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勇者の系譜~俺に勇者のスキルがなくとも~  作者: アオト
第三章 マテウス王立上級学校最終学年
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第五十一話 新学期の始まり

機嫌を直したディアナと下に降りて行き、今度の中間休みにはもう一度エイマーズ領に行く約束を交わした。

 今度は魔王に復讐をする為だけに生きている男ではないと説明したい。


 二人で歩いていると誰もが道を開け、何故か注目を浴びてしまっているが所詮今だけだと思って気にする事は止めようと思う。


 少し二人で話してから部屋に戻るとテオが待ち構えていた。


「俺達の前で見せつけなくてもいいだろう。まぁユナ達はお前の事を見直したってさ」


「違うんだよ、お前達がいる事を忘れていたし、あの時は雰囲気で抱きしめてしまったんだ」


「まぁあれで良かったんじゃ無いか、ただこれからは大変そうだけどな」


 テオが真顔になっているのでその言葉の中には、ディアナとの事だけでなく、魔王が生きている事も含まれている。

 ただテオは魔王が封印されているのなら、新たな魔王が出現する可能性は少ないので下手に殺してしまうよりいいのではないかと言ってきた。


 父の功績を汚したくないのであの魔王を人間界に被害が出る前に殺してしまいたかったが、その考えが広まると父は失敗などしていないのではないだろうか。


「お前と同室で良かったよ」


「何だよ、だったら俺がユナと上手くいくように手伝ってくれよ」


 テオは実習に向かっている最中に告白をして振られてしまったが、それでも諦めずにいるそうだが、俺にはどうしていいのか分からないのでディアナに相談するしかない。


 数日後の教室の中での話題はやはり魔王の話が中心になっている。

 ユナもグレタもテオの意見に賛成のようで、魔族は何故か同時期に魔王は二人にならないのだから封印は成功であるのに何故、隠しているのかが不思議でならないそうだ。


 勇者を特別視したいのは理解できているようだが、もし本当に相打ちしてしまったら次に魔王が生まれ、今の平和がないのだから隠す意味が無いと思っている。


 その考えを今なら理解出来るが、昔の俺なら同情されているかも知れないと思って聞き入れたりはしないだろう。


「静かにしろ、授業を始めるぞ」


 教室に入って来たのはレオニダスでは無く、もうドラゴンライダーにもどっているはずのヴィーランド中尉だった。


「中尉、どうなされたのですか、もう部隊に戻られたのかと思ってましたが」


「まぁあれだな、言っておくが俺は少尉に降格になったんだよ、それに引き続きレオニダス様の手伝いをさせられることになったんだよ」


 何が中尉の身に降りかかったのかは分からないが、これはあまり触れない方がいいと判断したが、少尉自らが説明を始めてしまった。


 原因はエイマーズ家とバーリ家との婚約が破棄になってしまい、その原因がヴィーランド少尉にもあると判断されたかららしい。

 たんなる貴族の婚姻の話であったらここまで大きくならないだろうが、数少ない侯爵家の中でも有力な家なので怒りの矛先が少尉に向かってしまった様だ。


「まぁそれより今年の新入生の歓迎会には課の代表が模擬戦闘を見せるらしいぞ、スキルを使った戦闘がどういう物になるのか、新入生に教えてやれ」


 模擬戦闘は対人と対魔獣の二試合が行われ、対人の方は各課が競い合うが、対魔獣は各課の代表が力を合わせて討伐するそうだ。


「アルはどっちに出たいんだ」


「俺は対魔獣の方がいいな、模擬刀相手だと俺の戦い方は卑怯に見えるだろ」


「それもそうだな、まぁ俺は対人の方がやりやすいからそれでいいか」


 俺とテオの話し合いはそれだけで終わって課の代表として出る事が決定した。

 ユナ達は出ない事が当たり前だと思っているようで、他の課から誰が出てくるだろうとか、どんな戦いになるだろうとか楽しそうに話していた。


 直ぐにその事をヴィーランド少尉に報告をすると、少尉は役目を終えたとばかりに教室から出て行ってしまい、座学の自習となってしまった。

 どうやら少尉には座学を教える気はないようで、次の日からの座学は他の課で受ける事が決定した。


 その日の食堂ではまたしてもイーゴリが取り巻きを連れて近寄って来た。


「おいっお前は対人戦に出ろよな、公の場でお前を倒してやる」


「あのなぁ勝手に話を決めるなよ、俺は対魔獣戦に出るんだよ、そっちの課に比べて人数が少ないからな」


 暫く睨みつけてくるが手を出してくる気配はない。

 此処の食堂は俺達だけがいる訳ではなく、下級生もいるので最上級生が暴れる訳にはいかないと思っているのだろう。


「ねぇまたアルに絡んでいるの、いい加減焼きもちは止めて、私の事は諦めてくれないかな」


 ディアナがいきなり後ろから現れ、イーゴリの気持ちを全く考えないことを言ってきた。


「頼むからその事は忘れてくれ、それに俺には好きな子が出来たんだ」


 イーゴリは苦々しい顔をしながら去って行った。

 向こうが俺に合わせて来るのかと思ったが、当初の予定通りイーゴリは対人戦を選んだようだ。


 まぁ取り巻きの一人であるメノンに「獣を操る者」のスキルがの方が対魔獣戦にはふさわしいのだが、それだと俺の出番はあるのだろうか。


 


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