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第107話

その後、何故か四人で行動することになってしまった。時計を見ると午後三時を少し過ぎており、丁度良い時間だからと通りがかったカフェに入った。

四人で移動しようにも、行きたい場所が異なるだろうと思い、カフェに入ったのは英断だと思う。だって私、男子が行きたい店に興味がないし。

西島くんが寄りたい店はスポーツ店に決まっている。空は特に行きたい所がなく、提案されたならそれに従うし、誰も提案しなければテキトーに無難な選択をするだろう。佐伯さんは四人で行動することに対してあまり良い気はしていない。良い気はしない、というより気を遣っているため普段よりも更に大人しくなっているように見える。それもそのはず、久しぶりに会った異性を前にしているのだから、佐伯さんと言えども、やはり気を遣ってしまうものなのだろう。


それぞれタイプが違うため、そしてこの面子で出歩くのは初めてのため、カフェへ行こうという判断はやはり正解だ。

それぞれが好きなものを注文し、お喋りをする。一番楽だ。


「本当に偶然でしたね。まさか藤田先輩と佐伯先輩に会うなんて」


アイスコーヒーを飲みながら西島くんがしみじみと言った。男二人はアイスコーヒー、佐伯さんはアイスティー、私はメロンソーダを頼んだ。私が一番子供っぽい。


「佐伯さんたちは何してたの?」

「ふふ、蒼井くんってば、ショッピングに決まってるじゃない」


美男美女が会話をしている。惚れ惚れするような笑顔で会話をしている。


「優ちゃんのメロンソーダ、美味しそうね」

「うん、美味しい。飲む?」

「えっ、いいの?それなら、わたしのも飲んでみて」

「こんな色のアイスティー、あんまり飲んだことない」


佐伯さんがメロンソーダに食いつくとは思わなかった。軽く聞いたつもりだったが、まさか本当に飲むとは。

目の前に置いていたメロンソーダを隣にいる佐伯さんの前まで移動させる。佐伯さんからはピンクがかったアイスティ―をもらう。


間接キッスだな、なんて内心笑いながらストローに口を付ける。

アイスティーはあまり飲んだことがないため、ドキドキしながら見慣れない色を吸う。


「あ、美味しい」


想像していたよりも美味しい。

隣を見ると佐伯さんがストローでメロンソーダを飲んでいた。


「ん、メロンソーダも美味しい。炭酸はあまり飲まないから、久しぶりだなぁ」


口内に残っていた少量のアイスティーを唾液とともに飲み込んだ。


美女がストローで飲む姿を見てのことだった。

先程まで自身で注文したアイスティ―を同じようにして飲んでいたと思ったのだが、飲み方が何かちょっと違った。

今のは何やらすごく、クるものがあった。


机を挟んで佐伯さんの前に座っている西島くんを盗み見ると、顔を赤くしてガン見していた。その気持ち分かる。

空は顔色一つ変えていない。


「あ、あの、聞きたいんですけど」


互いの飲み物を元に戻していると西島くんが若干乗り出すようにして言った。


「佐伯先輩、彼氏とかいるんですか?」


彼氏。第三者にそう口にされると、なんだか凄く気になってきた。

彼氏、いるのだろうか。

西島くんと同じように、佐伯さんに注目する。


「ふふ、さあ、どうでしょう」

「せ、先輩…」


佐伯さんに釣り合う男子が身近にいるのか。

イメージだが、年上の出来る男がお似合いだ。


「佐伯さん美人だから、彼氏くらいその気になれば何時でもできそう」


思ったことを口にすると佐伯さんは笑った。


「そんなことないよ。でも優ちゃんに美人って言われるのは嬉しいな」

「本当のことだもん」

「ふふ、優ちゃんの方が可愛いよ」

「えー、嘘だ」

「本当だよ。優ちゃん可愛い」

「や、やめてよ。佐伯さんに言われると照れる」

「どうして?」

「だ、だって美人だし」

「優ちゃんの方が可愛いのに」


佐伯さん美人、優ちゃん可愛い、の応酬で男二人を置き去りにしていると、空が「それで?」と入ってきた。


「佐伯、彼氏いるの?」

「ううん、いないよ」

「あぁ、そうなんだ。意外だなぁ、佐伯美人なのに。好きな人は?」

「ふふ、秘密。蒼井くんこそ凄くかっこいいのに好きな人とかいないの?」

「はは、秘密」


空が自ら本人に美人と言うなんて、しかも彼氏まで気になるとか。佐伯さんが嫌いなわけではないのか。言葉の真意が理解できない。単に佐伯さんを揶揄うネタにしたいだけなのか。考えても性悪イケメンの思考は理解できない。


「あの、佐伯先輩」

「何?」

「先輩は今どこの高校なんですか?」


カフェに入ってから彼の様子を見て、もしやと思っていたのだが。まさか、まさか、だ。



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