5-3 Crowd Control ー 謀 ー ③
次の日、瀬戸は組織の幹部を集め仲西へのカエシの計画を話した。幹部メンバーは比較的人数の多いグループのリーダーに合わせ、瀬戸グループの数名を合わせて構成されていた。
瀬戸は組織全体で動くと人数が多すぎて目立ってしまうため、カエシに参加する人数はある程度限定することを前提に話を進めた。雨の日の一件以来、仲西は田辺たちの動きを明らかに警戒している。闇雲に大人数で動けばこちらの動きに勘づかれる可能性は高く、正攻法で攻めてもうまくいかないと予想できた。
仲西の戦闘力が結構なものであることは、すでに全員が知っているものだ。もし再度本人にカエシをすれば、おそらく実行役も無傷では済まないことは目に見えている。
そこで瀬戸はまず、どうしても仲西本人にしたければ、その役を誰かにやってもらうになるがそれでもいいか?と全員に確認した。
ある程度の人数を使えば、いかに相手が仲西と言えど負ける可能性はない。数で言えばこちら側が勝ち戦なのはわかっている。しかし幹部各々の考えとしては、アホな田辺の失敗の尻ぬぐいに一ミクロンも余計な力を使いたくない、というものが本音であった。当然そんな貧乏くじを率先して引きたいという者は出てくるはずもない。
しかし一方でやられっぱなしの状況では組織としての面子は丸潰れである。こちらがやり返さないと思われれば、仲西たちがこちらに対して横やりを入れてくる可能性もゼロではない。そうなれば間違いなく今やっていることがやりずらくなる。
〈このままでは金儲けができなくなる〉
ほとんどの者はそう考え、何かしらの手を打っておきたいと考えていたのだが、カエシに加わって仲西をカタにはめたところで、はっきり言って自分たちにメリットはない。むしろ仲西相手に暴れてケガをしたらただのやられ損である。
そんな消極的な雰囲気を瀬戸は予想していた。
そこで瀬戸は、今回は仲西本人を叩くのは避けて、仲西と仲がいい生徒から攻めていくのはどうか、と別のアイデアを出した。仲西と同じぐらいに腕が立つという噂の那珂島は無視して、狙いとして、那珂島美月、伊吹蓮、希峯凜の女子三人の名前が挙げられた。
まずこの中の一人でも痛めつけて仲西たちに精神的なダメージを与える。それをうまくダシにできれば、その後本人たちを一方的に痛めつけることができる、という汚いやり方であった。
女を相手にする方向にしたとたん、幹部連中の喰いつきが異常に良くなったが、一点だけ予想外な事実が判明した。
ある幹部の情報によると伊吹蓮は相当格闘の腕前があるらしい。その幹部がまとめるグループメンバーの二年の何人かが以前、大人数で伊吹蓮を襲おうとしたところ、あっという間に吹っ飛ばされてしまったようなのだ。
瀬戸は、美しい顔をした伊吹蓮を思い出しながら、最初は信じられなかった。しかし、その幹部が嘘の報告をしたところで彼らに何のメリットもない。しかも女に倒されたという情けない話をわざわざでっち上げる意味もない。それらを考えると、その幹部の話には異様な信憑性が感じられた。
そうなると狙いは那珂島美月か希峯凜である。
二人をどう追い込もむかと提案すると、最初はカエシに行きたがらなかった幹部連中は、こぞって参加する意思を瀬戸に伝えはじめた。あげくの果てには、誰がどちらのターゲットを受け持つかでかなりもめた。希峯凜のことを知っている幹部もおり、その話を聞いて他の幹部の顔つきも変わった。
美月の外見もかなりいいものを持っているが、希峯凜はそれを上回るものであった。顔つきはまだ少し幼さがあるものの、瀬戸も見とれるほどの美しい体つきをしており、そのかわいらしい顔と体から生まれるギャップが異常な色気を纏わせている。
瀬戸としては当初の計画では、美月と凜に同じ人数の割り当てを考えていたのだが、幹部連中は全員希峯凜の相手をしたがりお互いに全く譲らない。最初にカエシの話しを始めた時とはうって変わって積極的になった幹部連中の目は下品にギラついていた。一つ間違いなく言えることは、この連中が女子を狙ってただで済むわけがないことであった。当たり前のように犯すことが目的である。
意見をまとめ上げた結果、各グループのリーダーと瀬戸を合わせた十人で凜を狙うことに決定した。美月をターゲットにするメンバーは、瀬戸グループから腕の立ちそうな五名を選ぶ運びとなった。
実行場所であるが学校の外ではなく、学校の中で行うことに決定した。仲西たちには外部に仲間がいるようであり、下手に学校外で動くと場合によっては未知の戦力に邪魔をされる可能性もあったからだ。
そして最後にそれをいつやるかである。話し合いの末、学校全体の生徒が動きまわる行事の日がやりやすいのではないかという意見を採用し、実行日は体育祭当日に決定した。
〈これがうまくいけば仲西も潰せて、この連中も扱いやすくなる〉
瀬戸は内心ほくそ笑んだ。




