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水の精霊と人間のハーフです  作者: 雨粒
トリアイナ
9/14

八話~飛虎~

a オーガの集落襲撃の功労者として扱われ、特別報酬がでることになった。一人金貨五枚。合計十五万マールだ。それに緊急クエストの報酬が一人金貨一枚。計十八万マールとなった。

 それを五枚づつ分け合い、残りの三枚は何かあった時の為のパーティー教養の資金にした。

 さて置き、そろそろ春先。名残雪も溶け、日差しの温かい季節となった。賞金首モンスターを探す旅に出る事にしたトリアイナの三人。準備は既に整っている。

「ところで、海を渡るのか? それとも河を渡るのか?」

 サイが訪ねてくる。その辺りは話していなかったな、とルーリィは思った。

「海を渡ろうと思ってる。例のナーリ・キンダ―とかいう貴族は、あの馬車や荷車の量だ、海越えは厳しいだろうし、まず間違い無く大河の橋を渡る筈だよ」

「あー、あの貴族ねぇ。確かに避けたい相手だな」

「私も賛成。あんなのと鉢合わせになるのは嫌だわ」

 満場一致で船に乗ることになった。


 そして新たな旅路へと出発。先ずはバーソンの村から南西に二日、サルスの村に到着する。道中は特に何もなく、安全な旅路だった。

 サルスの村から南に五日ほど歩くと迷宮がある。その迷宮の直ぐ近くにハルキヨ村という村ある。が、今回の目的は港だ。北に同じく五日ほど歩くと、港町のバルに着く。

 だがやはり盗賊はおろかモンスターも姿を現さないのは何かあるんだろうかと不安になる。何事も無ければいいのだが、と三人は思いつつ、道程はあっさりと何もなく消化されていく。

 結局、いっさい何もなく過ぎていった道のり。あっさりバルに着いた。

「よし、一刻おきに定期船が出てきてるはずだ。それに乗ろう」

「それはいーけどよ、何か食わねーか? 俺、腹減ったんだけど」

「そう言えばそろそろ昼食時か。じゃあ、どこか適当に店を探して入ろうか」

「私魚が食べたいわ」

「魚料理、ね。確かに食べたいなぁ。開拓村じゃあ食べられなかったし」

「そりゃー村は森の近くに辺境近く。川もねーから魚は縁遠いだろーけどよ」


 適当な店に入ってみたら魚料理のメニューは沢山あった。

 各々別の料理を頼み少しずつ分け合いながら、堪能した。

「赤いソースがかかった魚が僕としては一番気に入ったかな」

「俺も。あのソース何で出来てるんだろーな?」

「ちょっと辛かったから唐辛子でも入ってたんじゃあないかな?」

 などと、他愛ない話をしながら港に着いた。

「定期便の搭乗券三枚お願いします」

「はい、御一人様銀貨一枚です」

 桟橋の近くにある受付で、チケットを買い、船を待つ。

 船が港に着くと、物資を積んでいるらしく、船乗りの、いや、海の男が木箱などを抱えて出入りする。逆に、積み込む分もあるようで、海の男達はあくせく働いていた。

 そうこうしているうちに、向こうからの定期便で来たお客らしき人々が降りてくる。

 入れ替わりで船に乗り、出発を待つ。

 雑談しながら待っていると、一刻も待たずに船が出港した。




 船酔いなども無く無事、何事も無く港町ドルに到着した。カルディニア共和国に入国し、身分証を見せる。

「どうする? 今日くらいは一泊してくかい?」

「そうね。暫く野宿続きだったし、今日くらいはベッドで寝たいわ」

「俺はどっちでもいーぜ。風呂に入れなくても死ぬわけじゃねぇし」

「それは、町に居て言う台詞じゃないと思うけどね。まあいいや、今日は一泊して行こう」

「おーけー」

「やった!」

 宿は適当に選んだのだが、一泊五十マールの宿にしては小奇麗でいい雰囲気の宿だった。一泊百マールでもおかしくない程の。


 久しぶりの入浴やベッドでの睡眠に心身共にリラックスできた一向は、カルディニア 共和国の首都カルディニアで賞金首のモンスターの情報を集める為に首都を目指す。

 港町ドルから二日足らずの位置にある首都へと目指すことになった。

 やはり何も起きず首都カルディニアまで到着したルーリィたち。どうも肩透かしをくらっているような気分だった。

「うわ」

「多いな」

「長蛇の列ね」

 シャルロットの言う通り、首都カルディニアに入ろうとする門の前で並んでいる人々の列が、長く続いていた。

 その最後尾に並び、待つこと半刻。漸く順番が回って来た。

 開拓村証とギルド証を見せて通過。あっさり通れた。じゃあ他の人たちは何で時間を食っているんだろうと思ったら、後ろに並んでいた商人たちの積み荷を改めており、成程、それは時間が掛かるだろうな、と思いながら町の中に入っていく。

