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序章

星暦A660年、人類は幾つかの国に別れてそれぞれ豊かな暮らしをしていた。

国同士の紛争や戦争等はあったが、それほど大きな争いには発展せずに、皆、平和に暮らしていた。


だが星暦A666年突如現れた魔物の襲来により、人々は恐怖し混乱のドン底へと落ちていた。

人々は必死の抵抗を見せるが、人が作った最弱な武器、剣、斧、槍、弓では相手にならず、徐々に劣勢と追い込まれ総人口の半数以下まで減小し、人類滅亡の危機にあった。


星暦A670年人類は画期的な発明をする。

魔物を倒した時に発見された魔獣石(魔物の体内にあった石なので、このように呼ばれている)を武器にすることに成功した。

魔獣石を武具の装置に嵌め込むことで、基礎体力が向上しスキルが使えるようになった。

それにより人々は無限の可能性を見つけた。

魔獣石には、色々なスキルが存在し攻撃スキル、魔法スキル、補助スキル、回復スキル等があり、魔獣石を付け替えることによって多才たさいなスキルを使えた。

魔法の使えない人類にとっては、画期的な方法だった。

だが問題点があり、魔獣石を発動させるにはセンスが必要になり1000人に1人の割合で発動させる事が出来るが、人によって違うが威力が弱かったり、魔獣石を1個使ったらタイムラグで、次を使えない等があり、更にレアな魔獣石を発動させる為には10万人に1人という減少した人類では、奇跡的な数字になっていた。

こういう人達は、生き抜く事が出来れば間違いなく将軍候補生になるだろう。


星暦A679年、魔物からしか発見出来ないと思われていた魔獣石が、過去の遺跡の中から大量に発見された。

これにより、魔獣石からオーパーツと名前を変え人々に浸透していく。

この遺跡やその他多くの遺跡を確保した国は、オーパーツの武器で領土を拡大し、その一つがベンガル帝国と名を変え巨大帝国へと成長していった。


そして今、領土は強力な魔物や魔人が住む領域とオーパーツの武器を数多く持つベンガル帝国、帝国に反対する国を集めたミーネル連邦国、そして帝国、連邦国にも入らず中立を保つ国が数十国とそれぞれに別れていた。


辺境にある中立国の1つリスタン国、その中ある離れ小島レイブルク島、本土から約200km離れていることもあって、滅多に魔物が現れることはなかった。

島の周囲は約10km、本土との移動手段は1ヶ月に1度来る定期船のみだった。

それは本土の周辺には魔物が出没するので、護衛の為の兵士が多く必要だった事と、距離が離れている事もあって何度も船を出すことができなかった為である。


島の人口は約1000人、主な食料は漁業で取れた魚と小さな畑で取れた作物、家畜で飼っている動物、森の中にいるわずかな獣、至る所で生えている薬草、食材草だけだった。

そんな島に住む1人の少年の物語である。


「レスおばちゃん、こんにちは」


「おや、レン、今日も海に潜ったのかい」


「うん、沢山、魚取れたよ」


「おやおや、大漁じゃないか」


「そうだ、魚、レスおばちゃんにも分けてあげるね」


「まあ、ありがとう。ちょっと待ってな」


そう言うと家の中に入っていき、少し待っているとレスおばちゃんが出てくる。


「はい、これ魚のお返しだよ。裏庭で取れた野菜だよ、少し持っていきな」


「ありがとう、レスおばちゃん」


僕の名はレン・マクグラス、このレイブルク島に生まれてからずっと住んでいる。

たまに魔物がこの島にやって来るらしいが、僕が生まれてから魔物はやって来ていない。

今年で14才、将来の夢は父さんのような立派な剣士になることだった。

毎日、日課のように父さんから剣の指南を受けているが、まだまだ父さんには勝てそうにない。

いずれは、父さんに勝って島を出て王国騎士団に入りたいと考えていた。


「ただいま、魚、沢山取れたよ。

それにレスおばちゃんに魚あげたら野菜貰ったよ」


「あらあら、それはお礼言わないとね」


僕の母さん、ニス・マクグラス、貴族の令嬢だったらしいが詳しくは聞いてない。

おっとりとした性格の人で、この離れ小島に来たのも母さんが危ない所に居たくないという事と、父さんが騎士団に居た時、死ぬかも知れない戦場に出兵して、待っているだけというのが辛かったからだそうだ。

