・2 再会
水たまりの中にいた彼女と再会してから放課後。
結局あれきり会えないで家に帰宅してしまった。
「奈々……」
誰もいない家。静かで誰もなにも言ってこない。
洗面所へとうがいと手洗いをしに行く。
手を洗い、うがいをするのにコップに水を注ぐ。
「奈々!」
今度はコップの水面に彼女がいた。
また会えた。
「良かった、また会えて! 実は話したいことがあるんだ!」
声がちゃんと聞こえるように、コップに顔を近付けて言う。
すると彼女の手が出てきた。そのまま人差し指が僕の口に付く。
彼女の手。感触。確かに実体がある。幻覚じゃない。
口を閉じてほしいのか?
「話しちゃダメ?」
そう聞くと、彼女の手はコップの水面に引っ込んだ。
「…………」
話してはダメ。コップの水面の彼女と見つめ合うだけ。
そうしていると彼女がジェスチャーをする。
うがいのジェスチャーだ。
「うがい、やれって?」
彼女は頷く。
僕はうがいをする。
彼女がいる水を口に含み、ガラガラと声を出して、ぺっと吐き出す。
「奈々?」
コップの中には誰もいない。水滴にも映っていない。
もう一度コップに水を注いでも彼女は現れなかった。
立ち去ってしまったんだろうか?
そう考えていると誰かが玄関のドアを開けた。
「誰だろう?」
玄関に向かう。そこには誰もいなかった。
きっと彼女が出ていったに違いない。
今日はそれきり彼女には会えなかった。