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異世界ハーレムはただしイケメンに限る  作者: 日暮キルハ
二章 守るためなら何をしてもいいのか?

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回復魔法の限界と呪い

「……なんで…………」


 分からない。

 苦しんでいた。

 間違いなくジルガの体には何かが起こっていた。

 なのになんで……リザレクションが効かなかった……?


「…………おそらくですが……」


 呟く俺に答えるようにサテナさんが口を開く。


「ジルガは『呪い』をかけられていたのではないかと……それも間違いなく上級魔法のカースを」


「……『呪い』……」


 存在は知っている。

 うちの連中がかけられていたんだ。

 知らないわけがない。


 もちろん魔導書でも目は通してある。

 どうにも俺は他の属性に比べると闇は適性が高くないらしく、またあまりいい印象が持てない魔法が多かったから習得を後回しにしていて中級魔法のリトルカースですら使えないけど。


 それでも『呪い』がどのような魔法なのかはある程度理解している。

 そもそもの話『呪い』系統の魔法というのは他の魔法とは多くの違いがある。


 例えば、他の魔法が即効で効果が出る魔法であるのに対してカースやリトルカースはその効果があとから『条件』に従って与えられた『効果』が発動する。

 このほかにも、『命令』、『条件』、『解除条件』、の三つを魔法をかける時に対象に触れてイメージすることでカースやリトルカースは発動するというのも違いの一つだ。


 これに関して、まず『命令』だがこれは魔法をかける対象へのこの魔法が与える『効果』を示す。

 これもこの魔法と他の魔法の大きな違いの一つだ。

 発動する効果は直接死に至るものや複雑なものは無理などある程度の制約があるとはいえ術者が好きなように考え与えることができるのだ。

 そして次に、『条件』だがこれは『効果』を発動するために必要な術者、もしくは魔法をかけられた者やそれ以外の第三者の一定の行動を指す。

 カースやリトルカースの発動には先程あげたことのほかに『命令』と『条件』のつり合いが取れている子が必要になるらしい。

 どのくらいでつり合いが取れているのかということに関しては確かなデータがあるわけではないが研究者の間では、


 術者が行動を起こす→第三者が行動を起こす→魔法をかけられた対象が行動を起こす


 その行動を行う際に特定の物や特定の人物を必要としない→その行動を行う際に特定の物を必要とする→その行動を行う際に特定の人物を必要とする→その行動を行う際に特定の物と人物を必要とする


 生理現象などの生きる上で必要不可欠な行動→生活を送ることで行う行動→生活を送るうえでまず行うことがない行動


 ※矢印の後半になればなるほどできる『命令』の幅は広がる。


 という風に結論付けられている。

 明確な位置づけができなかったために過去のデータと見合わせた結果こうなったのだろう。


 まぁともかくここで大事なのは強力な『命令』をしたいのならばそれだけの『条件』が必要となってくるということ。

 発動時に触れていなければならず、魔法を発動するときに瞬時に頭にイメージを思い浮かべる必要があり、命令を与えたいのならそれに見合った条件が必要になる。

 それに加えリトルカースでは対象が重傷を負うような命令や精神を支配するような命令は下せないので『呪い』を使う者もそのほとんどがカースを使う。

 残りの解呪条件は単純にかけた魔法を解除するための条件で術者に大した影響がないとはいえ決して使い勝手のいい魔法とは言えない。


 それでも使う者がいるのはやはり『自分で与える効果を選べる』というのが強く影響しているのだろう。

 昨日のパーティーで解除された『呪い』がいい例だ。

 一般的には『スレイブカース』などという名称で呼ばれている奴隷を作ることに特化したカースが使われる一番の要因。

 その命令内容は『主への服従』。

 そんなめちゃくちゃな命令に対しての条件が『主となる者が対象に首輪を嵌めること』なんてとても釣り合っているとは思えないものなのだから意味が分からない。


「かけられた『呪い』の内容は依頼が失敗した際に精神に著しい異常をきたすといったところでしょう。リザレクションは傷を癒す魔法であって精神的なものや状態異常には極めて無力ですから……」


