切られた火蓋(正真バトル編 第六話)
『皆さんこんにちはー!今日は私、放送部2年の新山百花が司会実況を務めさせていただきます!ホストクラ部と高援部の正真バトル、盛り上がっていきましょー!』
司会の言葉に続いて歓声が湧き上がる。グラウンドに会場として用意された特設ステージの周りを沢山の生徒が取り囲み、夏の暑さに更に熱気を加えていた。
「夏休みだってのに、よくこんなに人が集まったわね」
舞台袖から顔を覗かせて呟く柏木。
そんな柏木の言葉に坂野が反応した。
「正真バトルというのはそれなりの大きなイベントだと言うことだ。まぁ、出場するのがあのホストクラ部だという点も大きい」
まるでフェスにでも来たような感覚だ。まさかそれを舞台に立つ側から実感する日が来るとは。おそらく観客の数は一学年分以上。柏木の言うように、夏休みにも関わらずこの動員数はなかなかすごい。こんなに注目されるものとは思わなかった。
『さて!まずは今回の出場者の皆さんにご登場していただきましょう!チームホストクラ部ー!!』
司会の進行に合わせて、対岸の舞台袖にいるホストクラ部の代表5人が入場する。もちろん、それを率いるのは東雲翔太。東雲は歩きながらこちらを見つめ、俺と目が合うとニヤりと口角を上げた。
東雲たちが入場するやいなや、黄色い声援が会場を包む。
「きゃー!翔さまー!」
「今日もカッコいいー!」
「こっち見てー!」
パッと見た観客の男女構成は約半々だが、この歓声から察するにホストクラ部を応援する主な層は、やはり女子生徒。対して観客の男子生徒たちは大して盛り上がっていない様子だ。なぜ男子生徒があまり盛り上がってないのかは、俺たち高援部が入場すると明らかになった。
『続いてチーム高援部ー!!』
坂野を除いたバトルに出場する俺たち5人もホストクラ部同様にステージへと歩みを進める。
すると、今度は野太い声援が会場を包む。
「おい!高援部!野郎どもを殺す気でやれよ!」
「ホストクラ部は俺たち男子生徒の敵だ!ぶっ潰せ!」
「負けたらただじゃおかねーぞ!!」
どうやらホストクラ部は男子生徒たちの妬み嫉妬を買っているらしい。形はどうであれ、意外にも俺たちを応援する人間が多く、少し嬉しい気持ちになった。ガラが悪すぎる気がするが。
『さて!両チームが出揃ったところで、対戦の前にまずは意気込みから聞いていきましょう!それではまず、ホストクラ部からお願いします』
東雲が裏方の放送部員からマイクを受け取り、話し出した。
「あ、あ、あ、どうも皆さん。ホストクラ部部長の東雲です」
再び湧き上がる黄色い歓声。女子生徒の熱気は凄まじく、耳が痛くなるほどだ。
「僕たちは姫たちのために、ホストクラ部の規模を拡大するため、高援部に正真バトルを申し込みました。僕らが狙うのは高援部の部室である屋上です。屋根がないのは少し不便ですが、キャパが広がるのは確か。ということで、僕らホストクラ部が勝った暁には高援部を廃部にし、屋上は僕たちがもらいます。明日はホストクラ部の増設記念に、普段よりサービスを充実させてお待ちしております。今日はどうぞよろしく」
「翔さまー!早く高援部なんかやっつけてー!」
「私たちのためにだなんて、さすが翔さま!!」
東雲の自信満々のスピーチに熱狂する女子生徒たち。対抗して俺たちを応援していた男子生徒たちも、内心ホストクラ部の勝利を察しているのか、東雲の言葉に気圧されている様子だった。
『ありがとうございましたー!さすがはあのホストクラ部。女子生徒からの人気が半端じゃないです!実は当の私もホストクラ部には通わせていただいていまして、明日はぜひ利用させていただきたいなと思います。ではでは、続きまして高援部の皆さん、よろしくお願いします!』
