表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たちの高校生活支援部!!  作者: ハチノグノ
夏祭り編+嘘発見アプリ
21/40

番外編 嘘発見アプリ 前編

三学期を終え、迎えた春休み。冬の寒さも薄れ、春の訪れを感じられる。それに伴って、屋上での部活動を再開した俺たちであったのだが。


「なにこれ…」


柏木が俺たちに見せつけてきたスマホの画面には「嘘発見アプリ」と書かれており、その下には「タップしてSTART!」の文字。


「芽依さん、これは一体…」


困惑しているのは横の鹿苑も同じだったようだ。


「見ての通りよ。このアプリは嘘を発見してくれるの。誰かが嘘をついたらこのアプリが教えてくれるってわけ!」


「あのな、アプリ一つで嘘が分かるわけがないだろ。大体、どういう原理で」


「新田うるさい。それじゃあ、実際にやってみて確かめましょ。私はこのアプリが本物っていうのは知ってるから」


俺と鹿苑は目を合わせ、苦笑する。鹿苑も俺と似てリアリストなところがある。当然彼女も全く信じていないのだろう。


「じゃあ、始めるわよ!」


柏木はスマホの画面をタッチし、嘘発見アプリをスタートさせた。


「まずは誰が誰に回答させるかのルーレットからね」


画面には出題者と回答者の文字の下にスロットのリールのような要領で俺たちの名前が流れている。先ほど、柏木がセッティングしたのだろう。


「これは、画面を押せばいいんでしょうか?」


「ええ、そうしたらこの三人の誰かの名前が止まるわ」


「じゃあ、俺が」


俺はスマホの画面をタッチし、リールを止めた。すると、リールは回転をやめ、画面に名前が映し出された。


出題者:鹿苑茜

回答者:柏木芽依


俺は見学か。できれば出題してみたかったが。


「わぁ!あーちゃんが出題者だって。変なこと私に聞かないでよね!」


「ふふっ、そうみたいですね。ところで出題はどうやってやるんですか?」


「アプリが勝手に音声を認識してくれるから大丈夫。このまま聞いてもらって構わないわ」


柏木はそう言っているが、普通のクソアプリなら今の会話を出題と認識して、誤作動を起こしそうだ。しかし、このアプリはそれをしない。各々の声を判別する技術なんて聞いたことないし、一体なぜ…。


「分かりました。では、今期の評定を教えてください。平均いくつでしたか?」


鹿苑らしい質問だな。


「ぐっ。いいわよ、答えるわ。ズバリ私の評定は4.2!」


ブブー!


突然スマホから不正解を示すような音が鳴る。画面を覗くと「嘘発見!」の文字。


「おい、嘘発見だとよ」


露骨に視線を逸らす柏木。


「嘘ついてないもん」


ブブー!


「芽依さん…」


「で、本当はいくつなんだ?」


「3.1よ…」


ピロン!


画面には「本当!」の文字。

柏木の微妙な点数に俺たちはなんとも言えない雰囲気に包まれる。


「ねぇ!何か言いなさいよ!」


「ま、まぁ、悪くはないんじゃないか?」

「え、えぇ。悪くはないと思いますよ?」


「もう!こうなったら次よ!次!」


自分でもいたたまれなくなったのか、柏木はスマホを操作してリールが回転する画面まで戻す。


「今度は私が押すわ!」


リールの回転が止まる。


出題者:柏木芽依

回答者:新田将也


「うわ」

「うわって何よ」


どうせ碌な質問をされないと思い、思わず声に出してしまった。先ほどは、たまたま柏木の回答にアプリの挙動が噛み合ったにすぎないハズだ。ここは変な質問が来ても適当に逃げ切ろう。


「じゃあ、行くわよ」

「あぁ」


「体を洗うならどこから洗う?」


「おい、オッサンみたいなキモい質問すんなよ」 


「はい、私も同感です。新田さんの体を洗う場所とか一体誰得なんでしょうか」


なんかそれは俺の悪口じゃない?