そして子供も騎士団に取られるのでは、という疑心暗鬼におちて遠く離れた島へ引っ越して来たらしい。

だから、僕が騎士団に入りたいと言ったら一番に反対するのは母さんだろう。


「おお、帰ったか。食事が終わったら剣の練習するからな」


「あなた、毎日剣の練習しなくてもいいのでは」


「いつ何が起こるか分からないからな、自分の身は自分で守らないと」


僕の父さん、カール・マクグラス、騎士団にいた時はオーパーツを使う事は出来なかったが、剣の腕だけで少尉までなったという。

通常はオーパーツを使えないと、士官以上に上がれないはずなのだが、それだけ剣の腕が凄かったという事だろう。

僕が生まれる前の戦争で、父さんは左足を負傷してひざから下が義足(1本の硬い木の棒)になっていて、それが原因で晴れて退役となったようだ。


「お、先輩、私も剣の練習付き合って良いですか」


「もう先輩じゃないだろう。

クリス、お前の方がまだ現役少尉様だから、偉そうにしてていいんじゃないか」


「そう言う訳にはいきません。

だって先輩は先輩ですから、先輩のお陰で少尉までなれたと言っても過言じゃないです」


いつも暇な時はよく遊びに来るクリス・ハリソンさん、騎士団の時に父さんの部下だったらしい。

父さんから剣術を教え込まれ、レベル1迅速のオーパーツが使えたので少尉に成れたそうだ。

レベル1は最低ランク、数字が上がる毎に強さは変わってくる。

レベル1迅速だと30秒間速さが2倍に、身体能力も2倍になる。

レベル2からは時間と威力を自分で変えることが出来るらしい。

身体能力もレベル2は3倍、レベル3は4倍になるがそれに耐えきれるかはその人の鍛え方次第となる。

現在、見つかっている最高レベルは8だが、まだうえがあるかどうかは今の所、不明である。

また、剣と対話することが出来れば覚醒し、身体能力を更に何倍も上げる事が出来るらしい。

クリスさんの仕事は、この島を守る唯一の護衛者でこの島の税収を王国に送るという役目もある為、皆からは村長と呼ばれていた。

因みに僕の家は、父さんが退役騎士なのか負傷しているのか分からないが、税金は免除されている。


食事を終え、父さんとクリスさん、僕の剣の稽古が始まる。

僕は父さんのお古の剣を使っている。

オーパーツを入れる穴は付いているが、オーパーツは入っていない。

1度、クリスさんから、オーパーツの付いた剣を借りて使ったがオーパーツは発動しなかった。

属性が違うかセンスがないか、または扱えるセンスに到達していないか、他にいろいろな要素はあると思うがそれが主な原因らしい。

強さの順位で言えば、父さんが負傷しているとはいえ1番強い、僕とクリスさんは同じくらいだが、クリスさんがオーパーツを使うと父さんと同じくらいになる。


「流石、オーパーツ、父さんと同じ強さなんて」


「やめてくれ、30秒間だけオーパーツを使ってカールさんと同じ強さだなんて、カールさんが強すぎなんだよ」


「いやいや、もっと基礎を鍛えればその分強くなれるんだよ。

鍛え方が足りないな」


「いや~、相変わらずお前の父さんは厳しいな」


「父さんがすいません。僕もオーパーツが使えたら...。」


「謝ることじゃない、それにレン、お前もまだまだなんだぞ」


「はい、頑張ります。父さん」


「ウム、明日も剣の稽古するからな、各々精進するように」


剣の稽古が終わり、僕は森の中を駆けていた。

この島の中で子供は全員で18人、その中でもよく遊ぶ友達は2人だが、今日は別の予定があった。

鬱蒼うっそうとした森を抜け、小高い草原の丘に出ると待っている3人の人影が見える。


「遅いぞ、レン」


「ごめ~ん、剣の稽古がちょっと長引いて」


「大丈夫よ、気にしないで」


「早く、早く、時間が勿体ないよ」


「せっかち過ぎるぞ、シュントウ」


「リクドウ、だって早くしないと時間は待ってくれないよ。

そう思うでしょ、ヒメホタル」


「あら、私はいくらでも時間あるから、ゆっくりでも良いと思うけど」


この3人は僕がオーパーツを使えるようになる為の師匠達だ。

いつの頃か、と言うかいつの間にか僕はこの人達と出会って教えて貰っている。

この狭い島の中、何故かこの人達の住んでいる場所も知らない。

村人にも家族にも3人の事は秘密だと口止めされているので、言えない事情で何処かに隠れているかも知れないが、僕にとっては師匠なのでそんな事は気にしなかった。

リクドウさんは筋肉質で大きな体、力で何でも解決しようとするタイプ、シュントウさんは細身で少し手足が長いという印象、動きが早いので手数で攻めるタイプ、ヒメホタルさんは、いるのかいないのか分からないような人、存在感がないというか、すべてを受け入れるような、そんな感じの人。


皆、同じ年に見えるけど、リクドウさんとシュントウさんは30才前後位だけど、1度、ヒメホタルさんに年齢を聞いたが、


「女に年を聞くものじゃないよ」


と言ってたぶらかされた。

リクドウさん達に言わせればかなり上らしい。


「今日は風を感じる特訓だよ」


「基本の四大元素、覚えているかい」


「はい、火、水、風、土です」


「そうそう、とっとと次に進もう」


「うるさい!シュントウ、分かっているわよ。

それじゃ、楽な姿勢で瞑想して回りの風を感じてみて」


僕は目を閉じ、何も考えずに風を感じることだけに意識を集中した。

丘を吹き抜ける風は、爽やかでとても気持ちがよかった。

風が吹いては止まり、前から吹いてきたと思ったら次は後ろから吹いたりと様々な顔を見せる風達、時には突風が吹いて飛ばされそうになりながら、風の動きを観察していた。


「はい、それまで目を開けてレンくん」


「あれ、まだ数分しか経っていないのでは」


「そんな事ないわよ、もう1時間は経っているわよ」


「え、そんなに」


「集中すると時間を忘れる物なのよ。

ほら、回りを見てごらん、日が落ち始めてるでしょう」


「本当だ...、あ、ヤバイ、早く帰らないと。

師匠、ありがとうございました。また今度ね」


僕は慌てて来た道を引き返した。


「あらあら、あわてちゃて怪我しなければ良いんだけど」


「将来が楽しみだな、ヒメホタル」


「ええ、大事に育てないとね」


何とか日が落ちる前に家にたどり着いた。


「ただいま、遅くなりました」


「お帰り、夕飯の支度出来ているから手を洗ってらっしゃい」


「は~い」


今日のあった出来事を話ながら夕食を取る。

勿論、師匠達の事は秘密だから、話すことはしない。

後片付けを手伝い、お風呂に入ってからベッドで眠りに就く。

これが僕のいつもの平凡な1日の生活だった。

だが、明日とんでもない事件が起こるとは予想もしていなかった。



まだ一作目を書いている途中ですが、いろいろなシナリオが浮かんでくるので、この辺りで1度投稿します。

4000~5000文字を目安に投稿していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

不定期で投稿します

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