06.桃也死亡フラグ
「おら亜陰センパイ早く行こうぜ?!]
「どうしよう桃也、汰依雅の瞳が前後左右に超揺れている」
「まあまあ、センパイ! 汰依雅がノリ気なのはいいことですぜぃ! 行きましょう!」
校門が見える位置についた。
同じ制服の人たちが湧いている中で、それと異なる3人。
「どこだ?」
「お! この娘たちじゃ」
それらしき3人の背後で、桃也が指をさしながら呟く。
と、その3人のうち1人がこちらに振り返った。
すると、何を言うまでもなくその3人は。
桃也に、殴りかかった。
ツインテールの娘は、頭に膝蹴り。とんでもない飛躍力だ。
お団子結びの娘は、みぞおちに右ストレート。見ているだけでも嗚咽が出そうだ。
サイドテールの娘は、弁慶の泣き所に凄まじい蹴りを入れた。
こんなに恐ろしい子達と、自分が親族だということに身震いする。
「お兄ちゃん!」
「お前ら」
「どうしてわざわざ、ここに来たんだ?」
「……え?」
思いもよらぬ反応、といったところか。
しばし沈黙。
無言の威圧に妹方は目を潤ませる。
「あ、のね。コレを、ね? ……届けに、来たんだ、よ」
美緒浬が、弁当箱を差し出してきた。
その両手は、微かに震えている。
「そう、か。そうだな。ありがとう、お前ら」
こくこくと、美緒浬は頷く。美乃浬は大粒の涙をこぼしている。紅麗亜にいたっては、その場にしゃがみこんでいる。
「ご、ごめ、ん、お兄、ちゃん」
「俺のほうが悪かった。被害妄想がすぎたな」
「お、お兄ちゃぁぁん……!」
一斉に目を輝かせ、こちらに顔を勢いよく向けてきやがる。
かわiなんでもないです。
「見ろよ、桃也」
その頃、片隅で亜陰は桃也を介抱していた。
「どんどん話が進んでるんだぜ? ああ、面白い。……桃也、いい加減起きねぇと、お仕置きだぞー?」
桃也は白目をむき、泡を吹くばかりだ。