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そしてその後天使は笑う
読んでくださっている方ありがとうございます!
異世界へと旅立っていった目つきの悪い少年。
「僕は思うんだ。……君は、悪い人間なんかじゃない……ただ不器用で、誤解されやすくて、傷つくのが怖くて、それでいて傷つけるのも怖くて、なのに人の痛みを気にして、気にかけてほしくて……君はそんな優しくて臆病な人なんだって……」
自分以外誰も居なくなった闇の中で呟く。
「……悪いのは、僕だ」
謝っても許してはもらえないだろう。
「けど明輝も明輝だよね」
わかっていたけれどあんな反応されたら少し傷ついてしまうよ。
「でも大丈夫。これからさ、これから」
そう、時間はあるのだ。
「明輝、明輝、アキ、アキ、あき、あき、あき、あき、ふふ、ふふふ、ふふふふ、愛してるよ、明輝、だぁいすきだよ、明輝、絶対に僕が……ふふっ」
天使は微笑む。
誰もが思わず見惚れるような妖艶さで。
誰もが思わず惹かれる儚さで。
そして――
その奥に潜む歪な『それ』にはきっと誰も気づかない。