転生
チクショウ!あのクソ教師め!いたいけな女子高生をこんな時間まで残しやがって・・・!今何時だと思っているんだよ、18時半だぞ!部活の活動時間を30分オーバーしてんだろうが!委員会の仕事でも一年生をこんな時間まで残すか普通?今日は金曜日で別の高校に通っている親友と唯一一緒に帰れる日だったのに!しかも、大好きな漫画の発売日だから、学校終わったら駅前の本屋で買って、家でお菓子作って、ジュースを用意して万全な態勢で楽しもうと思っていたのにHRの後に放送で呼び出されてしまい予定が狂った。
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「えぇ~、一年C組 やmsきさん、syくいn室まで来なさい。繰り返す....」・・・的な感じで呼び出されたんだけどさ、正直何言ってるか聞き取れなかったんだよね。何で学校で放送入れる人って活舌悪い人ばっかりなんだろう?私の名前は山﨑(やまざき)だし、場所もギリギリ職員室だって判ったしね。
中学でも、「次の一年生の×子の体育は××でやるので遅れないように×××い。」とか、肝心なところだけ聞き取れないことがよくあったよ、クラスの皆が困惑してたよホントに。
で、行ってみたら先生が笑顔で待ち構えていて「急に呼び出して悪かったな。突然だが、図書室の本の整理を手伝ってくれないか?どうせ暇だろ、写真部なんだから!」と言いやがったんだよ、あのクソ教師!確かに私は写真部で活動も火曜日しかないから暇に見えると思うよ!陰でインキャ部とか言われてるのも知っているよ!でもさ、何で今日なの?わざとですか?しかも、図書委員の仕事なのに何で英語教師である、あんたが呼び出すの?断れないじゃん‼
・・・・なぜ、断れないかって?ふっふっふっ 私は 英語が 大の 苦手 なのだよぉぉーーー!テストの点数が絶望的だから、授業態度や提出物とかで先生に気に入られるしか道がないですよ、ハイ、コトワレマセン。これも点数稼ぎです。
いやぁ~本当に英語が出来る人意味わからん。ハハハ、受験の時も塾の先生にマジな目で言われたよ「お前はとにかく、英語を頑張れ!それだけでいいから!」普段のほほんとしているやる気のない人にここまで言われた私逆にスゴくない?おかげ様で上位の高校に入ることができましたよ。本当にありがとうございます。
なんて思ってたけど先生には笑顔で答えましたよ。
「はい、ヒ・マですので大丈夫です。ところで、手伝うのは私だけですか?」
「本当は、もっと一年生を捕まえようとしたんだが、皆部活に入っていてな。二年生は午前授業だったから、部活ある奴しか残っていないし、三年生を手伝わせるわけにはいかんだろ。」
・・・・じゃあ、別の日にやればいいじゃねぇかと思ったけど顔に出さなかった私を褒めたい!というか、図書委員のくせに一年生の皆アクティブだな。全員部活に入ってるのかよ!図書委員会ってもっと大人しくて、大体の人が《帰宅部です。》みたいな暗い人が多いのかと思ってたよ(私を含め!)
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下校now!と親友のLINEに送った。すぐに既読が付き、スタンプが送られてきた。猫が好きな親友がよく使う、猫のキャラのスタンプで《お疲れ様です。》と書いてある。自然と笑顔になれた。いや、ほんとにお疲れですよ!本屋では漫画が売り切れていたし、電車が来るまで30分も待ったからね!何で一本逃すと次来るのが30分後なの?ここ、本当に東京?
電車に20分乗ってようやく自宅の最寄り駅、ここから徒歩15分位で家につくが、何で自転車置いてきたんだろう。雨降るとか言ってたけど降らねぇじゃねぇかよ!!もう、辺りは真っ暗ですけど!歩いてるのは、家路を急ぐサラリーマンか犬を散歩している人くらいなもんですよ。
ん?道の先にランドセルを背負った女の子がいた。今19時半ダヨ⁉小学生が遊んでいい時間を軽く二時間オーバーですよ!どうすればいいの?話しかけるべきですかね?
迷ってたら雨が降ってきましたよ....取り敢えず折り畳み傘持っていて良かった。女の子は傘を持ってないのか濡れてれるし、話しかけた方が良いよね。
「ねぇ、あなたはこんなところで何してるの?こんな時間に出歩くと危ないよ。それに傘がないと濡れちゃうよ❗」傘を差し出しながら、出来るだけ笑顔で頑張りました。女の子は私は数秒間見つめたあと走り出しました。何で⁉
取り敢えず追いかけます。「待って!どうしたの?」呼びかけても返事してくれませんでした。悲しいなぁ・・・
横断歩道が目の前に
女の子は飛び込むように走りこんだ
信号は赤
「危ないーーー!」
キキィーーーーー!!
女の子に体当たり、大きな衝撃
そして私は地面に叩き付けられた。
・・・・・・・いやぁ、本当に痛いです。女の子を庇って車に轢かれるとか、どこの漫画の設定だよ!現実にあっちゃまずいでしょうが!こんな二次元的展開は漫画と小説で十分なんですよ!というかこれ私死ぬんですかね?
「おい、女の子が轢かれたぞ!」
「誰か救急車を呼べー!」
「どうしてこんな・・!」
「赤信号で飛び出してきた女の子を助けたんだ。」
「助けられた女の子はどこに行った?」
「血が止まらない!救急車はまだかー!」
音を聞きつけた近所の人が集まってきた。・・・・ワタシハシヌンデスカネ?血が止まらないらしいんですけど、ヤバくね?人間の致死量って体内の血液量の二分の一だっけ?アウトじゃね?いやぁ、真面目に今寒いんです。うん、死ぬんだろうなこれ。死にたくないなーまだやりたいこといっぱいあるんだよ。漫画読んだり、小説読んだり、テレビ見たり、ゲームしたり、お菓子作ったり、友達と話したり、動物触ったり。大好きな漫画の最新刊読んでないし、ネット小説続きだし、あの二人は今後どうなっていくんだ!
ホント恋愛は二次元に限ります。はっはっはっは、何を隠そう私は彼氏いない歴=年齢のバリバリのオタクJKなのでね!現実のリア充爆発しろ‼オタクで何が悪い!オタクだって好きな物があれば充実していけるんだよ!
・・・ホントにこんな二次元的死にかたするなら転生とかあるんですかね?有ってもよくないですか?現実逃避してる場合じゃないね。もう、寒さすら感じなくなってきたよ。死ぬのか~案外寂しくないな~
くだらないことを考えながら私の意識は闇に落ちていく。二度と這いあがれないであろう深い闇へ。
「ニャーォーー」
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目を覚ますと森の中にいた。
「・・・は?」
「やぁ、起きたかい!目が覚めてよかったよ!僕は君の使い魔のようなものだよ。よろしくね!」
私の横にいた、銀色の子狼のようなものがシャベッタ。
・・・・・・説明プリーズ!