はしがき
誰も近寄らない秘境「界隈村」……そこで俺は生まれた……
界隈村とは、外部の人が近寄らない自然豊かな山間部にある秘境の村だ。近くに渓流があり、山葵やわらびなどの山菜から鹿や猪などの数多くの野生動物が集まっている、特に百足が多種多様で日本にいるものから本土にはいないもの、海外の百足までもがこの村で共存している。そのため、採集や狩猟、百足の販売で生計を立てている。村には水道は勿論、電気も通っているが都市に行くには電車か車しか無いので、アクセスが悪い。
そんな村に生まれた俺、百多 硫足は肉屋兼猟師として生活している。最近はジビエブームが来ているため売れ行きはいいが、鳥や牛などの畜産肉も悪くは無いがジビエよりかは売れ行きが落ちている……そこらのスーパーで売っているものより新鮮なのに残念だ。いつも通り、店を営業していると段ボールが届いた。開けるとそこには、 大型のサバイバルナイフが入っていた。ただのサバイバルナイフではない!銃の先端に装着できるようになっているからな!もう1つ手斧をネット通販で購入したのだがまだ届いていない。今は仕事中だ……自宅に帰ってからゆっくり眺めよう……在庫の肉が傷んで無いか確認しよう、いつも店を閉める前に傷んでいるものや消費期限切れの物は即座に捨てているが念の為確認している。異常なし、いつも通り開店だ!俺の店、百足精肉店はジビエ肉から畜産肉まで幅広く売っている。そのうえ、 珍しい肉も取り扱っているためマニアからも一目置かれている。最近はカルパスやサラミ、 ジャーキーの様なお酒のつまみとなる肉を販売しようと考えている。いつも通りのお客が来て、 肉を買ってくれる……もっと客足が伸びないかと思っている。 閉店後、 俺は自宅に帰りサバイバルナイフと猟銃のメンテナンスを行った。特に異常無し明日の狩猟が楽しみだ!
翌日、俺は家を出て村の近くの人気の無い森……まぁ俺の狩場に向かおうとした。その時、 同じ猟師のおじさん、山名さんに出会った。
「おはようございます!」
「おう!硫足!おはよう」
「山名さんも狩猟ですか?」
「いや、 今日は山菜取りに行く。 最近は山椒がよく取れるからねぇ~」
今は6月、 山椒の実が熟していないが香りと辛みが強い為、 鳥類の肉とよく合う。そのため、 俺も時より採取しているがあまり見つけられない。 そのため山名さんの様な山菜取りが上手い人と交換している。
「余ったら何かと交換しましょう!」
「いいよ~鴨肉と交換で!」
山名さんは先に採取場所に向かって行った。 俺も急いで狩場に向かった。鹿か猪がくくり罠に掛かっているといいな~案の定子鹿が掛かっていた。小さい為1歳ぐらいだろう……可哀想なので心臓にナイフを2回刺し息の根を止めた。すぐさま、 自宅に帰り鹿の解体の準備を行った。夏なので蠅がすぐに来てしまう。それに、 マダニが怖いからな~あいつらは鹿や猪などの野生哺乳類を宿主にしているため、 かなり厄介だ。なんせ、 気づいたら噛まれていました~なんてこともざらにある。尚且つ、 厄介な感染症も引き起こすため噛まれたくもない。とにかく、 俺は獲物を捕らえたらすぐに解体して肉を保存!鮮度が大事だからね~それはさておき解体を始めよう。 念の為ゴム手袋と革で作ったエプロンを着用しよう。
先ずは腹を裂いて内臓を抜こう。この後吊るして肉を解体するから内臓が邪魔になってしまう。 ベテランで最初に内臓を抜かない人もいるが俺にはまだ無理だ。 糞便が内臓に入っている事が多い為、 強烈な異臭が漂ってくる。最初の頃は何度も吐きそうになったが今は慣れた……でもこの臭いは好かない。内臓も食べられる部位はかなりあるので使えそうなら使うそれだけだ。腸は切り裂いてしまったので埋めよう。肝臓や心臓は俺が食べよう。 肺は……売ってみるか!腸を早く別の場所に移そう……臭いが鼻に残って嗅覚がダメになる。とりあえず、 糞臭は何とかなったが獣臭さと脂の甘ったるい臭いが漂っている。
腸を抜いた子鹿の両足を解体用ハンガーに掛けた。 レバーを回したら自動的に持ち上がる為、 余分な体力を使わずに済む。次に水を掛けて血液や泥などの汚れを洗い流す。このために、 自宅のガレージを改造して排水溝や蛇口を作ってもらったんだ~まぁ金はけっこうかかったけど……あると無いとで変わるから作って良かった気がする。小さいからそこまで時間がかからなかった。
次に足の骨を折って取り除く。ただし、 膝まで折って取り除く。それから、 慎重に皮を剥ぐ。部位ごとに刃物を変えないといけないがコレクターの俺からしたら至福の時。途中で頭を切り離す。こうすることで首周りの皮を剥ぎやすくなるのと、 舌を取りやすくなる。 これがかなり大変で時間がかなりかかる。
さて、 皮も剥いだことだし部位ごとに分けていこう。 先ずは、 モモとスネを切り取り、 次にロース、 カタと前スネ、 ネック、 最後にバラを。 余った骨は腸と一緒に埋めよう。 とりあえず解体は終わったので後片付けを早く終わらせよう。 肉はすぐにガレージの奥にある業務用冷凍庫に入れて、 皮と骨と腸は庭の深く掘っている場所に埋めた。 解体に使った道具は全部洗って仕舞った。一通り終わった事だしもう一回行こう。欲しいものが手に入ったら別のものも欲しくなる……俺の悪い癖だ。 ということで行こう!
