1 → 同族嫌悪 ― 「 自分のことを棚に上げて人を蔑まなきゃ、生きてけない人間なんだよ…わたし。 」
お久しぶりです。
ただ主人公がしゃべってるだけです。
文章がおかしい時はバンバン指摘して下さい。
日の光が、まだ静けさが残る校舎を明るく照らし始めている。
校舎内には、学生はほとんどと言っていい程人気がない。
そんななか、ある教室の窓側の席に一人の学生がいた。
「…はぁ」
溜め息が零れる。
今日何度目の溜め息だろうか?
はぁ。あぁ、また溜め息が漏れる。
朝日がわたしの体半分、左側を徐々にちりちりと照らしてくる。
ちらっと、黒板の隣の壁に左斜め上辺りで掛けられた時計に目を向ける。今は時計の針が、7:35を指したところだった。
「もうすぐ、人が来んなぁ」
ぽつりとひとり言を呟いたその顔は、嫌気と惰性が入り交じっていた。
そのまま、両手で本を持ったままの状態で伸びをするように、机の上へ突っ伏す。
「《ぼそっ》どうせまた、あの女がキチガイなテーションで一番に(自分を除いて)来るんでしょ?わかります、わかります……っ…はぁぁぁ…やだぁ…」
ぼそりと呟き、最後には溜め込んだものを一気に吐き出すようにぼやくと同時に、いやだ、いやだと机に顔をこすりつけるような動作をし始める。
「《ぼそり》オレのことは無視する癖して、他の奴には尻尾振って追い掛け回して、吠えまくるとかマジないわ」
《ぱたったっ》
「っ……」
まだ相手に対しての悪口を言い続けようとして息を呑んだ。
廊下側から教室へと近づいてくる音が聞こえてきたのだ。流行の歌を歌いながら近づいてくる声の主は間違えなく奴だ。
わたしは、奴が来る前に何事もなかったかのように本に集中するフリ(からのガチ読み)をしていた。来るまで、某ホラー映画の『くる~♪きっとくる~♪』が頭の中で駆け巡っていたのは言うまでもない。吹き出しそうになって困った。
そして奴が教室に到着して、扉を《バ――ン!!》と開け放ったかと思うと、
「ぐっと、もーにんぐっ、えぶり、ばり!!ヽ(*゜∀゜)ノ」
「って。誰もいないじゃん~ショック~」
(うん!やっぱ相変わらずのキチガイ!朝からありえないテイションの上に、何で朝の挨拶が毎回、英語もどきなんだよ?!しかもカタコトだし!てか、誰もいないって言うのはおかしいからな?オレいるからな?ああ、わかってます。絡められる(親しい)人のことですよね?まぁ、おいちゃんの方も別に親しくないし、絡まれる(話しかけられる)のはマジ勘弁なんで、いいんですがね!マジキチ(マジ、キチガイの略。この称号は奴にこそ相応しいっ)とは極力お近づきになりたくないんでっ!!)
「あっ。おっ、おはよう」
「……」
今気づいたという風に装い挨拶をしてみたものの…ガン無視。携帯で音楽聴き始めやがりましたよっこのアマ。しかも溜め息付きで「イズミたちまだかなぁ。センパイ早く来ないかなぁ~はぁ~」とか言ってやがりますよ。
(ふざけんな!おのれ!こっちが顔向けてにこやかに(してるつもりの苦笑いで)挨拶してんのに、毎度のごとく、なにガン無視しこいとんじゃあ!! 泉ちゃん達(仲良しメンバー)やテメーの好きな先輩さんだってなぁっ。内心じゃ迷惑扱いてんだよ!気付けや、ボケ!!てか、先輩さんに対して思いっきし朝→休み時間→昼食→休み時間→放課後ってあんた、突撃お宅(クラス?)訪問し過ぎっ。ストーカーの域だからなっそれ!!あとなぁ。数分ごとにつく溜め息と、音楽に合わせて貧乏揺すり(足踏み)すんの止めろっ鬱陶しいんじゃっ!!われっ!)
