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RR ー Double R ー  作者: 文月理世
RR ー Double R ー ZWEI
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4-6 Retribution ー 讐 ー ⑥

 

 蓮が凜からメッセージを受け取った数日後。

 夕闇の中、仲西、那珂島、真野、渡の四人は田辺を囲んでいた。

 田辺はいつも通り自分のグループの集まりの後、ふらふらと繁華街で時間を潰してのん気に帰ってきたところを家の近くで張っていた四人に捕まったのだ。


「よお、先輩」と仲西が最初に声をかけた。

 田辺は最初、誰だかわからなかったようであるが、相手が仲西だとわかると、

「てめえ、何のつもりだ」と低い声で威嚇した。同時に暗闇から三つの影が静かに田辺を取り囲む。すぐに田辺は自分の置かれた状況が危ういものであると理解した。仲西は、自宅近くで面倒を起こしたくなければ自分についてくるように言うと、前もって確認しておいた近くの空き地に田辺を連れていった。


 時刻は午後八時を回ろうとしていた。

 仲西が案内した場所は周りを建物に囲まれた広めの更地であった。うまい具合に通りからの目も届きにくく、この時間になるとその場所に誰かが好んで立ち入る気配もなかった。


「この間はどうも」仲西が言う。

「なんのことだよ」田辺はシラを切る。

「とぼけても無駄だよ」と仲西は言いながらガジェットを取り出し、田辺グループのメンバー一人一人を読み上げた。


「俺たちがやった証拠なんかねえだろ?」田辺は動揺の色を見せた。

「お前馬鹿か。あの時お前んとこのヤツが俺に話しかけてんだぞ。しかもお前もいたじゃねえか」

「だからなんだよ」田辺は開き直る。

「いやー。あれだけのことされて黙ってるのも変でしょ。まだあばらは痛いし。思わぬ入院やら治療費やらで、サイフも痛いって言うのに」と仲西が言った。那珂島はうまいこと言うなーと思いながらも無表情のまま何も言わない。


「ふざけんな。てめえだって散々暴れただろ。こっちだってケガ人でてんだよ」

「てことは、俺やったのお前らだって認めるんだな」仲西の軽い調子の口調が一変し低い声に変わる。

 田辺は何も答えない。

「まあいいや。先輩も怪我したくないよな。これ買ってくれれば見逃してやるよ」と言って仲西は〈如意棒〉シールを田辺につきだした。


「ふざけんな。こんなものいらー」と田辺が言い終わらないうちに、誰かが田辺のケツを後ろから蹴り上げた。田辺の体が前のめりに倒れる。蹴ったのは真野であった。

「こいつ、もうやったほうがいい」妙に冷めた声で真野が言った。


 ここ数カ月で、真野の体はまた一回り大きくなった。怪我で普通の練習ができない分筋トレに走ったのだ。普段は通信制の高校に通っているため自分で使える時間がそれなりにあり、ウェイトトレーニングでかなり鍛え上げていた。身長は仲西ぐらいであるが、筋肉が増えた分体重が仲西よりも十キロ以上重くなっていた。


 田辺が痛みをこらえながらなんとか立ち上がる。

「汚ねえぞ、お前ら」と尻の苦痛に耐えながら強がった口調で言う。

「俺のことあんだけの人数でやっておいてよく言えるな」

 田辺は何も答えず仲西を睨んだ。


「で、買ってくれるんすか?」仲西が続けて聞いた。

 それでも黙っている状態にイラついた真野が田辺の胸倉をつかみ吊るし上げた。

「わかったよ、買うよ」と田辺が言うと真野は手を離した。

 田辺が胸ポケットから財布を出し、五千円札を抜き出すと仲西に渡し、

「これでいいだろ」と田辺は言った。しかし仲西はそれを受け取らず、

「五千円じゃ足りないんだけど」と答えた。


「は?それは五千円のはずじゃー」と田辺は言いながらまた変に誘導されたことに今さら気づく。那珂島は谷松の田辺評を不意に思い出した。

「今プレミアついて五万円払ってもらわないと」と仲西。

 真野は固まって動こうとしない田辺から財布を取り上げその中身を見た。中にはそれなりに札が入っており中々羽振りが良さそうだ。


「だいぶ儲かってるみたいだな」真野はそこから五万円抜くとそれを田辺に渡し、

「ほら、これで買えるぞ」と言って渡した。

 田辺は金を受け取ると震える手で仲西に渡そうと差し出す。しかし仲西はそれを受取ろうとしない。

「これで金貰ったら、俺もお前らと一緒になっちゃうな」と言って仲西はステッカーを胸ポケットに戻した。そして、「俺とタイマンすれば、今日は許してやるよ」


 真野の表情が暗がりの中で一瞬、えっ、となった。前もって決めた話では、田辺とタイマンをするのは自分の役割のはずであったからだ。仲西のアバラの怪我はまだ完治していない。そんな状態で戦ったりしたら復帰が先延ばしになる。真野は思わず那珂島を見た。

 那珂島も〈どうしようも無い〉といった感じで手を広げる。


「他の奴は手出ししないって約束しろよ」田辺はなんとか虚勢を張ると同時に誰かが田辺の頭を後ろからひっぱたいた。

「お前、偉そうにしてんじゃねえよ」今度は渡であった。








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