なんだこのフェアじゃない司会。今すぐクビにしろ。
そんな中、今度は俺たちに手番が回ってくる。
俺は東雲のスピーチ中に受け取ったマイクを握りしめ、前へ出ようとした。しかし。
「あっ、あれ?」
マイクがない。
すると、聞き馴染んだ人の声がスピーカーを通して俺の耳へ入ってきた。
「おい野郎ども。テメェらはあんなもやしたちに女取られて悔しくねぇのか?あぁん?!」
部長差し置いて何してんのあいつ。
ステージ前面に設置されているスピーカに足を乗せ、ガラの悪いスピーチを始めているのは、なぜかサングラスをかけたバ柏木。それと…。
「お前らさっき東雲の意気込み聞いて尻込みしてたよなぁ?この学園の男どもは玉無しなのかって聞いてんだよこらぁ!」
同じく足を乗せて威張るのは柏木同様、センスの悪いサングラスをかけた松浦美希。
何してんの、あの教師。
松浦先生に続いてまた柏木がマイクを取る。
「お前らの無念、全部俺ら高援部が果たしてやるよ。俺たちが勝ったらホストクラ部とかいうヤリチン集団は解体だこの野郎!だからよ、テメェらが応援するのはどっちだ?もちろん高援部だよなァ!?」
観客の男子生徒たちを煽る柏木。すると…。
「「「うぉぉぉおおおお!!!!!」」」
先ほどまで燻っていた男たちの声援で会場が揺れる。
「あ、新田さん!すごい歓声ですよ!」
「新田、すごいよ芽依たち!って新田?」
俺は鹿苑と秋元に脇目を振らず、ステージ前面へと歩みを進める。
「おい、マイク貸せ」
「ちょ、ちょっと。今いいのところなの」
「うるせぇ。ついでにそのサングラス寄越せ」
俺は柏木からマイクとサングラスを奪い、親指を下げながら一言。
「今日勝つのは俺たち高援部だ」
「「「うぉぉぉおおおおお!!!!」」」
再び湧き上がる野太い声援。
加えて、女子生徒たちから罵倒の嵐とともに缶やペットボトルなどのゴミが投げつけられる。
「お前誰だよ!翔さまたちを侮辱すんな!」
「童貞が何イキってんだ!負けんのはお前らだろ!」
「おい!誰だ、童貞とか言ったやつ!一発殴らせろ!」
俺は運営の生徒たちに押さえつけられ、ステージ後方へと追いやられる。
『皆さーん!落ち着いてください!高援部もそれ以上の煽りや暴言をした場合、ペナルティをかしますからね。それではいよいよ、東雲翔太率いるホストクラ部と万年童貞新田将也率いる高援部による正真バトルがいざ開幕です!』
だからこのアンフェアな放送部員は交代させろよ!
◇
軽く一悶着があったが、俺たちは進行に従い、正真バトル先鋒戦を迎えた。
「秋元、無理はするなよ」
「うん。ありがとう、新田」
制服から着替え、男装をする秋元。今回のルールでは出場者は全員スーツでの出場となっている。これに則り、秋元もスーツを着ているが、パンツスタイルになると秋元のスタイルの良さがより浮き彫りとなった。
「やっぱ、凛ちゃん脚長いねー。そこら辺の男どもより断然イケてるわ」
「そ、そう?あんま褒められると照れる」
「秋元さん、すごくカッコいいです!似合ってますよ」
「だから照れるって」
秋元は照れながら笑みを浮かべる。
その様子からは過度な緊張などは感じ取れず、ほどほどにリラックスしている様子だ。先鋒戦ということもあって、プレッシャーは少ないのだろう。
「そろそろ時間だな」
坂野が腕時計を見て呟く。すると、放送部のMCが始まった。
『さて、それではいよいよ先鋒戦を開始いたします。出場する両選手は前へ!』
「行ってくる」