「いいから答えなさいよ!」


「はぁ。腕からだよ腕から」


ブブー!


マジか…。


「じゃあ足、俺は足から洗うんだよ!」


ブブー!


さすがに偶然か?


「背中!」


ブブー!


「胸!」


ブブー!


「肩!」


ブブー!


嘘だろ?悉く俺の嘘が看破されている。このアプリ、マジなのか?


「ははーん、そろそろ場所が絞れてきたわよ?新田はお尻から洗うのかしら」


柏木は動揺している俺を嘲笑う。


こうなったら本当のことを言ってやるか。


「俺は悪くないぞ。俺に嘘をつかせなかったアプリが悪い。俺が最初に洗う場所はち○こだ」


ピロン!


「「「…」」」


三人の間に静寂が流れる。


「おい、何かリアクションしろよ」


「いや、なんで私あんな質問したんだろうって」

「私も別に知りたくなかったです…」


「柏木、スマホ貸せ。次は俺が絶対に出題してるやる」


「ちょ、ちょっと」


俺は半ば強引に柏木のスマホを手に取り、リールを回転させた。


「ここだ!」


指先に気合を込めてスマホをタッチする。


出題者:新田将也

回答者:鹿苑茜


「新田さん、何でニヤニヤしてるんですか…」


「鹿苑、俺は自分がされて嫌なことは他人にはしないように心がけている。だから安心して俺の質問に答えてくれ」


「新田さん…!」


鹿苑は大きな瞳をキラキラさせてこちらを見つめる。


ゴホン。俺は軽く咳払いをしてから口を開いた。


「お前部活の間、たまに屁すかしてるよな?」


「新田さん?」


「ん?どうした?早く答えてくれ」


「ねぇ、新田さん?」


「あっ」


だしろぐ鹿苑を横目に柏木が手のひらをぽんと叩く。


「この嘘発見器、回答までに時間がかかりすぎると高圧な電流が流れるようになってるから」


「それはどういう原理なんですか!」


鹿苑が珍しく声を荒げる。

確かに俺もこいつの仕組みは気になるところなのだが。


「だそうだ。鹿苑、早く答えた方が身のためだぞ」


「…ます」


「あ?」


鹿苑が小さい声で呟き、俺は聞き返す。


「…てます。してますよ!だって私だって人間なんですから屁もこきます!」


今までに見たことがないほどに顔を赤らめた鹿苑は自暴自棄に俺の質問に答えた。


ピロン!


「あーちゃん…」


いたたまれない様子の鹿苑に柏木が肩に手をやる。


「そうだよね。女の子だって人間だものね」


「芽依さん…!」


「ま、私は人前ではしないけどねー」


ズコン!


鹿苑が豪快に転げる。


「もういいです。次です、次いきましょう!今度は私がリールを止めます」


再び嘘発見器のリールが回り出し、次の出題者と回答者を決める。


このままだとどんどん質問の内容が苛烈になっていきそうだな…。


そして選ばれたのは。


出題者:柏木芽依

回答者:新田将也


「また俺かよ…」


「ちっ」


「おい、鹿苑。お前今舌打ちしなかったか?」


「してませんよ」


いつもの微笑みで答える鹿苑だったが、目は笑っていたなかったように思う。


「それじゃあ、私から新田に。そうね、ここは味変といきましょうか。ずばり、新田は私たち二人に恋愛感情を抱いている!」


「いや、全くないが」


ピロン!


「「…」」


「なんでお前ら黙るんだよ」


「いや、別にいいんだけどさ。なんかムカついて」


「はい。新田さんごときが私たちに全く興味がないのが妙にイラつきます。別にいいんですけどね」


誰がこいつらに恋愛感情なんか抱くものか。


「まぁ、でもお前らは見た目はいいよな」


「ほんと!?」

「本当ですか!?」


「でも中身がな。例えるならうんこ味のカレーみたいな」


「「死ね」」



「よし、じゃあ仕切り直して始めるぞ」


なぜかタンコブが四つほどできて、頭部が変形した状態で目を覚ましたが、気にしないでおこう。ここで理由を問えば、おそらくタンコブの数が倍になる。


「あいつ、素知らぬ顔で仕切り直したわよ」

「おそらく記憶を無くしてしまったのでしょう。殺すつもりで殴ったのですが、あと一歩届きませんでしたね」


一体俺は何を口走ったんだろう。嘘発見ゲームって命がかかるものなの?