先ほどの狩場に戻ったが何も掛かっていなかった。 まぁそう簡単に掛かるわけがない……更に奥に行ってみると綺麗な川があり、 カルガモが数匹泳いでいた。 俺は透かさず銃を構え発砲、 2匹仕留めた。 足場が良かったためすぐに回収して帰宅しようとした、 先ほどの狩場を歩いていると大きめの猪がこちらを見つめている。 こちらに向かって突撃して来た。 奴が速すぎたため俺の判断が遅れてしまった、 もうダメだと悟り目を閉じた瞬間、 肉を貫く鈍い音が聞こえた。 ゆっくりと目を開けると巨大なムカデの曳航肢が猪の頭部を貫いていた。曳航肢とはムカデの尻尾みたいな部分の事だ。 曳航肢だけでなく肢や胴も見えていた、 肢は赤く胴は黒い。 俺は思い切って触ってみると、 骨の様に硬いが生暖かい……まるで自分の骨を触っている様だ……時間が経つと猪の体温が徐々に下がる感覚が伝わってくる。 待てよ、 コレ……俺が出してるのでは? 恐る恐る腰に手を当てるとムカデの感触がする……つまりこれは俺の……尻尾ってこと!?まさか……動かせる訳でもないし……試しにやってみると、 動かせた。しかも、 手足の様に軽々と。
「いや嘘だろ‼」
思わず声を上げてしまった。とりあえず、 しまう方法を模索しないと……腹を引っ込める要領で動かしてみるとすぐに引っ込んだ。 案外簡単な物だな~感心してる場合じゃない早く家に帰らないと……仕留めた猪もついでに持って帰るか!ダニが付着してないといいが……引っ込めた時、 脳内にこれはアオズムカデという言葉が脳裏によぎった……一体何だろうと思いながら自宅に帰った。帰る途中で山名さんと出会った。
「お~でっかい猪だな~」
「はい! 先ほど仕留めました! 」
「そうかそうか……お! 鴨じゃねぇか! 山椒20個と交換しようぜ!」
「いいですよ!」
俺はカルガモを2匹渡して山名さんに渡して、 山椒を貰った。
「ところでお前さん触角生えてるぞ」
「え?」
俺は頭に手を当てる。 すると、 変な感触の物があった。 恐らくこれが触角なのだろう。 これも腹を引っ込める要領で引っ込めた。 疑問点としては引っ込めた後にどうなっているのだろう? 違和感が無い為液体となって血中に混ざったのかなと考えている。
「お前の親父も爺さんも生えてたから気にするな!」
「そうなんですね~」
俺は山名さんと別れて家に帰った。 猪が思ったより重たいから腕が痛い。 念の為ダニがついて無いか確認したがついて無くてほっとした。 さて、 着替えて解体するか! 工程は先ほどと同じだが、 腹部にマダニがついてたので皮は埋めました。肉はいい部位は少し高値で売ろうか! こいつは、 脂も乗って美味いからな! 俺は余るほど持ってるからいらないかな?
俺のあのムカデの姿は何だったのだろうか? 見覚えが無い……俺の出生に何か秘密でもあるのかな? まぁ飯でも食って考えましょうか!
この力は次第に強力になるのだろう……誰も止められないくらいに。
百多 硫足の特徴
赤色の髪と目を持ち、高身長(179cm)細身。
普段着 黒い無地のtシャツに赤いズボン。
狩猟着 緑色の迷彩柄の服




