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RR ー Double R ー  作者: 文月理世
RR ー Double R ー ZWEI
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5-2 Crowd Control ー 謀 ー ②


 一方、瀬戸サイドである。

 瀬戸は、田辺が仲西からカエシを受けたことを知らされると、すぐにステッカーの販売をやめるよう全グループに指示を出した。その売り上げから入る実入りはそれなりのものがあり本音を言えば続けたかったのであるが、グループメンバーによる無茶な押し売りが目立ってきていたのもまた事実であった。

 ここで変に仲西たちと揉めて校内で問題が大きくなり、他にやっている案件も潰されてしまったら元も子もない。各グループにあまり派手な動きをしないように指示を出すと、表面上目立った動きを控えていた。

 しかしそれは完全に計画通りの動きであり水面下で今後の動きをひっそりと探っていた。

 しばらくすると悪い噂も多少は落ち着き始める。当然おとなしくしていた分、各グループのパーティー券やステッカー販売の売り上げも少なくなり、金回りの悪くなった生徒から不満の声が出始めてきた。

 しかし瀬戸はすでに次の一手を既に考えていた。仲西の田辺へのカエシに関しては許すつもりはない。四月から活動を始めた組織は、まだ十分なまとまりができていない部分があった。ここで自分が臆病になってイモを引いたら当然トップとしての力量も疑われる。各グループには時期を見てこちらから仕掛けるつもりであることは伝えていた。


 瀬戸はひたすら情報を集め仲西の動きを探った。

 あるグループの生徒に聞いたことであったが、最初に気になったのは仲西がランキングバトルとかいう格闘技の試合に参加していることであった。仲西の腕がかなり立つことは聞いている。実際に最初のトラブルでは、田辺は複数で仲西と戦って見事にのされていた。

 仲西が一人になったところを狙った襲撃は田辺が考えたものではない。田辺では正面からぶつかっても仲西に勝ち目はないので、できるだけ大人数で、かつ仲西が不利になる状況で襲うように指示を出したのは瀬戸であった。

 その瀬戸に従って田辺は仲西を見張っていた。あの雨の日に仲西を襲撃できたのは、しつこく仲西の動きを探っていた田辺の粘着質な性格のおかげであった。

 しかしその後も田辺は仲西に手痛いカエシをされ、今は完全に怖気づいてしまっていた。

〈もともと使えない奴だったが、今はただのお荷物だな〉

 瀬戸はそう思いながら、田辺や茂木、林田の使い道を考えた。そして三人にはしばらくの間組織から離れ、何もせず真面目に生活するよう指示を出した。仲西たちに面が割れている人間に活動をさせないでおけば、多少のカモフラージュになるかもしれないからだ。

〈せいぜい更生したふりをさせてみるか。そんなんであいつらが、俺たちが何もしないと勘違いしてくれるとは思えないが、こいつらの使い道は他になさそうだ〉と瀬戸は思う。

 田辺から聞いた話では、仲西のカエシはむこうに味方が複数いてどうにもならなかったとの言い訳であった。そのカエシの場で田辺が知っている仲西以外の顔は一人だけで、他の二人は見かけたことがないと言っていた。

 しかし田辺程度の人間を倒すのに人数はいらない。おそらく手負いの仲西にタイマンでボコられたのだろう、と瀬戸は予想していた。


 それから瀬戸は、仲西に加勢する他の仲間がいるかどうか情報を集めた。ある程度調べると、どうやらこの学校には仲西の味方になるような知り合いは特にいなそうであった。田辺が見たという二人は、もしかしたらこの学校の生徒ではないかもしれなかった。

 茂木と林田のクラスにいる美月が那珂島という生徒の妹であることはすぐにわかった。それに加えて仲西たちがよく会っているという女子生徒がいる事実も見えてくる。女子の名前は、伊吹蓮と希峯凜であった。

 二人ともはっとするような美少女であるらしい。特に希峯凜はかなりの上物らしく、他のクラスや学年からわざわざ見に行く男子もいるとのことだ。

 そこまで言われると瀬戸も興味を持ち始めた。仲西たちをよく見かけるという学食を聞き、瀬戸は一人でこっそりと伊吹蓮と希峯凜を見に行った。

 何回か足を運ぶが、仲西や那珂島しかいない日が何日か続いた。そして数回の空振りの後、学食で仲西たちと話をしている二人を見ることに成功した。

〈レベルが桁違いだ〉

 瀬戸は伊吹蓮と希峯凜と思われる美しい生徒を見て驚いた。

〈これはいいエサになる〉

 早足にその場を去る瀬戸の顔にうっすらと下卑た笑いが滲み出ていた。








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