異星人(読了時間1分)
短いです。1分で読み終わります。ウルトラバカ話です。
この私の言葉に対して耳を傾けていただけることに、まずは深い感謝を示したいと思う。
その上で、私は今世紀最大の大発見を、あなた方に胸を張ってお伝えする所存だ。
私達のような、非常に優れた生命体の描いてきた進化の軌跡は、それは目を見張るものだった。
太古の昔、数多に渡る生命体の内の、その一介の種に過ぎなかった私達。
他の生物に怯え、日々食料を求めて彷徨う生活。
しかし、今はどうだろうか。
独自の言語を生み出すのに飽きたらず、私達はこの、わずか数本の指で様々な物を創り描いてきた。
そうして幾多もの生命を統べる、完璧な生命体にまで発達するに至った。
しかしながら、このような繁栄は、何故に成しえたのか。
それはひとえに、私達が未知なる物に対して『挑戦する』意志、『好奇心』を持ち続けたからだ。
私達の好奇の性質が、私達自身を今日まで導いてきた。
幾多もの創作物は『好奇』を満たす道具でしかない。
今日の私達は、『好奇』を満たした『結果』の上に成り立っている。
その事を踏まえた上で聞いてほしい。
私達の抱いてきた、最大と言って差し支えない『好奇』が満たされる日が、『結果』が生み出される日が、ついにやってきたのだ。
私達は、異星人とのコンタクトに成功した。
内側に留まっていた好奇があふれ出し、外宇宙にまで流れ出ていった結果。
ついに私達は、外的生命体の存在を発見したのだ。
異星人。
彼らは、私達が何世代にも渡って空想し、追い求めていた存在に相違ない。
しかし彼らを私達の『同種』と呼ぶことに、個人的意見ではあるが、私はいささかの疑問を感じざるを得ない。
彼らの惑星では、同種の生命体同士が争いをしているという。
この事実を受け入れていいのだろうか、いや、いいはずがない!
協調無くして、生命の発達は成しえない。
この思想は、過去に一度たりとも同種間で血を流したことのない私達、全生命体を上回る発展を遂げた私達の存在が、如実に証明しているはずだ。
加えていうならば。
この異星人は、自らの住む惑星の環境を、己らの私利私欲のため汚しているというのだ。
正直私は、この話を事実として認識したくは無かった。
私達と同等の知能を授かった生命が。
自らを破滅へと誘うのを分かった上で、自らを苦しめているという事実を、理解し得るはずがないであろう。
以上のことから、私達の発見した惑星――非常に美しい蒼い星だ――に住む異星人は残念ながら、非常に野蛮な性格であることが判明した。
しかしながらだ。
外的生命体との接触の機会を、長年彼らを捜し求めていた私達が断ち切るというのは、あまりにも惜しい話だ。
より精密な事前調査を十分に行なった上で、彼らとの惑星間交渉を進めていきたいと思う。
最後に。
彼らは、彼らの住む惑星を『地球』と呼ぶそうだ。
争いも環境破壊も良くないない。
異星人に愛想尽かされる前に、みんなで世界の問題を解決していこう。
なんて真面目なテーマが伝わったらいいな、と思います。