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魔法を一つも覚えずに転移した国から追放され牢屋へ入れられたが、スキル【AI生成メニュー】を駆使して王国を離脱し生きようと思います  作者: 隻眼のぴっぴ


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第12話 プラプライムの町へ到着!

本日二話目の連続投稿! 

三十話オーバーでざっと書いてあるのでストックは多いです。

よかったらブックマや評価して頂けるとモチベ上げていけますのでよろしくお願いしますー! 

ってアピールが足りない作者でした……あんまり好きじゃないんですがほどよくアピールすることにいたします! 

「ようこそプラプライムの町へ! 歓迎するぜ、兄ちゃんたち!」

「あ、どうも……その、よろしく……」

「なんだぁ? おとなしい兄ちゃんだな。はっはっは! ようこそプラプライムの町へ! 歓迎するぜ!」

「あの、二度言わなくても大丈夫です。本当に、あの。すみません」

「びびりすぎだぜ、こいつ」

「相手はミノタウロス族だからな。無理もない」


 無理もない、じゃあねぇ! なんで平気な顔してんだこいつら。

 牛鬼だよ? 門番牛鬼だよ! 筋骨隆々だよ分かってんの? 

 中に入ったらこんな牛鬼がいっぱいいんの? 

 帰りたいんですけど。穴倉で生活したほうがましまでありますわ。


「んで。通行証は無いんだったな。金は持ってるか?」

「いえ……無一文ですが、その、これなら……」


 ――少し前にさかのぼろう。

 橋から落ちてドボンした俺たちは結局またリーアに助けられた。

 このアリは何気に水陸両用で、氾濫した川でもすいすい泳ぐほど珍妙な生物だ。

 しかもスタイルだけばかみたいに良い感じでしたがぶん殴られました。

 そんなわけで礼を請求された。

 なんの礼とかは言うまでもない。

 無一文だと知るとさらにキレたわけだ。

 仕方なく果物のリンゴを生成して食わせたら滅茶苦茶喜ばれた。

 これは売れる、もっと出せと。

 時間が経つと食った効果は消えるが気付かないだろう。

 そして、俺の目の前にはリンゴがある。

 それをミノタウロスに差し出した。

 これは……ただのリンゴじゃない。

 この世界にもただのリンゴはあると知った。

 しかしな。コンビニにすら売っているリンゴだってただのリンゴじゃないんだ。


「こいつはリンゴのような匂いだ。だが、まるで血のような色が濃いリンゴだ。初めてみる」

「それはそれは遠い異国から持ち寄った最高の品で。ですが賞味期限がもう間近。もしリンゴが好きならそれと引き換えに俺たちの入国を……肩代わりしてもらえませんか?」

「ふむ。確かにリンゴは好きだが……美味いんだろうな?」

「あったり前だ。お前がいらないってんならあたいがまた……はぁ、はぁ。あの味を思い返しただけで……ああ、食いたい!」

「おい落ち着け。お前が食ってどーなることもないだろうが」

「よし分かった、いいだろう。もし美味かったらもう一つをこの金貨一枚で買い取ってやる」

「まーじーでー!? さぁ、食べてみてくれ! ただし直ぐ腐るからな? もう一個もさっさと食えよ? 消えるように腐るからな?」


 少しいぶかしみながらも、リンゴを一口ばくりと食うミノタウロス。

 直ぐにガツガツと食い始め、あっという間に間食して金貨を差し出してきた。


「美味い! 美味すぎる! なんだこの蜜の甘さは! 歯ごたえもじゅりじゅりではなくしゃきしゃきして、なおかつ酸味も利いている。文句なく最高級のものだ。もっとないのか? 一個といわず、十個くらい」

「残念だが今は無い。いずれ入荷したらまた売ってやるさ」

「随分堂々とした雰囲気に変わったな。まぁいい。お前ら見たところ冒険者だろう。宿は町の奥にあるおっとり亭を使うといい」

「冒険者? ちなみにその登録にも金が必要か?」

「ああ、そうだな」

「……金が足りない。全然足りない」

「これだけの商品を仕入れられるんだ。金なんざ直ぐに手に入れられるだろうよ。それじゃな! いやー美味かった。娘に食わせるため俺は少しだけ外すぞ」


 ……罪悪感凄い。

 本物のリンゴが手に入ったらちゃんと娘さん用に持って行くくからな! 

