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長靴をはいた猫たち

長靴をはいた猫11

作者: 非成城速記部

 さあ、9回の裏、ツーアウト満塁、点差は3点、一発が出ればブラックキャッツの優勝、それ以外ならビッグマウスの優勝、こんなにもつれたペナントレースは初めてです。ブラックキャッツ5番のトムが負傷したという情報が入ってきています。恐らく次の打席には立てないでしょう。守備なんてもってのほかです。野球のルールでは、8人になると、負けが決まります。あ、大変失礼いたしました。これは言ってはいけないんでした。負傷したかもしれない、というふうに、今さらですが、訂正させていただきます。さあ、最後のバッターは4番、猫、ここまでチームを引っ張ってきましたが、きょうは一本もヒットが出ていません。ピッチャーは三木間、第一球を投げました、ボール。猫、微動だにしません。狙い球を待っているのか、きょうは不調なのか。運命を握る打席です。第二球、ボール。むしろ逃げているのは三木間のほうか。キャッチャー初金、球審にタイムを告げてマウンドに駆け寄ります。どんな会話を交わしたのでしょうか。よく考えたら、敬遠してしまえばいいような気もしますが、さすがに優勝を決める一戦でそれはできないという矜持でしょうか、それとも先ほどの私どもの放送を、聞いていないのか、はたまたうそだと思っているのか。不気味なほど盛り上がっているここ長靴スタジアムから、アナウンサーは赤城、解説は北の富士さんでお送りしています。

 プレイボールがかかりました。第四球投げました、ファール。この打席、始めてバットを振りました、猫。タイミングは大きく狂ってはいません。ピッチャー三木間、キャッチャー初金のサインに首を振ります。やっと決まったか。第五球、投げました、打ったー、猫ー、大きいー、行ったー、スタジアムの象徴、大きな長靴ー、吸い込まれるようにー、長靴をー、入ったー、猫ー!

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