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《ぼく》シリーズ

くさったみかん

作者: 武智舞

ぼくシリーズ第五弾

中学の時に、美術で紙ねんどを扱った。


課題はくだもの。


ぼくは、みかんを目指した。


紙ねんどに、意外と手こずった。


ねんどよりも硬くて、そのくせあっさりと引きちぎれる。


名前の通り、紙をねんどにしたような感触だった。


手こずったのは、一度乾くと、ほとんど形が変えられないことだ。


ぱらぱらとこぼれた紙ねんどの小粒をつかんで、それを実感した。


みかんの形はすぐにできた。


いわゆる楕円だから、多少いびつでも問題ないのだ。


みかんのつぶつぶとした模様は、尖った棒を突き刺して作る。


あとは、色を塗って完成。


できあがったのは、緑色の斑点に侵食されたみかん。


ごとりと置いて眺めると、笑えた。


手のひらにのせて目線の高さにもってくると、笑えた。


みんな、何の変哲もないくだものを仕上げていくのに、ぼくだけちがう。


おかしかった。


みんなに見せると、みんなも笑った。


特に感慨もなく、それを提出してぼくは帰った。


まさか、それが棚に置かれるとは思わなかった。


ガラス越しに眺めると、それが笑えるぐらい際だっている。


色とりどりのくだものに混じって、それはあまりにも場違い。


やる気もない、ふざけてるだけのそれに貼られた名前は、もちろん、くさったみかん。


最後にはそれを、家のみかん箱にぶちこむことになる。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  長くなくさくっと読めました。 [気になる点]  ポエム形式といのでしょうか?  そう いった作品はあまり読まないので、全体的なストーリーが抽象的、かつ、掴みにくかったです。  人それぞれ…
2010/11/21 12:45 退会済み
管理
[一言] 分かります。私も中学の頃は美術が大の苦手で絵を描いても、何を作っても上手くいかず、美術の教師にどれだけ何を言われたか、覚えていませんが、良いように言われた覚えはありません。 そんな事をふと…
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