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RR ー Double R ー  作者: 文月理世
RR ー Double R ー ZWEI
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4-1 Retribution ー 讐 ー ①


 その日ダブルアールのメンバーは那珂島の家に集まっていた。

 六月に予定されているブロンズリーグへのリーグ入れ替え戦について話し合うためである。アンダーリーグで苦しむこと約二年、ようやく手繰り寄せたブロンズリーグへの昇格戦であるにもかかわらず、このタイミングで仲西が怪我をしてしまい出場は難しくなった。


 怪我の回復だけであれば十分間に合うのであるが、実戦に向けての練習ができない状況ではバトルメンバーにするにはリスクが大きい。参加メンバーの選択肢は真野か渡であるが、真野は前回のバトルで負った怪我が長引いてしまい、まともに練習ができていない状況であった。 

 結果、六月のバトルは、蓮、那珂島、渡のバトルメンバーで臨むことになった。



 ランバトの打ち合わせが終わると、もう一つの議題である仲西を襲った連中について話すことになっていた。今回は凜にも同席してもらいたいという仲西の申し出もあり特別にミーティングに参加してもらった。

 ランバトのメンバーやオーダーについてみんなで話し合っている中、一人でピコピコとゲームをしている凜を真野や渡はしきりとチラ見していたが、途中で蓮に睨まれると、二人は首の位置を正面に固定してひたすら凜から目を背ける努力をしていた。


 今回の件に関しては、全員が今までに見せたことのない怒りを露わにしていた。

 特に変な方向で正義感の強い真野は、俺は別の学校の人間だから相手のガラが割れたら闇討ちするよ、と物騒なことをぶつぶつと言っていた。那珂島は、そうゆうのはいいから、となだめていたが、渡はそれいいかもね、と真顔で同意をしていた。そんな中、仲西は学校の知り合いから集めた情報の内容を話し始めた。 


 今年度が始まった四月から、三年のあるグループ主導で学校の目立った連中をまとめ上げ、形式上は一つの組織にまとめ上げたそうだ。少し前に、仲西がそんな話をみんなに伝えているので、そこまでは全員知っている内容であった。


 仲西が聞いた話では、その組織が何やら妙な会社ごっこを始めたようなのだ。組織をまとめているメインのグループが、下のグループを使って金を集めているらしい。

 その上納金のようなものを払うために乱暴な資金集めをするグループもあるようで、最近不良グループの間でもギスギスした不穏な空気が流れているとのことであった。


「美月ちゃんからお金を取ろうとしたのは、たぶんそれが関係あるだろうな」仲西は苦々しげに言った。

「つーか、それって犯罪じゃねえの?」真野が言う。

「金だけとるなら恐喝だけど、あいつら変なグッズみたいのを金の代わりに渡してるみたいなんだよ」と言って、仲西は胸ポケットから細長いはがきのようなシートを取り出した。

 それはステッカーであった。二枚あり、それぞれ〈如意棒〉〈筋斗雲〉と漢字がプリントされただけのふざけたデザインである。如意棒と書かれたステッカーは白地のシールで地味であったが、筋斗雲ステッカーは、キラキラしたゴールドの下地で、微妙な特別感があった。

「これいくらなの」凜が聞く。

「如意棒が五千円、筋斗雲が一万円」仲西が答える。知り合いに頼んで、半ば強制的にステッカーを買わされた人間を紹介してもらい、二枚合わせて五千円で買い取ったらしい。半額以下でも買い取ってくれて感謝されたそうだ。


「こんなの百均のシールに、適当にプリントしただけじゃねえか」渡が言う。

「まあ、形だけでも何か渡しとけば、言い訳できるって考えてんだろ」仲西が答える。

「如意棒に筋斗雲ねぇ。牛魔王でも倒しに行くのかしらね」凜が呆れたようにつぶやく。

「ギューマオーって誰?」蓮が質問すると一瞬場が凍り付く。凜は手短に西遊記について説明してあげた。

「何にしても、あんまり感心できないな」那珂島が唸る。

「で、ちょっと気になったのが、今組織まとめてる奴は、谷松じゃなくて瀬戸っていう奴らしいんだよ」仲西は筋斗雲シールの裏を見ながら、何かを確かめていた。どうやらその裏にいろいろメモしてきたらしい。


 以前、仲西が聞いた話では、今年度は谷松という生徒が学校をまとめて何かしらの組織を作ろうとしているとの話であった。しかしその谷松は四月に学校が始まってからもしばらく登校しなかった。

 谷松が学校に来なかった、いや、来れなかった理由は仲西たちには推測できた。四月五日の夜の出来事は未だに謎のままである。

 その不在の間に、谷松一派を一掃する裏切りのようなことが起こり、結果として今は瀬戸という生徒のグループが組織をまとめ、何やらろくでもない動きを始めているようなのだ。








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