内心で荒れ狂う罵倒の嵐の後に、いっぺんこの顔殴りたいという症状に陥り、泉ちゃん達が登校してくるまで本に夢中の振りして自分を抑え込むのが大変だった。
若干、本の表紙に凹みがついてしまって、慌てて元に戻そうとしても戻らず、泣きそうになった今日この頃。
その後、佳奈ちゃんに同情されて慰められました。さすが、わたしの心の友。
だが佳奈さん、貴女の悪口は相変わらずですね。
「……死ねばいいのに…ちっ」はぶっちゃけすぎです。
嫌いな人に絡まれた後や家族内対戦(喧嘩)での鬱憤が溜まると陰湿ヒステリックな感じになるのは少々いただけないです。
毎日のようにぶっちゃけられるこっちの身にもなってください。
まあ。おいちゃんも何回か思いましたよ?口には出しませんが。
誰が聞いてるかわからないからですね。
口にするなら「転校すればいいのにね?」ぐらい。
内心で付け加えるなら
「ここより遥か遠くに行ってしまえばいい。そして二度と私の前に現れないでほしいね。目障りだ」
ですね。
言いたいけど言わないですよ。
言ってしまえば、周りの奴らが今の言葉を増長させて奴にあることないことごちゃ混ぜで話されると思うのでね。でも、彼女のガン無視からして外野が話した可能性ありですな。
でもまあ、最初から「アイツ、気にいらない」とお互いにだと思いますが、感じていたところもあったのでしょう。
周りが自分に興味を持ってないことを極端に恐れるあまり自身を目立たせようとして悪目立ちする奴。
他人とある程度距離を置く素振りをしながらも傍を離れることができない一匹狼のなり損ないな私。
双方共に、周りとの関係を絶つことはできず、むしろ、周りから見放され、棄てられることを恐れている。
互いが互いのようになりたくないと思うのは、同族嫌悪からだろう。
根本は同じ。
私たちは同じ穴の狢。
だからこそ、相容れることはこれからもない。
一度たりともね。
「《ぼそっ》あ。あの雲…美人な横顔してる……」
「 何?美人だって?葛里さん。先生にも是非教えてもらいたいものだね? 」
(…あっ、やっべ!一限、数学の野沢(先生)の授業だったわ!)
考え事や読書中、妄想時には、思考が外部の声を遮断するため聞こえていないことが多々ある眞都。
「授業後に先生の特別スペシャル課題を、君と後ろで寝てる城島くんにプレゼントするとしよう。楽しみにしてるといいよ」
「 う゛っ・・・はい 」
(うげぇ~ウザす、野沢エロ似非紳士じじぃ)
(ふへぇ~)
その後は内心ブツクサ言いながらも午前の休み時間と、残りの授業の最中で(は隠れて)課題を解き → 昼休みに入ってすぐダッシュで職員室へ → エロ似非紳士じじぃに小言をもらい → またダッシュで教室に戻っていつもの仲良しグループで昼食を開始してひと息する。
グループメンバーが漫才みたいな掛け合いをするなか、わたしは時々変なところでツボに入って吹き出しかけたり吹き出したりして、メンバーが一瞬唖然とした後、爆笑される。複雑だけれども楽しい。
(ちなみに、奴は三年先輩(男子)さんの所へアタックしに行っていない。そのまま砕け散るほど玉砕すればいいのにね。名前も知らない三年先輩(男子)さん、あんなキチガイストーカー女に迫られて、同級生と同情し、申し訳ない気持ちでいっぱいです。すみません。でも、お昼のこのなごなご雰囲気を壊されたくないので大変申し訳ないですが先輩には犠牲になっていただきます。南無南無合掌( ̄m ̄))
午後は食後の眠たさと戦いながら黙々とノートに黒板に書かれる文字を書いていった。
なんとなく過ごすわたしの一日が、今日も意味もなく過ぎていくのだった。
【登場人物紹介】
― 主人公 ―
葛里眞都
―見た目―
少しぽっちゃり体系だけど、165cmある身長と骨太なためあまり太って見えない。日によって痩せたり太ったりする+骨太は母方遺伝。父方遺伝の剛毛な焦げ茶色の髪と眉毛は年頃の女子としては悩みどころ。切れ長のたれ目にすーっと高い鼻筋、厚めの唇をしている。
―性格―
マイペース。基本物事を考えない、楽天家。時と場合によって話し方や態度がころころ変わる。変なとこでこだわりがある。頑固。融通が利かない。嫌なこと、主に黒歴史には蓋をする。相手を蔑んで自身を正当化させることでしか生きられないダメ人間。
所謂、子供のまま大人になっちゃった人代表格。
学校では、
【先生の場合】ある程度距離を置き丁寧な敬語を使う。
【友人の場合】ちょっとお調子者、面倒くさがりの真面目さん。
家では、わがままプー太郎。
一人称は、
「わたし」「オレ」「おいちゃん」「うち」と多い。
定まっていないのは、自身が定まらず不安定な状態なため。