秋元はその一言だけ言い残し、堂々と舞台の方へと歩を進めた。
「あいつ、カッコよくね?」
俺は柏木に話しかける。
「もともとそうだったでしょ。凛ちゃん、私たちには抜けたところ見せるから勘違いしがちだけど、本来ああいう子なのよ」
「確かにそうだった」
そして、舞台には秋元と一人目の対戦相手が出揃う。
『両者出揃いましたー!では、先鋒戦のルール説明の前に両者には軽い自己紹介と意気込みの方を聞いていきましょう!まずは、ホストクラ部代表の赤城慎之介さんからお願いします!』
赤城はマイクを手にして話し始めた。
「こんにちはー!2年の赤城慎之介です!」
「シンちゃーん!頑張ってー!!」
「シンくーん!負けないでよー!」
この赤城とやらもそこそこ人気があるホストなのか、女子生徒たちが盛り上がりを見せていた。
「えー、俺、馬鹿なんでよく分かんないんですけど、今日買ったら部長に美味しい肉食べさせてもらえるらしいんで、とりま頑張りまーす!!ということで、応援よろしくぅ!!」
赤城の自己紹介には敵なのにどこか憎めない愛らしさがあった。これが俺にはない愛嬌というやつか。果たして、このザ・人垂らしに秋元は対抗できるのか。
『ありがとうございましたー!それでは高援部代表の秋元凛花さん、お願いします!』
秋元は少し恥じらい混じりに自己紹介を始めた。
「ど、どうも。一年の秋元凛花です」
先ほどの赤城の時とは打って変わり、静寂が訪れた…かに思えた。
「うぉぉぉおおおおお!!!!」
少しの沈黙の後、男子生徒たちの声援が校内に響く。
「何だあの一年!めっちゃ可愛いぞ!ていうかカッけぇ!」
「まるでモデルじゃねーか!高援部にあんな子いるなら、俺は毎日通うぞ!」
秋元の整ったビジュアルと、気恥ずかしさが残る態度のギャップに男子生徒は心を射抜かれたようだ。
「わ、私は高援部の人間じゃなくて、助っ人として呼ばれたんですけど、色々と力を貸してくれた皆んなに恩返しができたらなと思うので、今日は精一杯頑張ります。私は、私に居場所を与えてくれた高援部にはずっとこの学園にいてほしいから」
秋元のスピーチがつつがなく終わる。あれ、なんかちょっと泣きそうなんだけど。秋元のやつ、めちゃくちゃ嬉しいこと言ってくれるじゃん。
「まだ始まってもないのに泣いてんじゃないわよ」
「す、すまん…。ってお前も泣いてんじゃねーか」
シャキッとしなさいと同じく泣いてる柏木に背中を叩かれ、気を引き締める。
『はい!素敵な意気込み、ありがとうございました!それではルール説明に移りましょう!まずは全体の流れから説明させていただきます!ホストクラ部と高援部には先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と代表者を選出していただきまして、先に三勝したチームが勝ちとなります。そして皆さん既にご存じかもしれませんが、本日の対戦内容は恋愛シミュレーションです!』
司会は後ろのモニターに映した資料を使いながら説明していく。
『両選手には先攻と後攻に別れて、審査員の女子生徒と模擬デートをしてもらいます。模擬デートの内容は一戦ずつ異なり、審査員を落とすまで続行してもらいます。そして、どちらのデートがより良いものだったかを審査員がジャッジし、選ばれたチームが勝利となります!それでは、早速先鋒戦のお題を発表します!』
司会の言葉とともに、後ろのモニターに回転するリールの画面が表示される。
『先鋒戦のお題はこちら!』
回転していたリールが止まり、今回のお題が表示される。
[夜の遊園地で甘い告白を!]