「それにしても人がおーいな」

「確かに。こんな人混みは初めてだよ」

「田舎者丸出しになっちゃうけど彼方此方あちこち見ちゃうわ」

「マクバ大地の首都マクバもこんな感じなのかな?」

 ルーリィ達が今まで暮らしていたマクバ大地。その首都マクバ。三人は行ったことが無かったのだが、だからこそ首都カルディニアの人の多さには辟易していた。

 先ずは宿をとった。一泊百マールのお洒落な宿屋、子猫の尻尾亭という名前の宿だ。それから三人は宿の主人に場所を教えてもらいギルドに向かった。

「手配書が結構あるわね」

「首都だからね。情報が集まってくるんだと思う」

「此処最近の目撃情報のあるやつは少ねーな」

「あ、これ近くだ。ここから北の森に出没、三日前の情報か・・・・・・これにしようか?」

「さんせーだ。三日前ならまだ新しい情報だしな」

「私も異論は無いよ。それでいこう」




 カルディニアの首都から北へ半日。もうすっかり夜になってしまったので、今日は無理に森へと入らず、野営することとなった。

 折角宿をとったのに無駄になってしまった事を残念に思いながらも交代で見張りをし、夜を明かす。

 翌朝、まだ日が昇る前に起きだした三人は簡単な朝食をとり、日が昇った後で森に入った。

 ソナーエコーの魔術とルーリィの探索敵スキルで探索し続けること半刻。

「グルルルル」

 鳴き声が聞こえた。

 声が聞こえた方角に駆けつけてみると。今回狙う賞金首モンスター、飛虎がいた。

 丁度、仕留めた鹿を食べようとしていた所で遭遇した。

「グルルルル・・・・・・」

 食事の邪魔をされて、不機嫌そうな飛虎。こちらへと向き直ったその目は右目に斜めの傷跡があり、その特徴から賞金首モンスターに間違いないと思われた。

 ルーリィが剣を構え、サイが杖を掲げ、シャルロットが弓に矢を番える。

 鑑定してみると。

<飛虎> 

LV42

 明らかに格上だった。

「レベル四十二か、強敵だね」

「ああ、けどこっちは三人がかりだ」

「そうね。でも飛ぶのが厄介だから、早めに翼を射抜いておかないと」

「グルルルルルッ」

 威嚇音を鳴らしながら突っ込んでくる飛虎。

 素早く散開し、ルーリィが無詠唱の魔法を放つ。

「アイスランス!」

「ぐるるる!?」

 突如発生した氷の槍に混乱しながらも身を捩り、軽く脇腹を抉るにとどまる。

「三連射!」

 その隙にシャルロットが飛虎の左の翼を体に縫い止める。

「冷たく無慈悲な氷の矢よ、わが敵を射抜きたまえ、フリーズアロー」

 更にサイが、右の翼をアイスアローで射抜く。

 あっさりと翼を封じられた飛虎。だがそれだけで終わる程ぬるいモンスターではなかった。

「ぐるるるるる!」

 素早い突進。サイが吹き飛ぶ。勢いよく木にぶつかって呻く。

「グルガァッ」

 更に、ルーリィに左前足の爪で襲い掛かる。

「くっ。手負いの獣は恐ろしいな」

 身を屈めて爪を回避。勝負を決めようと必殺の一撃を放つ。

「次元斬!」

 しかし、俊敏な動きで跳び退り、回避した。

 先程までの飛虎はルーリィたちを食料が増えた程度にしか思っていなかった。しかし、翼を封じられ、事ここに至って漸くルーリィたちを敵だと認識した。

「グルルルル」

 油断なく周囲を見回し、次の標的を見定め、サイに突進していった。

「サイ!」

「アイスアロー!」

 既に詠唱を終えて身構えてたらしきサイ。氷の矢が十数本、飛虎目がけて飛んでいく。だが――

「グルルルルッ」

 飛虎は唸りながら横っ跳びにそれを躱す。

「鋭き風、駆け抜けて刃となれ、ウィンドカッター!」

「グウルルル」

 更に横っ飛びに躱す飛虎。サイとの距離が近づく。が――

「雷迅閃!」

 ここでルーリィが間に入る。タイミングとしてはギリギリ。あと少しで飛虎がサイに襲い掛かる所だった。サイが魔術を放って飛虎に回避行動をさせなかったらサイは飛虎に喰い殺されていただろう。

