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聖ギル

【短編】厄災により滅びし国から救い出された王子の譚《聖ギル★外伝》

聖ギルの外伝です!


★☆❤︎♡★☆


とある国と王子の身に起こった出来事……。

 とある国で起きた出来事である――……。


 この国にある城は遥か昔に勇者と聖女が再建した。

 その勇者と聖女は異世界から転移してきた者である。


 勇者と聖女は、この城を治めていた王の悪行を暴いた。その直後、王と大臣が勇者を殺そうとする。それをみた仲間が王と大臣を抹殺した。

 そこまでは良かったのである。しかし王が不在となってしまった。

 そのため話し合いをして勇者を王とすることに決めたのである。


 ▼△★△▼☆▼△


 そして、それから数千年後の話。

 この城の国王には子供が王子と王女の二人いた。

 因みに王子は十歳で王女は七歳である。


 ある日、王子の髪が白銀から黒に銀が混ざった色へと変わった。

 これは能力に目覚めたことを意味する。

 そのため国王は王子を遥か昔に勇者と聖女である祖先が辿りついたとされる最後の村へ幽閉することにした。

 これは祖先である勇者だった国王が決めたことなのだ。


 自分だけなら何をされてもいい、だが子供も能力に目覚め周囲の者に利用されるのをみたくないと思ったからである。


 そのため能力に目覚めた者は魔道具である指輪で封印。その封印は指輪に触れ詠唱すれば解除も可能だ。勿論、封印もできる。


 能力が発現した王子は城の従者と共に名もなき村へと辿り着き村長の家に預けられた。

 これも昔に勇者が定めた規則からである。

 だが幽閉と言っても、ここで自由に暮らせるのだ。


 現在、村長宅の二階の部屋では王子が居て窓から外をみている。


「ここが遥か昔、勇者と聖女の居た村。城の書庫で読んだ本に書いてあったまま……今でも残ってたのか」


 目を輝かせ王子は、ここで暮らすことに対して喜んでいた。


「妹のことは心配だけど……俺なんかよりも、シッカリしてるから大丈夫だよな」


 そう思い窓から離れて、ベッド付近に置いた荷物の方へ向かう。その後、荷物の整理を始める。


 その日から王子は城から一緒に来た従者と共に剣や魔法の稽古の修行や勉学に励んだ。


 ▼△★△▼☆▼△


 月日が経ち十六歳になったある日。突如、現れたみたこともない怪物などに村は襲われた。

 そこにはデビルミストなどもいて村人や訪れていた旅人を襲っている。

 怪物たちのせいで建物は踏み潰され破壊。一部の建物からは火の手が上がっていた。


「何が起きたんだ?」


 建物から外へ出た王子は剣を抜き遠くにみえるデビルミストや怪物たちの群れを見据える。


「なんで外に出たのです! ここは危険、建物の中に避難してください」


 そう言い従者の男は庇うように王子の前に立ちはだかった。


「バカを言うな! お前たちだけで太刀打ちできる相手じゃないだろ!!」


 そう従者は目の前にいる男を含めて三人いる。


「戦っているのは、ワタクシ達だけではありません。村の戦える者もおりますゆえ」

「そうは言っても……こんな状況で何もしないでみてろって言うのか?」

「貴方を死なせる訳にはいかないのです。なんのために城を離れ……こんな辺境な村へ来たと思っているのですか?」


 そう言われるも王子は意味が理解できなかった。


「言ってることが理解できない。俺がこの村に連れてこられたのって覚醒した能力のせいだろ?」

「その通りです」

「俺の能力が厄介で城を追い出したんだよな?」


 それを聞き従者の男は首を横に振る。


「それは違います」

「違うって……どういう事だ?」

「自身の存在がなんなのかを理解していない。貴方が死んでしまっては、やっとこの世界に現れた希望を失ってしまうんですよ!」