先鋒戦の舞台は夜の遊園地に決まった。
『ということで!お二人には夜の遊園地を舞台に審査員を落としていただきたいと思います!今回の審査員は3年生の溝口紗英さんです!よろしくお願いします!』
現れた審査員の女子生徒はどこをとっても普通の一言につきる、一般女子生徒。審査員ごとに好きなタイプはありそうだが、これはどちらのチームからしても運なので仕方がない。
『先鋒戦の先攻はホストクラ部!準備が整い次第、始まりますので、少しの間お待ちください!』
◇
「俺たちは後攻か」
舞台袖に戻った俺たちは来たる秋元の手番に向けて、作戦会議を行っていた。
「場慣れしてない君たちからしたら結構ラッキーなんじゃないのか?先攻の様子を伺えるんだし」
坂野の言う通り、こちらとしては後攻でありがたかった。どう考えてもホストクラ部の面々の方が実力は上だろうし、先にあちらに実演してもらった方が手本になる。まぁ、全てを真似していたら能力値が劣る俺たちに勝ち目はないわけだが。
「舞台は夜の遊園地だってさ。凛ちゃん大丈夫そう?」
柏木が隣の秋元に問いかける。
「私まだ吉村と遊園地なんて行ってない…。新田、遊園地デートって何するの?」
冷や汗を垂らしながらこちらに訴えかける秋元。
「残念だが、俺も異性と二人で遊園地に行ったことなどない。他は?」
俺は他の出場者の3人と坂野に視線を送る。
俺と同様、全員経験がないのか、微妙そうな表情だ。
「はぁ。すまん、秋元。お前にアドバイスできそうな人間はここには…」
「いや、いるぞ」
声をあげたのは高援部チーム最年長。松浦美希。確かに先生なら経験があってもおかしくはないか。でも、なんでさっきはこの人まで微妙そうな顔をしていたんだ。
「え!先生、遊園地デートしたことあるんだ!ぜひそのこと聞かせて!」
松浦先生に食いつく秋元。
「そ、そこまで言うなら教えてやろう。あれは私がまだ高校生だったとき…」
あ、回想入った。
『○○くんは絶叫系のアトラクション得意なの?』
『うん。美希ちゃんは乗れる?』
『小さかった頃は怖くて乗ることすらできなかったけど、○○くんと一緒なら怖くないかも!』
偉くあざといな、この松浦先生。
「そして人生初の絶叫系アトラクションに挑戦した私だったが、無事にコースターの運転中に吐いて○○くんに吐瀉物をぶち撒いたぞ」
「あのどこら辺が"無事"なんでしょうか」
「私の貞操だな。おかげで怒った○○くんは体調を崩した私を放置して一人先に遊園地を後にしたからな」
何を自信満々に語ってんのこの人。つか○○くんの所業がエグいな。
「う、うん。ありがとう先生。参考になったよ」
いやどこら辺が?
吐くの?秋元さん模擬デートで吐くの?
「吐く…、ドリアン…、吐く…、ドリアン…」
先ほどから鹿苑の様子がおかしい。
「鹿苑、お前、」
「あ!そろそろ始まるみたいよ!」
俺が鹿苑に体調のことを問いかけようとしたタイミングで柏木が声を上げる。
柏木の言う通り、ホストクラ部の準備が整ったようで、司会のコールが聞こえる。
『さて、いよいよホストクラ部の準備が整ったようです。それでは高援部vsホストクラ部の正真バトル、先鋒戦のスタートです!!』
すると、赤城慎之介と審査員の溝口紗英が二人で壇上に上がってきた。
「紗英ちゃん、今日は楽しかった?」
「うん、すごく楽しかった!今まで乗ったことないアトラクションにたくさん乗れたし!」
これもう始まってるのか。
他の面々も俺と同じように舞台袖から顔を覗かせ、ステージ上の二人を見つめる。
「そっか!紗英ちゃんが楽しめたなら何より!じゃあ、最後の乗り物行っときますか」
赤城が指差すのはステージ上空の青空ではなく、観覧車。
ってあれ、なんで観覧車が見えるんだ。さっきまで俺たち、高校のグラウンドのステージにいたよな?なんかちゃんと夜になってるし。
「わー!観覧車だ!」
『どうやら赤城選手の告白の場はあの観覧車のようです!ベタ!ベタだけど女の子なら誰しもが憧れるシチュエーションだぁ!』
そして観覧車に乗り込む赤城たち。
「きゃー!私キュンキュンしてきたんですけど!やっぱりなんだかんだ告白はこういうベタベタな感じでされたいの。あぁ、私これから告白されるんだろうなってドキドキするのがたまらないのよ!」
