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RR ー Double R ー  作者: 文月理世
RR ー Double R ー EN
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24-1 Rain ― Dance with Ren ― ①


 蓮はその日、帰りの学活が終わるとさっさと教室を出て行った。

 凜がバイクの登録手続きの関係で昼過ぎに早退してしまったので、どこにも寄り道せず早々と下校することにしたのだ。夕方からバイトが入っているので早めにバイト先に行って従業員割引きでパンケーキでも食べようと考えていた。


 嫌な気配に最初に気づいたのは教室を出た直後であった。

扉から出た瞬間に複数の視線を感じた。それに気づいたことなど蓮はおくびにも見せず、足早に校舎から出ると、真っ直ぐ正門に向かった。その日は、夕方から雨の予報となっており、手に入れたばかりのバイクを濡らすのは少し気が引けてしまい電車で学校に来ていた。


 教室から正門までの間に纏わりつくような視線は途絶えたかのように思えた。しかし、学校を出てしばらく歩くと再び敵意をむき出しにした気配が後方から感じられた。同じ東白楽駅の方面に行く生徒もいたが、間違いなくそれらの生徒へ向けられたものではない。


 蓮は歩く速度を速め、勾配のある坂をすいすいと進んでいった。

 駅前の交差点を渡り、速度を緩めず改札を抜けホームに向かう。道中嫌な気配は遠くに離れていったが、だからといって完全に途絶えたわけではなかった。


 蓮はホームの中央寄りに進み、階段を使ってプラットホームに上がってくる人たちが見える場所に立った。電車が来るまでの時間が異様に長く感じた。神宮寺高校の制服を着た生徒が何人も上がってくるが、先ほど感じとった敵意は感じられなかった。


 しばらくして電車がホームに滑り込んでくる。蓮は電車をあえて一本見送ることにした。一旦ホームの人だかりがはけ、また少しずつ電車待ちする乗客の人が増える。神宮寺高校の生徒も目につくが、やはり先ほどの気配はない。



 自分の勘違いだろうか、と思いながら次の電車に乗り込む。一旦閉まったドアが、再び空いた。車掌から、

「駆け込み乗車は他のお客様の迷惑になりますのでおやめください」とのアナウンスが入ると同時に再度嫌な気配を感じとった。


 状況からすれば自分が完全につけられていることは確定である。

 どうしようか思案する中、蓮はひとまず二つ先の横浜駅で降りてみることにした。ホームに到着するなり蓮はそそくさと降りた。横浜駅は地域最大のターミナル駅と言うこともあり、結構な人数の乗り降りがあった。


 蓮は素早く物陰に移動し周囲を観察すると、神宮寺高校の制服を着た集団が、明らかにきょろきょろと誰かを探しているのが見えた。間違いなく自分であろう。数は七、八人。蓮は集団を見据えながら、敢えてその視界に入る動きをした。相手は蓮の姿を捉えると急に動きを止めた。


 わかりやすい連中であるが、流石にこんな公の場で暴れる非常識さは無いようであった。双方一定の距離をとり、奇妙な時間が過ぎていった。しばらくして、次の電車がホームに滑り込んでくる。蓮はその集団を観察しながら、ゆっくりと電車に乗り込む。

 少し離れた場所にいた集団も、当然その電車に乗ってきた。



 自分を追い回そうとしているのはその連中であるのは明らかである。

 このまま後をつけられてバイト先まで来られたら面倒だ。もしかしたら連中はバイトをしている最中に嫌がらせしてくるかもしれないし、バイトが終わるのを見計らってから仕掛けてくる可能性もある。いずれにしても、ただただ、ダルい。


 蓮は少し考えを巡らせる。そしてバイト先の手前の駅で再び電車を降りた。

 ホームに立ちその集団が降りるのを確認すると、出口に向かって早足に歩いていく。尾行を確認しながらロッカーを探す。少しうろうろすると売店の横にロッカーの四角い棚が見えた。空いている場所に素早く荷物を放り込み、ICカードをかざして決済する。遠巻きについてくる集団の存在を確認し、出口に向かって歩を進めた。


 駅の建物から外に出ると、舗装された綺麗なアスファルトの歩道にぽつぽつと黒いドット模様が浮かび始めてきた。行き交う人は、その模様の広がりに合わせるように歩調を速め始める。


 蓮はそんな天気を全く気にする素振りも見せず、駅前のいちょう通りを真っ直ぐ海に向かって歩いていく。その後ろを微妙な距離を保ちながら例の集団がついていった。








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