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私と、幼馴染と、  作者: 円寺える


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52/122

第52話

楽しかった休日も終わり、月曜日。

中庭を歩いていたら宮田くんと遭遇した。久しぶりに会ったので話をする雰囲気になり、近くにあった色褪せたベンチに座った。宮田くんと会うのは花井さんの件以来だ。廊下で見かけることはあったが互いに話しかけることなく、すれ違っても目で挨拶をするくらいだった。


宮田くんは空ほど美形ではないが、スポーツマンらしい顔は好感が持てる。私とは違い第一印象で損をすることはない顔だ。

一定の距離を空けて並ぶこの絵面は誰も想像できないだろう。地味な私と爽やかスポーツマンの彼とでは、接点がないように思われる。それをいうと、私と空が並ぶのはもっとおかしな話になってくるが。


「瀬戸夏美?」


ついでだからと思い、休日に会った先輩たちのことを話した。

空は知らない様子だったが宮田くんなら知っていることがあるのでは、と思ったのとただ単に話のネタになるかと思ったのだ。

それほど親しくもないのにあんなに嫌悪を表に出す人は初めてだった。強烈な印象を与えられて「興味がないです」とは言えない。


宮田くんは「あぁ」と知った風に頷いた。

どうやら心当たりがあるようだ。


「三年の先輩にいる」

「その人空と知り合い?」

「さぁ、俺もその先輩について詳しく知ってるわけじゃないし、蒼井の知り合いかどうかなんて分からん」

「そっか」


それもそうか。常に宮田くんが空と一緒にいるわけじゃないし、どちらかというと宮田くんよりも空の取り巻きのほうが詳しそうだ。

俺の知っている範囲でなら、と宮田くんは先輩のことを思い出しながら語ってくれる。


「俺は知り合いじゃないが、瀬戸先輩だったか、その人ならよく蒼井のこと見てたな」

「空を?睨んでたとか、そういうこと?」


先日の瀬戸先輩を頭の中に浮かべる。

あの先輩が空を見つめるということはないだろうし、宮田くんが言ったのは恐らく睨んでいたという意味での「見てた」だと解釈する。


光が当たっている木をぼんやり眺め、宮田くんと会話を進める。

宮田くんの隣は空と違って穏やかだ。


「睨んでいたか、そうだな、そう言われると目つきの悪い先輩のように感じた」

「宮田くん、知り合いじゃないのにそんなことまで覚えてるんだね」


嫌味ではなく、単純にすごいなと思った。


私ですら、空を見ている女子を覚えていないのに。

しかも先輩なら尚更だ。同級生の子ならよく見かけるため無意識のうちに顔を記憶するが、先輩ならあまり会わないので覚えにくい。


「その人、よく蒼井のこと見てた。穴が開くほど見るってあの目のことを言うんだろうなと」

「へぇ、私全然気づかなかった」

「藤田は蒼井と話すのに夢中だったし仕方ない。俺もあの先輩見たのは数回だけだったし」


数回でも印象に残る顔ということか。瀬戸先輩は確かにすぐ記憶できる顔だ。

美少女とまではいかないが、可愛い顔立だった。クールな雰囲気がありつつ、ベースは可愛い。上手く表現できないがこんな感じだ。


しかし、空と瀬戸先輩がそれだけの関係だとしたら、ほぼ初対面ということだ。空が覚えていないのも無理はない。初対面であの失礼な言い草は空が激怒したとしても不思議じゃない。空の何が気に食わなくてあんな態度をとったのかと考えたが、そういえば、「嘘くさい」と言っていた。空の外面と内面に差がありすぎだということに気づいたのか。しかし、いつ、どこで、何がきっかけで分かったんだ。この世に完璧な善人なんていない、良い子ちゃんは裏がある、等の誰でも一度は思う理由でそう言っただけなのかもしれない。

ただ空の気を引きたいだけなのか、裏がありそうだと思っているのか、裏があると確信しているのか。真実はいつもひとつなのだがその真実にどうすればたどり着けるのだろう。

どこぞの探偵のように推理をするが、一回会っただけで情報も特にない先輩のことなんていくら考えたって分かるはずもない。

ミステリー小説を五十冊くらい読めば推理が得意になるのかな。


「藤田は、その先輩のこと気になるのか?」

「だって初対面であんな言い方されたら気になるよ」

「じゃあ、俺より西島の方が知ってるかもな」

「西島くん?」


西島くんとは、あの西島くんか。空の後輩であるあの西島くんかな。

久しぶりにその名前を聞いた。あれから西島くんとは会っていない。学年も違うし私に会いに来ない。私も、彼に用事はないので必然的に会う機会もない。


「あいつ結構縦と横の繋がり持ってるから」

「そっか、コミュ力高いもんね」


西島くんに聞いてみようか、と思ったが、なんで私がここまでやっているんだと冷静になった。空に敵意を持っている先輩のことを私がここまで気に掛ける必要とは。

空と瀬戸先輩の問題でありそこに私は関係がなく、首をつっこむ理由はない。

ではなぜ私がここまで先輩のことを知りたいのか。

ただの好奇心である。私だったら初めて話す人に悪口なんてぶつけることはできないので、そんな人が一体どんな理由で空を嫌っているのか、どんな理由で悪口を言ったのかを知りたいだけだ。


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