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Prologue
人は一見お互いに何の関係もなく交わらないようであっても、視野を広げ角度を変えた見方をしてみると、その実結構な関わりを持っており、何かしらの影響を与えていたりする。
実際に感じることのできる現在は、既に過去の事象の認識でしかない。そして過ぎ去ったある時間軸上に、然るべき事柄が起こったという真の事実を根本的に変えることは不可能なことだ。
未来は予測の可不可に関わらず過去の事象の蓄積の結果としてもたらされるものであり、その因果の全貌を我々が把握することは困難である。
過去の縁が運命の糸を紡ぎ、時間の流れに組み込まれていく。
不透明で絶対的な世界で我々は悩み、迷い続ける。