 淡々とした口調でそうサテナさんは結論付けた。


「……もし、あくまでこれはもしかしたらの話ですがあの時使った魔法がリザレクションでなくフルリペアであれば結果はかわっていたかもしれません」


 そして、そう続けたサテナさんの言葉は俺の胸に突き刺さった。


「……じゃあ……俺が選択を間違えたから……ジルガは――」


「あの状況でそれを見分けることは不可能でした。それにフルリペアはリザレクションと同じく光属性の上級魔法……習得できていますか?」


「それは……」


 出来ていない……

 時間がないなんて言い訳してホーリーレイしか習得できていない。

 ドルガの事があったからリペア系の魔法も全て取得しておかないといけなかったのに……


「変に負い目を感じさせるつもりはなかったのですが……もう一度言いますが今私が言ったことは『もしかしたら』の話です。負い目を感じる必要なんて一切ありはしません。今やるべきことは次にもし同じことが仲間や自分で起こった場合にどのように対処するかを考えることです。しっかりしてください」


 呆れと申し訳なさを目に浮かばせサテナさんはそう口を開く。


「……そう、ですね……それはその通りです……」


 理屈は分かるしサテナさんが俺の事を思って言ってくれているのだということも分かってはいる。

 ……けど……


「……それでもまだ晴れないのならせめてジルガに『呪い』をかけた犯人を探し出してみてはどうですか?」


 それでも情けない顔の俺にサテナさんはそう助言をした。


「……犯人?」


「おそらく依頼主が自分が依頼したことがばれるのを恐れて証拠隠滅を図ったのだと思われますから。ジルガの様子からして自分に『呪い』がかけられていることを知らなかったか嘘の命令内容を教えられていたのでしょう。もしそんなことをした者を見つけることができたのならばジルガの無念を晴らし旦那様を狙った不届き者を捕らえるということにも繋がります。手がかりはジルガが残してくれましたからね」


「手がかり?」


 それが罪滅ぼしになるのかと言われれば正直ならないと思う。

 けど……こんな人を駒みたいに使う奴を放置しておいていい道理はない。


「ジルガが豹変する寸前の言葉を覚えていますか?」


「……えっと……たしか……」


 何か、何かを伝えようとジルガはしていた、と思う。

 あのとき言ってたのはたしか……依頼を出したのは……


「こ、の国の……」


 いや、違うかもしれない。

 違うかもしれないけど……

 俺にはそう言っているように聞こえた。


「そうですね」


 そして、それはサテナさんも同じだったようで……


「けど……この国のって……」


 ……この国のってなんだ?

 続き……続きがあるとしたら……


「この国の……この国の……」


 ジルガは俺に依頼を出した奴を教えようとしていた。

 何がジルガにそうさせたのか、正解はもう分からないけど依頼主への抵抗のようなものだとして……なんで名前を言わなかった?

 そうすれば誰が依頼をだしたのか分かったはずなのに……


 ……もしかして言えなかったんじゃなくて知らなかったのか?

 ……もし、俺のこの仮説が正しいとして、なんでジルガは名前も知らない奴の依頼を受けた?

 報酬の受け取りとかどうするんだ?

 先払いってことはないだろ。

 ……なら……名前を知る必要がないってことか?

 ……名前を知る必要がない。

 ……「この国の」に続く何かがある……


「……この国の何か……何か特別な立場の人間」


 ……そうだ。

 たぶんジルガは依頼主を名前じゃなく役職で覚えていたんだ……

 ……けど、仮にそうだとして……


「候補が多すぎる……」


 この国の〇〇なんていくらでも考えられる……

 いや、当然何人もいる役職は省けるだろうけどそれでも候補が多いことには変わりない。


「カースが使える人間ということも条件に加えればかなり絞れるのではないでしょうか?依頼主とカースを使った人間が違う可能性もないとは言いきれませんが極めて低いでしょうから」


「ん……確かにそれもそうですね」


 別に口封じをするだけなら黙っておくように脅しをかけておくとか失敗したところを見計らって他の奴に殺させるなんて方法がないわけではない。

 カースに比べれば確実ではないし回りくどいやり方にはなるがそれでも不用意に自分のやろうとしていることに関係する者が増えるよりはよほどましだろう。

 自分にたどり着かれる可能性はできるだけ下げておきたいだろうしな。

 だから、カースを使ったということは依頼主本人がカースを使える可能性がそうでない可能性よりは高いということ。

 とは言っても……


「それでも候補は絞り切れないな……」


 そもそも俺はこの国の奴の事をそこまで知らない。

 俺から会いに行って入れてもらえるのかは謎だが一度ルクアに会いに行くべきかもしれないな……


「あの……頭……」


 聞きなれた声に振り向くとグレンが何か考え込むような表情を俺に向けていた。


「ん?どうした?」


「……この国の宰相は……ロノフ殿は闇属性魔法の使い手です」

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