 だから許して下さいお願いします。


「おら。さっさと宿行くんだろ。あたい疲れちまったよ」

「お前はもーいいだろ。ちゃんとリンゴでお返しやっただろ。じゃあな」

「はぁ? 何言ってんだ。最初に溺れてたのを助けた分、まだもらってねぇからな」

「エイトよ。ひとまず宿屋へ行こう。これからのことはそこで話そうぜ」

「ああそうだな。俺もマジック使い過ぎて疲れたわ。はぁ……にしてもそれなりに大きい町だな」

「このあたりを統治している奴が優れている証拠だろうな」

「おい。話は宿屋でするぞ」

「……はい。直行」

 

【おっとり亭の宿】


 ――ここでも俺は度肝を抜かれた。

 いや、街中を歩いてるときもだ。

 人間がほとんどいない。

 いや、中には人間でうっふんなお姉たまもいたのだが。

 さげすんだ眼で見られたわけだが。

 どちらかというと強面の一つ目や、しゃべる爬虫類や両生類なんてのもいた。

 この世界、どーなってんだ? 

 人間と魔物のコラボレーション? 

 なんなら宿屋の女将さんすら爬虫類ですよ。


「いらっしゃい。人間とその他ね。一人一泊銀貨四枚だよ」

「おいちょっと待て。入口のマブダチに一泊一人銀貨一枚って聞いてきたんだが? 俺の相棒ミノタウロスZを舐めないでもらえる?」

「なんだいカンキチの知り合いかい。銀貨一枚は嘘だろ。仕方ないねえ。三人で一泊銀貨五枚。いいね」


 あいつカンキチっていうの? あんな感じでカンキチなの? カンさんなの? 

 知り合いじゃこれ以上値切れない。くそう、俺の金がもう残り銀貨五枚になるのか。


「……はい。ひとまず一泊で」

「部屋は突き当りの奥。食事は朝と夜の二回。さっさと行きな」

「……はい」

「ちょっと待て! あたいは別の部屋なんだろ?」

「何言ってるのさ。金、無いんだろ?」

「……お前、絶対近寄るなよ」

「寄らんわ! なんでアリに好んで近寄らなきゃならないんだよ!」

「おい女将。ここから冒険者ギルドは近いのか?」

「冒険者ギルド? ああ、それなら出て直ぐ正面だよ。怪しい集団かと思ったけどなんだい冒険者かい。それなら仕事を……」

「ちょっと待て。まだ冒険者になってない。そういうのは後にしろ」


 ほう。冒険者とやらになればこんな宿屋でも仕事にありつけるのか。

 この俺のスキルさえあれば仕事をこなすなど実に容易いことだ。 

 ならば早速支度をして冒険者になるのも悪くない。

 途中いたお姉たま方もきっと冒険者に夢中なのだろう。

 ……あんなさげすんだ眼で黒ツナギの俺たちを見ることもなくなるはずだ。


「ところでなんでお前らそんな恰好してるんだ?」

「うるさーい! アリはだーってろ。気にしてんだから!」


 部屋は素朴な三人部屋。

 しかしこの世界に来て初めてのまともなベッドですよ。

 水浴びは外で滝と共に済ませてきた。

 もう寝ます。お休みなさい起こさないで下さい。

 細かいことは全部明日だ、明日! 


「エイト。話を」

「うるさいうるさーい! 俺はもう寝るって決めたんだ!」

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