 従者が何を言っているのか理解できない王子。それもそのはず。ここに連れてこられた理由を自分勝手な解釈で捉えていたからだ。

 そう自分は存在しちゃいけないんだと思っていたからである。


「俺が世界の希望?」

「祖先である勇者王の話は知っていますよね?」

「ああ……俺の祖先だからな。それと何か関係してるのか?」


 そう問われ従者の男は頷いた。

 二人が話をしているうちにも怪物やデビルミストたちは迫って来ている。


「勇者だった王の能力を授かって産まれる者は三代目を境に途絶えたのです」

「それは聞いたことがある。だけど……なんの関係があるって云うんだ?」

「五代目の王の時に、これと同じようなことが他の大陸の国で起きたのです」


 それを聞いた王子は驚いた。


「どういう事だ? もしかして、この状況をなんとかできるのって……」

「ええ……王子、貴方の能力でしか無理なのです」

「でも……なんで? 意味が分からない」


 この状況をなんとかできる力があるのに、なんで戦うなと言うのか不思議に思い王子は首を傾げる。


「今の貴方には、まだ無理。理由を知り対処するには荷が重すぎます。他の者に指示を出してありますので建物の中で待機を!」


 と言う間に怪物や、デビルミストが目の前まで来ていた。


「クッ……間に合わないのか」

「こんな状況で、お前を置いて行ける訳ないだろ!!」

「王子!?」


 従者の言葉を遮り王子は能力を解放するため左の小指に嵌めている指輪に右手を添える。


 《古の鎖 現と古 あるべき姿 封印されし力 我、願う 真の姿を解き放たれたし!!》


 そう詠唱すると両手を頭上に掲げた。

 すると指輪がキランッと発光する。それと同時に指輪から眩い光が真上に放たれ魔法陣が展開していった。

 その魔法陣は展開し終えると王子の真下に、スッと降下し徐々に姿が変化する。


 白銀から黒に銀が混じった髪色へ変わっていた。髪型と容姿はそのままだ。明らかに違うのは尋常じゃないほどの膨大な能力である。


「お待ち下さい!」


 そう言うも従者の男は王子から気が放たれているせいで近づけない。

 そう王子は自分の能力をまだマトモに使い熟せないのだ。


「お前は、そこで待っていろ! 俺の力で、アイツらを蹴散らしてくる」

「まだ無理です!」

「俺の方が、お前たちよりも力は上だ」


 剣を構え直し王子は怪物へと向かい駆け出した。その勢いのまま剣を振り上げ怪物へ刃を振り下ろし斬りつける。

 だが傷の一つもつけられず王子は怪物の大きな手で薙ぎ払われてしまった。そして数十メートル後方へ飛ばされ地面に落下する。

 地面に落ちた衝撃で王子は、うつ伏せの状態のまま意識を失った。

 まだ能力の使い方を知らない王子にとって無謀だったのだ。


「お、王子〜!!」


 そう叫び従者の男は自分の真上を越え落下した王子をみる。

 だが、そんな余裕などみせずに逃げるべきだった。

 隙をみせてしまった従者の男は、デビルミストに背後からとり憑かれる。

 とり憑かれた従者の男は変貌し王子を殺そうと剣を振り上げた。その時、従者と王子の目の前に閃光がはしる。

 眩しさの余り従者の男は手で目を覆い瞼を閉じた。いや、それだけじゃない。その光は聖なるものであったため余計にだ。

 その後、光は柱となる。光の柱からは何者か……いや大きな白い竜が降りてきた。


 この白い竜は龍神バウギロスである。


『すまぬ……気づくのが遅かったようだ。これほど早くに厄災の箱が開かれるとはな。それに、よりにもよって……こことは皮肉なものだ』


 そう言いバウギロスは、ギロリと大きな目で王子へ視線を向けた。


『まだ間に合うか……少し早いが約束の地へ転移させる』


 大きな口を開きバウギロスは竜語なのか意味が分からない言葉で詠唱し始める。それと同時に王子の真下に大きな魔法陣が浮かび上がり展開していった。

 展開しながら魔法陣は眩しいほどの光を放つと王子を覆い包んだ。光に包まれ宙に浮かび上がったと同時に、パッと王子の姿が消える。


