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RR ー Double R ー  作者: 文月理世
RR ー Double R ー ZWEI
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3-1 Assaulting ー 襲 ー ①


 始まりは五月の初旬にしては珍しい、嵐のような雨の日だった。

 その日の朝、仲西は激しい雨音に目を覚ます。カーテンを開けると大きな雨粒が強い風に煽られパラパラと音を立てていた。

 窓ガラス越しに見える景色は雨のせいでもやがかかったように不透明で、その瞬間にバイクで学校へ行くのを諦めた。今日はさぼろうかとも思ったが、やはり美月には会いたいのでおとなしく電車を使って行くことにした。


 結構な大雨であったのでスニーカーでは一瞬でずぶぬれになると思い、仲西は合羽に長靴といういでたちで家を出た。合羽せいで蒸れるのをひたすら我慢しながら、なんとか学校にたどりついたのだがもたもた歩いていたせいで普通に遅刻してしまった。

 天気は悪くても授業は普通にあり、昼はいつものメンバーで食堂に集まった。


 そんな日でも仲西は美月に会えればとにかくうれしかった。その日も一緒に帰れると思ってわくわくしていたが、美月は午後から渋谷に用事があるらしく、凜と一緒に昼食の後に早退してしまう。一気にモチベーションが下がった仲西は、午後の授業を眠ってやり過ごした。

 放課後、那珂島に一緒に帰ろうと誘ったら、体育祭の係か何かの話し合いで残らなければならなくなったようであった。蓮は蓮でこの雨の中バイクで学校に来る猛者であった。


 仲西は帰りの学活が終わると、一向に収まらない雨の中、足早に学校の正門を出ていった。微妙に湿っている長靴は、がぽがぽと湿った不快な音を立てた。

 美月と一緒に帰れないのを、ひたすら残念に思いながら、駅へ近道するための裏道を歩いていく。その裏通りの道幅は狭く、日中でも薄暗い場所にあるため好んでその通りを使う生徒はほとんどいなかった。


 仲西がしばらく進むと歩くと、後ろから複数の人間が近づいて来る物々しい気配を感じた。なんとなく嫌な感じがして、歩く速度を速める。顔を上げると、暗がりと雨で視界が悪い路地の少し先からも、何人かの人影が仲西の方に向かってきているのが見えた。仲西は立ち止まり状況を整理する。相手はどうも自分に用事がある雰囲気であった。


 道路わきは民家が立ち並び、これといった逃げ場所はなく、細い路地で前後から挟まれる状態になった。仲西は通路の片側の壁を背にすると、寄ってくる人間をじっと待った。

 左右からきた複数の人間が、仲西の数メートル手前で止まった。人数は全部で七~八人。開けた場所であれば、多少人数がいても対応できるが、ここは細い路地である。仲西は覚悟を決めた。


 その集団の一人が仲西に向かって一歩踏み出してきた。雨で髪がべったりとしてしまっていたが、間違いなく先日仲西に吹っ飛ばされた林田であった。雨で濡れた顔には薄ら笑いが浮かんでいた。

「土下座すれば、許してやるよ」ニヤけながら林田は言った。

「お前がしろ。タイマンもできねえチキンが」仲西は答えた。


「お前、この人数で勝てると思ってんの?」大人数に動じない仲西の態度に林田のニヤけ顔がひきつった。

「お前にはいくらでも勝てる」仲西が言い終わらないうちに、林田が仲西に掴みかかってくる。仲西は素早くカウンターを合わせ相手の顎を打ち抜いた。合羽と長靴のせいで動きが鈍ってしまい当たりは浅かったが、林田の足がもつれてたたらを踏んだ。それを合図に何人もの人間が仲西に飛び掛かってきた。

 激しい風雨が細い路地に容赦なく降り注ぎ、その喧騒をかき消していた。








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