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RR ー Double R ー  作者: 文月理世
RR ー Double R ー EN
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29-1 Karma ― 結 ― ①


 仲西と那珂島が青ヶ島から帰ってきた次の日は普通に学校であった。

 二人とも足の筋肉痛が抜けず、歩くのも苦労したが頑張って登校する。なんとか一日の授業をやり過ごすと、放課後学食のいつもの場所でくつろいでいた。


「いやー、あれはあれで面白かったな」仲西は独り言のように言った。

「行って迷惑かけると思ったけど、やっぱ行ってよかったな」那珂島がホットコーヒーを一口飲み、それに同意する。

「なんかいろいろ思い出したよ」

「何を?」那珂島が聞く。

「先生に言われたこと」

「ケンカの原因はだいたい金と女、ってやつか」那珂島が笑った。

「ちげーよ」と仲島も笑う。


 その時、蓮と凜が近づいて来るのが視界に入った。二人は自分たちが青ヶ島という場所に行くことを前から伝えていた。お土産を買ってくる約束をしていたので、その日は放課後に会ことになっていた。


 蓮と凜が椅子に座ると、那珂島はバッグからビニール袋を取り出し、それを二人に渡した。

 蓮が中身を確認してみると、青ヶ島ようかん、ひんぎゃの塩、アシタバふりかけ、魚の干物、刻みのり、という内容であった。凜も袋のものを外に出して確認しているが、中身は一緒らしい。どう考えても、女子高生に買ってくるお土産ではなかった。


「私たちのこと、おっさんかなんかだと思ってんの?」蓮は笑う。

「いや、お土産って、ほんとそれぐらいしかなかったんだよ。どこにでも売ってるようなキーホルダーとか、微妙かなと思ってさ」仲西は慌てて言い訳をする。


「私はこうゆうのいいと思うけど」と以外にも凜がフォローをしてくれた。

 蓮と凜も、自分たちが清里という場所に行くことを仲西たちに伝えていたので、自分たちが買ってきたお土産を渡した。クッキーの詰め合わせと、信玄桔梗餅というものだ。仲西たちは、桔梗餅のことを知っていて、これうまいんだよなー、と喜んだ。


「で、ちゃんと先生に会えたの」蓮が聞く。

「まあね、やっぱまだ全然かなわねえや。久しぶりに鍛えられて目が覚めたよ」仲西が言う。

「で、そのあざがレッスン料ってわけね」と、那珂島の左目付近にあるあざを見て蓮が言う。那珂島は苦笑いしながら、これが勉強代なら格安だ、と言った。

 仲西と那珂島は青ヶ島の様子を話し、凜と蓮も清里がどんな場所なのかお互いに話した。


 しばらくすると突然、仲西が意を決したかのように、ちょっと待って、と言って上着の内ポケットからジップロックを取り出した。何か食べ物かと思いきや取り出されたそれは白い封筒であった。

 仲西は、無言でそれを蓮に渡す。

「え、このタイミングでラブレター?」と凜が茶化す。

 蓮が手紙を見てみると、封筒には〈伊吹蓮様へ〉と書かれている。封筒の後ろを確認すると高柳の名前が書かれていた。

「誰その人?」とそれを見た凜が聞く。


「俺たちの先生。今、青ヶ島にいる。俺たちが帰る直前に渡されたから、何の手紙か詳しくは知らない。先生、この先一年以上島から出るつもりないみたいだから、俺から蓮に渡してほしかったんだと思う」仲西が答える。


 蓮は何回か、その封筒を表にしたり裏にしたり透かしたりして眺め、おもむろに開けようと封をしてある部分を爪で剝がそうとした。

「ちょ、ちょっとここで開けるのはやめてくれ」仲西があせった。

「なんで?怪しい手紙なの?」蓮が聞く。

「それはないと思うけど、いや、めちゃくちゃ内容が気になるから」

「そんな気になるかなー」蓮は他人事のように言う。那珂島も真顔で固まっていた。

「そりゃそうでしょ」と凜がもぐもぐつぶやく。いつの間にか開けていた青ヶ島ようかんを丸ごと食べ始めていた。


 蓮は手紙をその場では開けずに、家で見ることにした。

 仲西も那珂島も、何が書いてあるか、俺たちだって本当はめちゃくちゃ気になってんだけど、我慢してるんだよ、と本音を言っていた。

 それに加えて、手紙の内容は自分に宛てたものじゃないと思うから、俺たちへの伝言でもなければ何が書いてあるかは絶対に言わないでくれ、と強く蓮に念押しする。

「じゃあ私は後でこっそり聞いてみる」と凜が言うと、仲西も那珂島も恨めしそうな顔をして信玄桔梗餅をつついていた。








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