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異世界ハーレムはただしイケメンに限る  作者: 日暮キルハ
二章 守るためなら何をしてもいいのか?

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神隠し編・隠し玉

「さぁ……どうだろうね」


 ちょっとまずいかな……?

 思っていた以上にアキは頭が回るらしい。

 『虚無縹渺』は言ってみればシンプルな魔法だから何回か躱すことができれば対策を考えることができるのかもしれないと思っていた。

 それでもたった一回受けただけで対策を立てられたのは予想外だけど。

 

 でも『生存本能』を見抜かれかけるなんて全く予想もしてなかった……

 まぁ、そもそもこれを使わせられる状況にあったことすらこれまでほとんどなかったのだけど。


 はじめの一撃で消せなかったことをここまで後悔することになるとは……


「いや、実を言うとな、俺はハクト以外のこっちに来てる奴と闘ったことがあるんだよね」


 アキがへらっと笑みを浮かべそう言葉を発する。


「……そうなんだ。それで? それがどうかしたの?」


 本当に?

 それとも動揺を誘おうとしてる?

 ……気にならないわけではないけどこれ以上アキのペースにのるわけにはいかないな。


 まだ僕には隠し玉と言える物がある。

 使えば間違いなく今のこのどちらが優勢なのかはっきりしない状況を一変できる隠し玉が。

 ……けど、今使ってしまっていいのか?

 アキを相手に長期戦は避けたい。


 この得体の知れなさがなんか嫌だ。

 追い詰められてるのに笑うし何でもないことみたいに気付いたら僕の魔法の分析してるし。


 出来るだけ隙を突いて一撃で消してしまいたい。

 アキに時間を与えたら何をするか分からないから。


「そいつの使う魔法は『狂戦士』って奴なんだけど身体能力が上がってものすごく強くなるんだよ。ほんとあの時は死ぬかと思った……」


 あはは、と笑いながら僕の問いにそう返したアキ。

 焦っちゃだめだと分かっているのに調子が狂わされる……

 まだだ……まだ使っていい段階じゃない。


「それで僕の使うのも同じ魔法だと?」


 タイミング、アキが絶対に回避できない意表を突いたタイミングを狙えば……


「いや、それはないな。あいつはあれを使った時明らかに様子がおかしかくなってたけどお前にはそれがない。それにさっきも言ったけどお前のそれは何か前提となる条件が必要なんだろ?例えば……相手に攻撃される、とか」


 ……ほんとに厄介だな……

 けど……


「まぁ……そんなところかな」


 相手の手の内を見切ったんだ。

 アキには余裕ができるはず。

 そしたら……一瞬とはいえ隙ができるよね?


「やっぱそういう感じだったか」


 不敵に笑うアキ。

 はられている警戒がほんの一瞬……緩んだ。


「ここッ!!」


 僕はローブに忍ばせてた拳銃を取り出しアキに向けて発砲する。

 込められているのはもちろんただの弾丸じゃない。

 王都でも有名なとある武器屋の店主さんが開発した『魔法を付与することのできる弾丸』だ。

 弾丸の体積と素材の都合上付与した魔法は一日放っておくと消えてしまうらしいけれどその問題は店主さんが解決してくれた。


 かなり珍しい素材を使って拳銃本体を作ることでこの拳銃に装填されている弾丸に限り付与された魔法が消えてしまうのを防げるのだ。

 僕が使うのは所謂自動拳銃(オートマチック)で装填数は十五発。

 つまり僕は十五発『虚無縹渺』を付与した弾丸を打つことができる。


 もっともユニーク魔法は付与するとかなり効果が薄れてしまうようで膨張範囲が半径3センチメートルまで縮小してしまうのだけど。


 それでもかなり有用なことには変わりない。

 拳銃を使えば『虚無縹渺』の弱点をかなり補うことができるのだから。


 この世界の拳銃は素材や製法が関係しているのか発砲するときに一定量の魔力を拳銃に注ぎ込む必要がある。

 ただ、それだけではまだ目視できる程度の速さでしかなく弓を使った方が速く強いらしい。

 なのでそれに加え更に魔力を注ぎ込むことで弾速、射程、安定性が魔力量に応じて上がり拳銃という武器の持ち味が出せるのだ。


 本来の持ち味を出すことができれば拳銃という武器はかなり強い。

 ただそれには膨大な魔力量が必要とされるためあまり繁栄していないらしい。

 その状況を変えたくて店主さんはこの弾丸を作ったと言っていた。


 まぁそれはともかくこの拳銃を使うことで僕は『虚無縹渺』の遅い、使用魔力が多いという弱点を補うことに成功した。

 いくらアキでも隙を突かれた状態で魔力で強化された高速の弾丸を防ぐなんてことは絶対に――


「――ッ!?」


 ――できないはずなのに。

 アキは僕が拳銃を取り出し発砲した時にはすでに自らの腰に下げた刀を鞘から勢いよく抜刀しそのままその刀に付与されているとみられる何らかの魔法で僕の弾丸を防御して見せた。


「『シャイニング』!!」


 そして、僕が続けて発砲しようとするより早くシャイニングで視界を封じる。

 

 やられた。完全に読まれていたのか……

 でも、それでも……

 

「『ホーリージャベリン』!」


 逃げに入ったということは僕の方が今は優勢だ。

 この機を逃すつもりはない。


 ほとんど闇雲に放ったホーリージャベリンだったがうまくアキに届いたらしく力がぶつかり合う音と衝撃が光の奥から僕に伝わる。


「『ホーリーレイ』『ホーリーレイ』『ホーリージャベリン』!!」


 間髪入れずに魔法を放つ。

 反撃なんてさせない。

 この光が消えるまで防戦一方に持ち込む。


 そして、数秒後には光が止んだ時。

 そこで確実にアキを打ち抜く。


 負けられないし、負けたくない。


 あの時僕は決めたんだ。

 たとえ何を犠牲にしたとしても僕が全力でルカを守るって。  


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