った。


「機銃や主砲の砲身にゴミや葉っぱが引っかかっているけど修理に回せばまだ使えそうかな」

「折角だし、兎魚にだけ新たな改修工事を施してもいいかも知れないな」


 その具体的な案はたった今思いついたばかりなのだが、この小さな駆海艦に航空機を運用できる能力を与えようと言う物で、能力大会におけるポジションは第二航空艦隊。

 パンケーキ艦隊で嫌がらせ程度に敵側の生徒に攻撃を仕掛けると言う物。


 時間とptを少し多めに食うこの案は有言実行をある意味モットーにする僕は、早速、その作業に取り掛かった。それは既に月が光り始めていた19時前の思いつきだった。

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