『これで良い……あとは、このあと始末だ。と言っても厄災の封印と浄化ぐらいしかできぬがな』


 その後バウギロスは厄災にとり憑かれた者を浄化した。

 するとデビルミストたちは、とり憑いていた人々からスーッと出てくる。

 勿論、従者にとり憑いていたデビルミストも追い出された。

 それを視認するとバウギロスは竜語で詠唱し厄災である怪物やデビルミストを封印する。


『これで良い……殆ど生きている者はいないようだ。いや……目の前の一人は少し息をしておるな』


 能力を使いバウギロスは、まだ息のある従者の男を助けた。

 そのあと村長の家の方へ視線を向けバウギロスは生存の確認をする。


『建物の中に居る者は既に息絶えているようだな。そうなると……これ以上は長居しない方がいいだろう』


 そう言いバウギロスは再び光の柱と共に上空へと向かった。そして、パッと光と共に消える。


 その後、従者の男は目を覚まし周囲を見回した。


「王子は何処に?」


 そう思っていると従者の男の目の前へ光と共に紙切れが現れる。

 それを読み従者の男は、ホッと胸を撫で下ろした。

 そうそこには王子が何処にいるのか記載されていたからだ。


「龍神の力で……救われたのか。だが、この場に生き残っているのはワタクシのみ。手紙に書いてあったが……城も壊滅したと。そうなると村をある程度、片付けたら旅立つか」


 そう言い周囲を見渡した。その後、従者の男はあと処理を終えると村をでる。

 そしてバウギロスにもらった手紙の通り王子が転移させられた大陸へと向かった。


 ▼△★△▼☆▼△


 ここは王子が転移させられたとある大陸の草原。

 王子は目覚め、グルリと周辺をみる。


「草だらけだ……って、ここ何処だ?」


 自分に何が起きて、こんな所に居るのか分からなかった。


「確か俺は変な怪物を斬りつけて……そのあと何が起きた?」


 そう思いながら立ち上がる。


「まあ……そのうち何か分かるだろう。それよりも……腹減った〜」


 分からないと思い考えるのをやめた。その後、王子はお腹がすいたので何処かに町か村がないかと思い探すため歩き始める。

 そして魔物を倒しながら暫く歩くと街に辿り着いた。

 街の中に入るなり街路を歩き食事処を探し始める。だが金を持っていないことに気づいた。

 すると、ズシッと重い袋が懐に入っていることに気づき取り出して中身をみる。なんとそこには、この国の金が入っていたのだ。

 なんでだろうと思うも、もしかしたら自分を助けてくれた誰かからだと考え悩むのをやめた。

 その後、王子は食事処へ入り腹一杯食べる。そして宿を探し泊まった。

 その次の日、王子は冒険者ギルドの存在を知り登録をする。それをキッカケに王子は素性と能力を隠しながら色々な仕事を熟していった。


 ……――これは、とある大陸の国で起きた出来事。そして産まれながらに過酷な運命を背負わされた王子の話なのだ。そのはずなのだが本人は未だに理解していないようである。


 そして数年後、王子は異世界の女性と運命の出逢いをするのであった。………――[外伝・完]

読んで頂きありがとうございます(*^▽^*)


王子とは誰か? まあ本編を読んでいれば分かるよね。

なぜ国と王子の名前を明かさなかったのかは作者の勉強のためでもあるのです。

まあ……バウギロスだけ名前を出しちゃったけどね(^◇^;)


それと、この外伝は短編での公開となってしまいました。本当は本編の何処かでと思っていたのです。

ですが今の話の進み具合からしたら無理だと判断。

そして前から頭の中にあったことを出しきりました!

と言っても他もあるので、あとで短編として書くことにします。


という事で、また短編を書く機会があったらよろしくお願いします(^O^☆♪

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