寝れない彼女
「眠れない…」
明日は大事な用事があるから、絶対に寝た方がいいのに、どういう訳か、眠たいのに寝られない状態で意味もなく、ベッドを右往左往している。
「…じっとしてなきゃ眠れるものも、眠れないだろ」
ベッドの中の私を呆れたような顔で見つめるのは、明日はそんなに早く起きなくてもいい彼。
「だって寝れないんだもん」
「じっとして、目を瞑って、羊でも数えろ」
「もうやったー。頭の中、羊で一杯になったー」
「…ったく、しょうがねぇな…。ほら、一緒に寝てやるから、ちょっと寄れ」
ベッドで意味もなくゴロゴロしていた私を見かねてか、自分がしていたことを終わらせて同じところに入ってきた。
「俺が子守唄でも歌ってやろうか?それとも絵本でも読んでやろうか?(笑)」
何故かニヤニヤしながら、こちらを馬鹿にしたような言い方と表情をしてきた。…ちょっとムカつく…。
「じゃあ歌って?」
「えっ、//やだよ//」
自分で言ったくせに、いざこっちが言うと照れちゃってるし。まぁ人前で歌うのが苦手だと知っているからこそ、言ってやったんだけど。
「歌ってくれなきゃ、眠れないー」
「それでも歌わねぇよ!俺がクソ音痴なの知ってるくせに。…ったく、しょうがねぇな…。歌は歌ってやれねぇけど、かわりに…」
「ぎゅーってしてやるから、力抜け」
大きくて広い腕の中に収められて、優しく背中を撫でてくれる。
「お前なら、大丈夫だよ」
おデコに軽くキスされて、暖かい笑顔で微笑まれたらもう…、
「うわ、顔真っ赤になった(笑)」
「うるさい!!//寝る!!」
「はいはい、おやすみ」
普段は大したことも言わないし、意地悪なこともするけど、私にだけ向ける優しさだとか、笑顔とかが、もう、本当に…
「…大好き…」
「俺の方が愛してるからな」
「っ!!?//」