「よし、じゃあ今度は俺が押すぞ」


出題者:新田将也

回答者:柏木芽依


「ずっと気になってたんだけどさ」


「何よ」


「お前って何カップなの?」


「ふんっ!」


タンコブが五つになっちゃった。ってへ!


「おい、柏木。お前がいくら俺を殴ろうとお前がこの質問から逃れる術はないぞ」


「残念ね、新田。死人に耳無しっていうわよね?」


そんなことわざは知りません。


「そうだ。新田さんの耳を塞ぎながら答えれば問題ないのでは?」


ちっ。小賢しい娘だ。


「それもそうね!」


柏木が俺の耳を手のひらで覆うようにして塞ぐ。


「よし、これなら大丈夫だわ。ずばり私はFカップよ!」


ブブー!


「え、正直に答えたのになんで」


「もしかして、それより大きくなってるとか?」


「え、嘘でしょ。じゃあ、Gカップ」


ピロン!


「嘘!いつのまにかまた大きくなってた!」


「芽依さんってそんなに…」


「ちょっと恥ずかしいからやめてよー」


「そうか。柏木はGカップか」


「「は?」」


間抜けた声を出す女子二人組。


「まさかそこまでとはな。まぁ、なんだ。ご馳走様です!」


「この変態!」


タンコブが七つになっちゃった。ってへ!


「ねぇ、なんで聞こえたのよ」


「気づかなかったか?お前の携帯、俺と通話中になってるの」


「そういうことでしたか…」


鹿苑は俺の一言で察したようだが、柏木は俺の策略に気づいていない様子だ。


「これ見りゃ分かるだろ」


俺は耳に装着したBluetoothイヤホンを外して二人に見せる。


「くだらない不正をしそうだったからな。さっき俺のイヤホンを自分の携帯にペアリングあと、お前の携帯と通話中にしておいた」


「私もうお嫁にいけない…!」


「大丈夫ですよ、芽依さん」


泣き崩れる柏木の肩に鹿苑がそっと手を添える。


「本当?」


「はい、だってそんな大きなお胸があるんですから…!」


鹿苑は柏木の肩に添えた手に力をぐっと込めた。


「痛い痛い!あーちゃん痛いってば!」


俺は鹿苑の絶壁な胸に目をやる。


「…」


本来、本音を話して仲を深めるための嘘発見器な気がするが、俺たちに関しては溝が深まっているだけのような気がする。このまま続けるメリットはあるのだろうか。


「次は私が押します」


出題者:柏木芽依

回答者:鹿苑茜


「ねぇ、新田」


「ん?どうした?」


「私もうなんかあーちゃんが怖くて何も質問できない」


鹿苑に握られた肩を押さえながら柏木が言う。


「そうだなぁ。このゲームって本来、本音を語ってもらうことで仲を深めるものだと思うんだ。だからいっそのこと自分のダメな点を答えてもらったらどうだ?」


「なるほどね。そうしてみるわ!」


実際、人の悪いところとかってなかなか直接言えなかったりするしな。


「じゃあ聞くわよ。あーちゃんが思う私のダメなところって何かしら?」


「はい。その牛みたいに馬鹿でかい乳だと思います」


ピロン!


鹿苑は微笑みながら柏木の乳を両手で鷲掴みにした。


「ち、ちぎれる!ちぎれるから!」


「ふふっ。私なんかちぎれるような乳房すらないというのに贅沢ですね」


あ、もうダメだこの部活。



後編に続く。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