表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RR ー Double R ー  作者: 文月理世
RR ー Double R ー ZWEI
87/286

3-2 Assaulting ー 襲 ー ②


 仲西が病院に運ばれたという知らせは、すぐに那珂島経由で蓮たちに伝えられた。

 嵐のような大雨の中、偶然通りかかった神宮寺高校の生徒が複数の人間の異様な怒声に驚いて学校に連絡したようであった。

 教員が現場に駆けつけた時には、仲西はぐったりと細い路地の塀にもたれ、意識はあるが痛みでまともな受け答えができないほどのダメージを受けてしまっていた。


 次の日、那珂島、美月、蓮と凜は、そろって早退して仲西のお見舞いに行った。

 入院先は東横線の最寄駅から二十分ほど歩いた場所にあるこじんまりとした病院であった。受付で教えられた三階にある六人部屋に行くと、仲西はカーテンで仕切られた真ん中のベッドの上で上半身を起こし、先に来ていた真野と話をしていた。頭には包帯が巻かれ、左目の目じりとほほにあざができ、口の端は切れていた。


 仲西は那珂島たちを見るなり、おおげさに作り笑いをし、やられちゃったよ、とおどけてみせた。今はちょっと笑うだけでも上半身に結構な痛みがあるらしく、絶対に笑わせないでくれと、冗談交じりに言っていたが、誰も笑える状況ではなかった。

「相手、わかってんだろ」那珂島が聞く。

「まあ、わかってるけどさ。仕方ないよ。俺が弱いのが悪いんだから」と仲西は話をはぐらかした。

「どれぐらいで退院できそうなの?」蓮が尋ねる。


「全然すぐだよ。今日も念のため様子見てるだけで、遅くても明後日には退院できると思う」仲西は、見た目は派手にやられているがダメージはそれほどないと言い張った。

 しかしそれは本人の判断であり、決してかすり傷と言える部類の怪我ではなかった。聞けば脇腹の打ちどころが悪くヒビが入ってしまったようである。

「これじゃ次のランバトは無理だな」那珂島がそうつぶやくと、仲西が顔を歪めた。



 美月の夕方の出迎えは、蓮が行くことになった。

 那珂島が兄である自分が迎えに行くのは、本人が嫌がるんじゃないかと気を使って蓮にお願いしたのだ。蓮が行くことになると必然的に凜もついていくことになる。


 数日も経つと、この二人が美月を迎えにくる姿は一部の生徒の中でちょっとした話題となった。仲西が美月を迎えに行っても、あまり話題にもならなかったであるが、二人が迎えに行くと、どういうわけか美月に対してちょっとした羨望の眼差しが向けられるようになっていた。


 蓮と凛と美月がどういった関係かはわからなくとも、二人がわざわざ一年校舎まで迎えに来るような親しい間柄という事実が、美月に対するクラスメートの接し方を変えた。

 生徒の中には、美月はただの物静かな生徒から、上級生にかなりの美人の知り合いがいるなんだか羨ましい女子、という見方をする者もでてきた。


 不思議なことに、蓮や凜と関係があることが判明すると、今まで美月を空気の様に扱っていた生徒たちが、変に親切にしてくれたりする現象が増えてきた。

 美月は相変わらずぎこちないやり取りしかできなかったが、少し前までのように無下に扱われるようなことが極端に無くなった。そんなことを通して、人間の単純さというものをしみじみ感じることができた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