表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇想の艦隊  作者: 置草茅
100/122

暴風域に入るまでの作業。

「風が強いな」


 僕は、この軽い暴風の中、スマホを片手に予定の集合時間の場所で待機していた。風が少しずつ強くなるのを感じつつ僕は、いつの間にか黒くなっていた雲をその場から見上げる。

 此処は監視カメラの死角で重数隻程度なら艦隊を集結させるのに適している場所でもあった。


 まず姿を現したのはその場に着いてから数秒後。掃海艇第七号艇だった。七号艇は臨時的にその日。第六掃海隊へ所属しており、犬の破片の捜索任務に従事していた頃だった。

 続けて姉妹艦の第六号艇が渡り廊下を抜けて姿を現せた。


「収容完了と」


 七号艇。六号艇を立て続けにスマホへ帰還させた後、尾道を収容。次に姿を現せたのは補給型の坂田鮫及び撞木鮫を収容。このタイプの補給ポストは煙突後方に1基あり、小艦隊随伴型としてその任務を全うしている。哨戒型も航路を変更しつつ無事に歯鰹を始め梅色が順次スマホへ収容される。


 次に八号艇を収容予定であったが航路を誤りプランターが並ぶ中庭の段差にて座礁した。八号艇は後回しにして次に姥鮫を収納。

 だが、この時、少しずつ風力及び降水量も増えてきた中、哨戒用に転用された免魚が段々航行が荒くなり、別次元の大波を越えた直後、強い風が右舷側から激しく船体をたたきつけ横転。


 免魚は完全に渡り廊下を抜けて旋回する直後に地面へ船体を載せた。横転である。

 しかも僕の目の前でやらかした。だが、時間も時間。暴風域に入るまで残り三十分。免魚はその場に放置する形になり、僕は座礁した八号艇の様子を窺いに行くため、風に耐えながら歩く。


 カッパを着ていて良かったぜ。


 第八号掃海艇は見事に段差の隙間に固定されたような形で斜め上のまま止まっていた。下手に動かして爆発しないように既にエンジン。機関室は止まっているようだ。

 暴風域に入るまで残り二十分。風が更に厳しくなりそのまま地面へ横転しそうなバランスで耐えている。ギギギギ……と言う鈍いを立てながらその状態を保っている。


「これなら、まだ収容出来るかな? ……うん。いけそうだ」


 僕は何とかして色々をスマホを弄りつつ第八号艇の収容作業に入る。そして台風の暴風域に入るまで残り数分を切ったとき、何とかスマホに収容できた。

 スマホの画面の中に入っている第八号艇はそのままドッグへと入れられ、僕が男子寮の玄関に入った時。玄関の自動ドアがガタガタと今にも壊れそうな勢いで揺れる。


 暴風域に入った事を示していた。

 うわぁ……近くにある松の木が大きく左右に揺れているぜ。まるでニュース映像のように……。


「間に合った。……免魚、こんな暴風と雨の中、ボロボロになっていなければいいんだけど」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