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寝苦しい

作者: VISIA

暑い日に熱いものを食べるように、寝苦しい夜にはこんな話を…

 その日の夜は、とても蒸し暑く寝苦しかった。


 クーラーは壊れていて使えず、扇風機は古くてうるさいので逆に眠れない。


 窓を開けて寝ようとしたら網戸が破れていて虫除けにならなかったので、全身に虫除けの薬を塗って窓を開けて寝ることにした。



──夜中の2時。



 部屋の蒸し暑さは未だ変わらず、脳を流れるぬるい血液が眠りを妨げていた。


 我慢してつぶっていた目を開き、水を飲みに起き上がろうとした時、体が固まって動かなくなった。



──初めての金縛りだった。



 体は動かせなかったが視線を動かす事はできたので、周りの様子をあちこち探っていると、仰向けに寝ている自分の右側に大きな腹をした誰かが寝ていた。


 自分は独り暮らしで、彼女もいないから隣が誰なのか検討もつかない。顔を見ることは出来なかったが、イビキの声で男だと思った。その男の体温がジリジリと伝わってきていた。


 気分だけでもその男から逃れようと視線を左へ反らすと、そこにも同じような腹の大きな誰かが寝ていた。



 2人の谷間で更なる寝苦しい夜を金縛りのまま不自由にしていると、両側の男達が自分めがけて突然寝返りをうってきた。



……あああああああっ



 布団よりも保温効果の高い、2つの湿った重い体に潰されそうになった。そして暑さと熱さでだんだん意識が遠くなっていった。



……ああ、目の前に川が見える。水浴びしていこうかな…



 川に近づいて、流れる清流に手を入れてみると、30℃後半くらいのぬるいお湯だった。そのお湯の温もりが体全体に伝わっていく。




……あ、あれ?



 水から手が抜けなかった。手から伝わってくる温もりが、体の中に蓄積していくのか、汗が出始めた。



 何とか手を水から抜こうと必死になるほど、汗が吹き出してくる。


 

 やがて喉が乾いて、仕方なく川の水を飲んだ時、あまりの塩辛さに驚いた。



──目が覚めた。




……。



 布団に仰向けに寝ていた自分が、上に覆い被さっている男の汗をなめていることに気が付いた。


 

 いくら寝ぼけているとはいえ、自分の行為に恐怖し混乱して必死にもがき続けた。



 そして、朝が来る頃には汗だくで、気絶するように疲れて眠っていた。金縛りは解け、両側の男達も姿を消していた。



──結局、あの男達は誰だったのだろう?

 


……女性だったら良かったのに。


 


 仰向けで、汗で濡れた布団に横になったまま、天井に貼った女子プロレスラー達のポスターを見ながら、昨夜の事を思い出していた。


 




 






 

  


 



──今夜はどうか女性に囲まれますように…


 その夜、金縛りの後に現れた女性が冷え性だった為か、一晩抱きつかれていたら風邪をひいてしまった。


 朝になって鏡を見たとき、酷いやつれようだった。

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