 ルーリィの雷迅閃で飛虎の右前脚が斬り飛ばされる。

「グルガァッ!?」

「止めだ、次元斬!」

「グガッ」

 袈裟懸けに真っ二つになった飛虎。直ぐに瞳から光が消える。

「翼が無事だったら、こうも上手くいかなかっただろうね」

「ああ、実際、飛んでなくても恐ろしー奴だったよ」

「最後のサイへの突進の時、動きが早くて弓の狙いが付けられなかったわ。始めからあの動きをしていたら翼を射抜く事すら出来なかったと思うもの」

「何にせよ、倒せてよかったよ。あとは早く町まで戻りたいな」

「そうね暖かい夕食にふかふかのべッドが恋しいわ」

「じゃあ、一休みしたら行こうか。飛虎の身体もアイテムボックスに入れないとね。位相の門よ、開け、アイテムボックス」

 それから十分後。森を出て草原を歩く。

「そう言えば、今回の飛虎は幾らの賞金が掛かっていたの?」

 シャルロットはそう訊くが、答えは返ってこない。

「・・・・・・そう言えば、幾らなのか確認してなかった」

「俺も・・・・・・」

「誰も気にして無かったのね」

「案外安かったりしてな」

「逆に高いかもよ? 金貨五十枚とか」

「楽しみにしてましょうか。いくらなのか」



 カルディニアに到着し。また列に並び、冒険者ギルドへ。

「賞金首モンスターの確認をして欲しいのですが」

「はい、では確認いたします」

「位相の門よ、開け、アイテムボックス」

 飛虎の上半身を取り出す、と。受付嬢が息を吞む。

「これは・・・・・・特徴的な右目の傷、ササクレ立ったような左耳。間違いなくランクA賞金首モンスターの飛虎ですね」

「「「え」」」

「ランクAモンスターだったのかよ。どーりで手強いはずだぜ」

「本当にね。信じられないな、僕たち、ランクAモンスターを倒したんだね」

「言葉も無いってこの事なのね」

 じゃらり、とカウンターの上に乗せられる金貨の詰まった革袋。そしてその脇に三枚積まれた硬貨。

「こちらが報酬の三百五十万マールです」

「「「え」」」

 三枚積まれたそれは白金貨。金貨百枚分の価値がある硬貨だった。

「えっと、それじゃあ白金貨一枚ずつに金貨五十枚はパーティー資金に、と言う事で」

「「あ、うん」」

 サイとシャルロットに白金貨を渡し、残りをアイテムボックスに入れる。

「る、ルーリィ。私自分で持ってると不安だから預かってて」

「あ、俺も俺も。落とさないか心配で怖いし」

「うん、分かった」

 二人から白金貨を受け取ったルーリィはそのままアイテムボックスに入れる。

「ではこれで」

 受付嬢に挨拶してギルドを出た。

「白金貨なんて俺、初めて見た」

「そりゃそうだよ。僕だって初めて見た」

「私も」

 どこか上の空で会話する三人。

 宿へと戻りながら降って湧いた大金に実感が無く、足取りもおぼつかない、とまではいかないが意識は散漫している。

 そんな様子のまま、子猫の尻尾亭に戻り夕食を食べ、風呂に漬かり。眠りについた。

  ◆

名前:ルーリィ・グルブ

種族:人間と精霊とのハーフ 性別:男性 年齢:15 LV37

称号:湖の麗人の子

特殊:水体化 雷属性無効化 無詠唱魔術行使

常時型スキル

身体能力強化LV6 保有魔力増加LV5 索敵LV3

発動型スキル

魔力制御LV6 オーラスラッシュLV5 フライングオーラスラッシュLV4 

オーラスラストLV5 雷迅閃LV5 次元斬LV5 鑑定LV5 疾風突LV3 火炎斬LV2 流水斬LV2

魔法

ヒーリングライトLV6 アンチドートLV10 ライティングLV2 ティンダーLV5 ウォーターLV5 ファイアボールLV3 アイスブリットLV3 アイテムボックスLV6 エナジードレインLV2 フレイムランスLV2 アイスランスLV2 ピュリファイLV3 エクストラヒールLV2

 ◆

名前:サイ・コッツ

種族;人間 性別:男性 年齢:14 LV37

称号:無し

特殊:無し

常時型スキル

身体能力強化LV5 魔法威力向上LV6 保有魔力増加LV5

発動型スキル

魔力制御LV6 魔力撃LV4 鑑定LV5 トライエッジLV2

魔法

ライティングLV2 クレアボヤンスLV3 ソナーエコーLV5 ファイアアローLV4 アイスアローLV4 ウィンドカッターLV6 ファイアボールLV3 アイスブリットLV3 エクスプロージョンLV2 サイクロンLV1 インプロ―ジョンLV2 ピュリファイLV2


  ◆

名前:シャルロット・ベイカー

種族:人間 性別:女性 年齢:14 LV38

称号:美人姉妹の妹の方

特殊:回復魔法強化

常時型スキル

身体能力強化LV7 鷹の目LV6 

発動型スキル

オーラスラッシュLV4 オーラスラストLV4 三連射LV6 アローレインLV2 速射LV2 クロスエッジLV2

魔法

ライティングLV1 ヒーリングライトLV6 アンチドートLV2 ウィスパーボイスLV3 ソナーエコーLV5 ファイアアローLV3 アイスアローLV3 アイスブリットLV3 アースウォールLV3 ファイアウォールLV2 フレイムランスLV2 アイスランスLV1


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