表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: 蒼久保
掲載日:2013/09/05

突然な魔物である。


私の耳や、肌を無造作に触るものがあるだろうか。


でなければ、鼓膜や内臓を熱湯で痛める奴があろうか。


私は確かに善人ではないが、どんな極悪人でもこんな嫌悪は抱かない。


さて、また猛烈に暗闇を一瞬で照らす。


次は決まって、鼓膜を破かれる音がする。


内臓が持ち上がり沸騰する。脳がしびれる。


雷鳴を世界の鳴き声と評する文学もあろうが、私は其れ程、感傷的には、なれない。


なにせあの音である。


空気を割き、絶縁された空間を猛烈な勢いの電気が地上に降る。


いや、落ちる。


適当に、である。


地球の悲鳴か、それを犯す人間の耳に恐怖を与えるのだ。


また光る。瞬く間もなく、明滅を繰り返す。


轟音は、私の心まで割き始め、決まって絶縁されていない私の肉体を震わせる。


失礼な奴め。震えは収まりようがない。



私の知人などという愚かな人間は、てらいながら堂々と外を歩く。


あの悲鳴轟く世界を、我が物で歩く。私の心をを知らずして、


「大丈夫だよ」


と、口角を上げながら云うのだ。


私は、あの知人の口元が大嫌いになろうとしている。


それもこれも、雷という現象のせいなのだ。


フェノミナのせいだ。



なんどかは、無視を決める努力もしたが、丁度悪く、その時は


自宅に落雷し、無視どころの騒ぎではなかった。


給水管に落雷したと知って、その水を飲むのすら阻まれたのだ。


心が痛む。


また有る時は、音の無い雷も見た。


それは遥かに幻想的で、雲間くもまから光の旗がはためき、本当に美しかった。


凶悪な雷鳴からこんな姿をみるとは、思う事すらなかった。


そう考えると、私がこうして恐怖する間に、


恐らくどこかの者達は、指をさしながら無邪気に美しいと形容しているのだろう。




ふと私は、知人の、あの口角を思い出す。



雷も、やはり好きになる事は無かった。


お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