赤城と溝口の模擬デートにたまらず後ろで悶絶するのは柏木。
「へー、お前はああいうのがいいんだ。俺は思いもよらない場面でサラっとされたいけどな。帰り道で笑いながら話してたら、突然私たち付き合おっかみたいな」
「私も新田さんと同意見ですね。なんかこれだと驚きがないというか」
「おぉ、鹿苑。分かってくれるか」
「はい。観覧車とかいう舞台装置に頼ってる時点で告白に自信なさそうなんですよ。告白するなら己の言葉一つだけで勝負しろってんです」
鹿苑と俺の恋愛観は意外と似ているらしく、俺たち二人はガシっと手を握り合った。
「凛ちゃん、あの拗らせた二人どう思う?やっぱ告白はベタな方がいいわよね?」
「えっ〜と、実は私もサラッと派かも…」
「ちっ。他は?」
「僕はベタ派だな。やっぱカッコつけたいだろ」
「私もベタ派だな。観覧車使うなら電光掲示板に美希ちゃん好きだ的なことを映し出して欲しい」
「なんかキモいわね、この二人…」
俺たちがそんなやりとりをしている間にも赤城たちの模擬デートは進行していく。
「わー!綺麗」
「いいよね、ここの夜景。そういえば、紗英ちゃんは知ってる?この観覧車、ゴンドラが頂点に来たときにキスしたカップルは一生幸せになれるらしいよ」
『赤城選手、ベタが止まらない!』
「そ、そうなんだ。でも私たちカップルってわけじゃ…」
「え?違うの?俺はもうそのつもりだったんだけど。だって俺は紗英ちゃんのこと、好きだから」
「えっ!うそ…」
『な、なんと!まさかのここで告白!観覧車が頂点に昇る前に仕掛けてきたぁ!!』
「ふっ、やられたな」
眼鏡を触りながらボソっと吐き捨てる坂野。
「あぁ、ベタに見せかけて意表を突かれた」
「ちょっと、ベタベタうるさいわよ!二人でカッコつけてないで、ちゃんと分かるように解説してよ」
「ベタのまんま行けば、頂点でキスを迫り、その後に好きだと初めて言葉にする。キスと言葉、どちらもキュンキュンするが、その後にどんな言葉をかけようとキスで上がりきったボルテージをさらに上げることはできない」
「新田くんの言う通りだ。やつはそこでキスと告白の順番を逆にした。頂点でのキスで上がるボルテージを最高中の最高にするために、告白の言葉を前座にしたんだよ」
解説する俺たちを横目に柏木たちが何やらコソコソと話す。
「なにあの二人。聞いたのは私だけど、なんかめっちゃ語ってるんですけど。なんかキモいんですけど…!」
「こら芽依。そう言ってやるな。拗らせた童貞はな、一丁前に恋愛の勉強だけはしてるから、ああいう達観ムーブを決め込んでしまうんだ。だからあまり触れてやるな」
「先生の言う通りですよ。芽依さん…!」
「芽依、なんかあの二人可哀想だからそっとしといてあげよ」
「「勝手に憐れむな!」」
俺と坂野は同時にツッコむ。
「って、もう観覧車が頂点に行くわよ!」
柏木の言葉で俺たちは赤城たち二人の方へ向き直る。
「わ、私も慎之介くんのことが好き!」
そういって溝口は赤城に唇を差し出す。
「じゃあこれで、俺たち一生幸せになれるね…」
そして二人は口付けをし、一生の愛を誓った。
『き、決まったー!ホストクラ部先鋒、赤城慎之介!ホストクラ部の威厳を見せつけ、堂々のフィニッシュ!天然な人たらしに見えて、こと恋愛においてはとんでもないロジック派だったようです!』
会場は女子生徒たちの歓声に包まれ、とてつもない熱量を帯びている。夏の暑さのせいか、それともこの熱気のせいなのか、倒れる女子生徒までいる始末だ。
『女子生徒の皆さん、落ち着いてください!あのキスは演出上のもので、実際にはしていないので!とはいえ、刺激に当てられた私もこうして鼻血を垂れ流しております!』
そんなこんなでホストクラ部の手番が終わり、秋元へ順番が回ってくる。
「とんでもないな、ホストクラ部。あれ相手にやれるのか秋元」
「やれるも何も、やるしかないないでしょ。私は私のやり方でいくから。人たらしだか、ロジック派だか知らないけど、私は新田たちに教えてもらったから。私は素の自分が一番素敵なんだってこと」
「そうだったな」
そして迎える秋元の出番。
勝敗を大きく左右するであろう、最初の勝ち星。
それをもらうのは俺たちだ。
正真バトル編 第七話に続く。




