悪役令嬢、10歳に転生!w
へー、副題が別でつけるようになったんだー。と勘違いしてつけられたのが一話サブタイです。本当は題名の後につけようと思ってた奴ー!!
やーい!久々に新作書いたから間違えてやんのー!
う、ま、眩しい。強い光を感じて、私は目を覚ました。
私は卒業パーティで無実の罪を着せられ、死んだはずだ。強い倦怠感を抱きながら、起き上がるとそこはベッドの上だった。
「あれ、死んでない?」
つい、口に出して確認する。覚醒した意識ははっきりとしていて、これが夢ではないことを伝えている。辺りを見渡すと、ここが自室であることが分かった。
ガートネット家の自室だ。けれど、どこか懐かしい感覚がある。そう言えば、傍に置いてあるぬいぐるみははるか昔に失くしてしまったものだったような……。
そこまで、思考が巡り、違和感の正体に気付いた。そうだ、この部屋、今の私の部屋じゃない。昔の部屋と同じなんだ。幼少期の記憶とぴったりと一致する部屋を見渡し、ぱっと自分の手の平を見た。随分と小さい。
嫌な予感を感じながら、小さい手足を動かして、姿見の前へと進み出た。
そこには……。
「う、嘘。小さくなってる!」
子供の姿が写っていた。
「な、なんで!? 私、卒業パーティで殺されたはずじゃ? なんで子供の姿! いや、そもそもなんで生きてるの!? いやいや、それよりも、それよりも!」
混乱しながら、私は断罪前に思い出した一つの事実を口に出した。
「私、どうして乙女ゲームの世界にいるの!?」
そう、私、アリサ・フォン・ガートネットは、そもそもこの世界の住人ではない。現代日本で、女子高校生として人生を謳歌している最中、不幸な事故で命を絶ったはずだ。
そのはずなのに、なぜか、生前遊んでいたゲームの世界で、なぜか悪役令嬢になっていた。
つまり、今、私は女子高校生だった自分がなぜか乙女ゲームの悪役令嬢として転生し殺された後、再び悪役令嬢の子供の頃へと戻ったという、複雑な状況に立たされていたのだった。
乙女ゲーム、『4tune clover』。略称、4クロ。
中世ヨーロッパ風のファンタジーものの乙女ゲームで 4人のメイン攻略キャラクターと甘い魔法学園生活を送りながら、各キャラクターが抱える問題を解決し、愛を育む、というのが発売前に公表されていたゲーム内容だ。
発売後、公になったのは、攻略キャラは全12人。まさかの8人シークレットキャラという強気な内容だった。それも、12人のうち、4人は主人公とは敵対勢力であり、わりと容赦なく命を狙ってくる(この四人は、ゲームの略称をもじって4黒とも呼ばれる)。
しかし、それが判明するのは物語も中盤あたり。それまで、主人公を矢面に立って虐げるのは、悪役令嬢アリサ・フォン・ガートネットという、一女子生徒に過ぎない。
アリサはメイン攻略キャラ4人のうち一人、第一王子アーノルドの婚約者であり、ガートネット公爵家の令嬢だ。黒髪黒目で童顔の癒し系の主人公マリアとは対照的に、金髪赤目の強気そうな美少女だ。
アーノルドと仲を深めていくマリアに嫉妬して嫌がらせを行う。最初期は本当にただの子供の悪戯のような嫌がらせを行うだけだが、次第にそれがエスカレートし過激な行いをするようになる。
しかし、実はそれを隠れ蓑として、マリア……正しくは、第一王子アーノルドと敵対する4人の攻略対象者(4黒)たちが暗躍しており、アリサの悪事のほぼ大半が彼らによるものだったりする。
アリサは彼らに利用され、どのルートでも卒業パーティで断罪され命を落とす。アリサが死んでから、4黒たちの正体が徐々に露呈し、王国を巡った策謀の正体にマリアたちが気付き立ち向かっていくことになる。
なんとか今の状況を受け入れ、私はこの世界のことを思い出していた。そう、私、アリサはどのルートでも命を落としてしまう。なんていうことだ。自分の絶望的なまでの未来を再確認し、めまいがした。どう足掻いても幸せな人生はない。実際、一度死んでしまっているのだ。
将来に絶望し、へたり込んだが、しかし、ふと絶望するのはまだ早いのではないかと思った。
そう、私は今、この乙女ゲームをプレイした記憶と、アリサとして一度殺されてしまった記憶を持っている。これは、ゲームの中のアリサにはなかったアドバンテージだ。
しかし、どういった神の悪戯なのか、今は子供の頃へと戻っているのだ。
「そうだ、この記憶があれば、ルート以外の運命も切り開けるかも」
前回、殺されてしまったのは4黒どもの策略を知らず、嫉妬に駆られてマリアを苛め抜いたからだ。今なら、4黒の陰謀も知っているのに加えて、そもそもアーノルドへの恋心もないので嫉妬もしていない、マリアを苛めず、平穏に暮らせば、私にも幸せな将来が待っているはずだ。
目の前が明るく開ける。そう、私はすでにアリサの人生2周目、女子高校生時代を含めれば3周目だ。そうそう、出し抜かれたりしない。
この人生は超余裕で、平穏無事に暮らすぞ!
そう私は固く誓ったのであった。