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勇者の系譜~俺に勇者のスキルがなくとも~  作者: アオト
第二章 マテウス王立上級学校六学年
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第七話 クラス分け

 翌朝になり、宿舎棟に入口のある掲示板でこれからのクラスのが発表されている。

この学校では七年間でクラス分けは二度しか行われない。

最初に入った時と六学年に上がる時だけだ。


 入学時には百人いたはずの同学年もこの間には八十人強になってしまっていた。

スキルを授かった後は更に減っているだろう。


 クラスは三つに別れていて、授けられたスキルによって戦術、魔法、内政と分けられる。

やはり幹部騎士を目指す為には戦術課が花形となっている。

ただし戦術課に入る為には戦闘スキルがないと入る事は出来ない。


 俺は戦術課の可能性の微かに期待したが、どういう訳か初めて名前を聞く特色課に編成されていた。


 戦術課には十八人、魔法課には十四人、内政課には二十二人いるのに対して特色課には僅か五人しかいなかった。

約二十人が辞めてしまった事になる。


 後で聞いたところによると退学した人間は、「土壌開墾」「平穏を与える者」「魚群探知」などのスキルの持ち主だった。

彼らは騎士になる事を諦めそのスキルを活かす道に行くのだろう。

何故、同じ授業を受けてこのような畑違いのスキルが授かるのかは不明だが。


 そのスキルの持ち主は殆どが内政課に編成されていたようで、名前の上に線が引かれてある。

内政課は聞こえはいいが、その中は一部を除いて騎士になる為に役に立たなと思われるスキルの持ち主が集まっているからだろう。


「ハゲのアル君は特色課か、それって初めて聞くけど何なのか知ってるの」


 横から新たに魔法課に行く事になったディアナが話し掛けて来た。

童顔で可愛らしい顔をしていて、更にその顔に似合わないスタイルはいいのだが、性格が少しきついので俺は苦手にしている。


「いや、俺も初めて聞いたよ、何なんだろうな」


「お前のスキルが使えないからじゃねーのか」


 イーゴリが俺のつま先を踏みながら言ってきたが、俺には痛みどころか感覚すらない。


「そっちのスキルは限界突破だってな、限界まで鍛える事が出来ないと意味無いんじゃないか」


 俺の言葉にむかついて胸倉を掴んできたが、周りの目を気にして直ぐに手を離した。


「あんたねぇいちいち嫌味しか言えないの、性格が歪んでいるから私に二度も振られるんだよ、ちなみにその顔をタイプじゃないんだけどね」


 ディアナがわざとらしく大声で話したせいで周りの生徒も一斉にイーゴリを見た。

イーゴリは可哀そうな位に耳まで赤くなってしまっている。


「こんな所で大声で言う事ないだろうが」


「勇様を越える存在になって侯爵をを目指すんだっけ、そんな夢物語でなびくと思ってんの、だいたい私の家は侯爵家なんだから別にそんなので喜ぶ訳がないでしょうが」


 下級生からも失笑が漏れているのが聞こえてきた。それにしてもまだディオナによる攻撃が執拗に続けられている。


(流石にディアナは言い過ぎじゃないのか、これだから苦手なんだよ)


「お前ら五月蠅いぞ、課が分かったらさっさと教室に入れ」


 モルテン先生が戦術課の教室から顔を出して怒鳴り始めた。

俺達は慌てて各教室に入って行く。特色課の教室の中ではテオが窓際の席に座りながら不貞腐れたように座っていた。

俺が教室の中に入ってくと直ぐに手を振って呼んでいる。


「何だよ特色課って、ここは一体何なんだ」


「落ち着けよ、直ぐに分かるんじゃないか、それより他の奴はどんなスキルを持っているんだ」


 テオは俺と同じで覚えていない様だった。

他の三人か顔は知っているが今までクラスが違っていたのでそんなに話した記憶がない。


「全員、散らばっていないで前に座ってくれるかな、五人しかいないのだから広く使う必要もないだろう」


 レオニダスがドアを開けながら入って来る。

予想はしていたが祖父のせいで俺の課を教える事になったのだろう。

レオニダスはその見た目は優しそうなちょっと体格のいい老人に見えるので、俺とテオ以外の者はどこかほっとした顔になっている。

それは今だけだよと言いたいが、その内に気が付くから黙っていようと思う。


「じゃあいいかな、私が今日から君達の担任となるレオニダスだ。まずは君達のスキルを教えてもらおうかな」


 俺がまず話し、次にテオが話した。

その次に俺以上に体格の良いジョンソで、彼は優しすぎる性格が災いして格闘術にその体格を生かす事が出来ず、学年の中でも下位に沈んでしまっている。

その彼のスキルは「土壌錬金」だ。


 その次は冷めた顔をしているスレンダーな女性のユナで「異変感知」、その次は前まで同じクラスだったぽっちゃり体系のグレタで「想いを届ける者」だ。

男が三人の女が二人の編成になっている。


「いいかな、ここは特色課となっているが、その文字通りにここにいる君達のスキルは未知の要素があるんだ。例えばユナさんは「異変感知」は何を指しているかは定められていないし、他の者もそうだ。他の課の者は前例があるから授業が進めやすいが、君達には特別な授業が必要なので私が受け持つことになった」


 レオニダスの言葉にジョンソは疑問を感じておずおずと手を上げた。


「前もそのような方はいたと思うのですが、どうして今年からいきなり始まったのですか」


「前からこのような課を作った方がいいと言われていたらしいんだが、決まったのはつい先日だよ、いきなりこんな事を決められる人間は誰なのか想像してごらん。誰も意見に反対できる者なんて国王様ぐらいしかいないだろうね」


 クラスメートの四人とも俺の方を向いてきたが、俺にとってはどうでもいい事だ。

俺はただ自分を鍛え、魔王を倒す事が目的なのだから。

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