◾︎第1話 彼女との出会い
それでは発車しまーす。
「...ふぅ。」
俺は内宮 咲斗北海道に住むオタク中学生だ。今日はとあるイベントに参加するためにわざわざ北海道から東京まで1人でやってきた。
え?なんでひとりなのって?そりゃあ、もちろん友達がいたら自由に周れないからに決まってるだろ!
本当は東京まで一緒に来てくれる友達がいなかったっていうだけなんだけどな。
そして今、イベント会場に行くための電車に乗っている。やっぱり電車の揺れは心地よいな。
...。やばい...。ね...そ...う...
こてん───
「...ん?」
俺が寝そうになっていたときに、左肩に何かが乗っかった感覚がしたので、ゆっくりと左肩の方を向いてみる。
「すぅ...。すぅ...。」
俺が向いた先には寝息をたてて寝ている制服姿の女の子がいた。おそらく、自分と同じ、もしくは少し下ぐらいの年齢に見える。
この栗色よりも少し淡い色の髪の毛、俺とは比にならないくらい白い肌、そしてずっと眺めていたくなるような整った顔に見とれてしまった。
「いかん。いかん。」
とても可愛いと思いながらも、正面を向いて平常心を保とうとする。東京で問題を起こしたら両親になんて言われるかわからない。ましてや電車での痴漢となればもう二度と1人で遠くへの外出は許してもらえないだろう。
そんなことを考えながら俺は目的の駅の一つ前の駅に着いた。
「あのー。すいません。僕そろそろ降りるので起きてもらってもいいですか?」
俺はなるべく優しい口調を意識しながら女の子を軽く揺する。
「...うぅ......ん?」
女の子は目を擦りながら俺に目の焦点をあわせる。
「...っ!ご、ごめんなさい...。」
「あぁ、いや。大丈夫ですよ。」
女の子は少し頬を赤らめながら俺に軽く頭を下げた。
ところで、この子はどこで降りる予定なんだろう...。もうすでに過ぎているかもしれない。
それから目的の駅に着くまで少し気まずい空気が流れた。
「よし、降りるかな。」
目的の駅に着いたので、俺が降りると、女の子も立ち上がって電車を降りた。
もしかしてこの女の子もイベントに参加するのか...?勇気を出して聞いてみることにした。
「あのー、もしかして今日、あのドームで開催されるイベントに参加します?」
「...?参加しますけど....。それがどうかしましたか?」
やっぱりこの女の子もイベントに参加するようだ。
まったく下心とかはないが、一緒に会場まで行けたらうれしいな。
「あのー、もしよければ私と一緒に会場まで行きませんか?」
「・・・え?」
「いや、嫌だったらいいんですけど...。せっかくなら一緒に行きたいなって。」
「ん、いやいやいや、全然嫌じゃないよ。それじゃ一緒に行こうか。」
「はい!」
俺は正直びっくりした。まさか女の子から誘ってくれるとは思わなかったらな。
「ちなみにお名前は?」
「俺は内宮 咲斗っていいます。イベントに参加するために北海道から来た中学2年生です。君は?」
「私は内村 あおい。内宮くんと同じ中学2年生です。」
あれ?俺と内村さんの名前が似ている。もしかして運命ってコト!?
...いや、そんな訳ない。何でもかんでも運命にするのは良くないしな。
そんなことを考えていると女の子が下から俺を覗き込むように、
「...?どうかしましたか?」
「いや。なんでもないよ。」
「...?」
内村さんは不思議そうに俺を見たが、すぐに前を向いた。
その後俺たちは2人でイベントに参加して、イベント終了後───
「内宮くん、今日はありがとうございました!電車ではご迷惑をおかけして...。」
「こちらこそ今日はありがとう。電車のことは気にしないで。」
「ありがとうございます。では、私はこのへんで。今日はありがとうございました!」
内村さんはそう言いながら礼をした。
「こちらこそ、今日はありがとう。気をつけて帰るんだよ?」
「内宮くんもお気をつけて!では~!」
彼女は手を振りながら帰っていった。
彼女が完全に見えなくなってから、
「はぁ、めちゃくちゃかわいかった...。」
俺はそうつぶやいて、今日のことを振り返りながらホテルに行くのであった。




