表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

星屑の塔

作者: GiruSIN

この作品は今までの私の作品の中で一番の大作だと誇れるほど最高の結末を迎えます。

この物語は、いつどこで誰が産んでくれたのかすら分からないこの星に住む少年の、ずっと描きたかった物語。


少年の名前はチュテン目は紫色の星のような輝きを見せていて、その目を見ているとまるで夢を見ているかのような心境に陥ってしまう、それほどまでにチュテンの目は透き通っていて純粋な目をしていた。


この物語をざっと説明してしまうと、ただ空に向かうだけのとても見てはいられないような物語、誰も経験したくはないような物語そして一部の人は結末がこうなのではないのかと考察もするだろう、その考察が当たっていたとしても最後は必ず驚き貴方達の心を掴んで見せます!多分


チュテンの住んでいるこの星には動物や魚それに植物も生えていて、自然豊かな幻想世界と言っても良い、だがそんな世界を歩いていると突然大きな塔が見えた、上を見上げても雲で覆われて宇宙の果てまで行っているのでは無いのかと思えてしまうぐらいに。


それとこの物語はフィクションで現実のこの世界で皆さんにできないような事や実際不可能な事も、やってしまいますので柔らかく生温かい目で見てあげてください。



この幻想的な海を歩いている少年はチュテンと言い、なんの目的もなくただ歩いていた近くには大きな魚の骨や動物の骨がいくつも落ちていた、だが人骨などは見当たらなかった。


魚を捕まえに川に行く事にした、この海は危険はないが色がただなんとなく嫌いという理由で海の中には入っていた事が一度もなかった。


いつものように楽しげに川に向かうと、迷子になってしまい森の中を彷徨い始めてしまった、川の音が聞こえそこまで走ると大きなレンガで建てられたような可愛くもあり怖くもある言葉では表現してはいけないような塔が立っていた。


好奇心が突然込み上げてきた、それもそうだろう今までこの世界では楽しい事なんて一つもなかった、楽しいと思い込み少しの間そんな心境に浸っていた事もあったがそれはなんだか違い楽しい判定にはしていなかった。


だが塔に入る前にまずは魚を食べたく腹がなってしまったので、川まで行くと魚はちゃんといてチュテンがそこは目掛け飛び捕まえると魚は何故かちゃんと捕まり楽に上げられた。


チュテンは嬉しそうにその魚をちょうど良い枝で突き刺し焚き火で焼き、焦げ目が出てきたら食べた。

いつもほぼ魚しか食べていなく別に美味しい、と感じられるような感覚はあまりなかった。


食べ終わると笑顔で塔のある方まで行った、塔に着き入り口のように掘られた所から中を覗くとやはり中は暗く唯一見えたものは、石でできた先の見えないほど長い階段であった。


こんな空間に耐えられなく逃げ出そうともしたが、今までにないほどの高揚感と奇跡と未知を信じ塔の中に一歩足を踏み入れた。


塔の中に足を踏み入れた時中で響き左右から音が跳ね返っているようだったが、上から音は跳ね返ってこないようだそれほど長いのだろうか?


塔の一番上に何があるのか気になりすぎて、突然上へ走り出してしまったが階段を登るにつれ怖さも増してきた、上に何があるのかもしそれが怪物ならどうするかなども考えたがもうここまでして戻りたいとも思えずそのまま走った。


体力が多いとは言えチュテンも少し疲れてきたようだ、上から少し光が見えた。

その光を追い求めるように歩き登ると、塔の一部に穴が空いていて余裕でチュテンの頭を外に出す事ができ外に顔を出し様子を見てみると、外は暗く夜であった下を見てみるとかなり上まで登ってきたようだ、ほんの少し覗いていると目の前からチュテンを捕食するために嘴の鋭いサギのような鳥がこちらへ突き刺しにきたが、すぐに頭を引っ込めて鳥は諦め何処かへ飛んでいった。


長い間登っただろうにまだ上に辿り着かない、だがまだ体力はあるこの時のためと言っても過言ではないほど今まで体力はつけていたのだからまだ登れはする。


だが登れはするのにも関わらず精神状態が少し辛いような感覚に陥りそうだった、ただまだ諦めきれないこの上に同族がいるのかもしれない、皆が上に行ってしまって自分はこの陸に住まわされてしまっていた、そう考えるだけで心が軽くなりいくらでも登れそうだった。


完全に暗くなって戸惑い辺りをうろうろしだすと落ちそうになり、覚悟したがなんとか耐え一息ついた。


壁を触りながら階段を登ると宝石がそのまま埋め込まれているのか壁が青く光っていた、この光景はさすがのチュテンでも見た事がなくここまで来た甲斐があり笑顔を見せていた。


登っていけば行くほど色が濃くなり薄くなりを繰り返しているような光景が続いた。


腹が減ってきたが食料も何も持っていなくとても悲しくなりなんとなくこの後自分がどうなってしまうのか察する事くらいはできたが、そんな事を一度でもしてしまえば最後の力すらも振り絞らなくなってしまいそうで今はまだ察しなかった。


(ちょっと辛いな……)


また少し経つと今度は暗くなりすぎて何も見えなくなった、それと共に上から重低音で何かの音が聞こえてきた、動物の鳴き声ではなさそうだったが少しの可能性を信じてまた走り出した。


登って行くと扉が見えそこから音がしていたようだ、中に入ると腐った鳥の死体があったがそれを食べようとは思えなかった、さすがに腹が減っていようがそんな物を食べてまで空腹を満たしたくはなかった。


部屋を出てまた上に登り出した、上に登って行くと所々に穴が空いていてその穴から薄く透き通った月の光が漏れていた。


今チュテンのいる所は息がしづらく、走ると息がすぐに苦しくなってしまうそのせいで今も息を切らしていた。


今は諦めたいほどに辛くなって、涙が流れてしまいそうだったが今はまだ諦められない、皆の顔を見るまではと今は思っている、なんだか徐々に上に皆がいると確信を持っているかのような感情だった。


(疲れた、どうして僕がこんな事を、でも皆んなに会いたいんだ)


まだ心も幼くそんな小さな希望だけで上に辛くても登る事ができた、きっと成人していたなら変な理由をつけこの塔には永遠に登らず人生を終わらすだろう、だが登らないで死ぬまでずっとあの塔が気になりそのまま死んでしまう、そんなのだけは嫌だったのだろう。


今はただ歩き登っているだけだと言うのに息が苦しくなってきて、とても寒くなってきた。

唇が乾燥し体も震えてきた、きっと塔の最上階に近づいてきたのだろう、ただ登れば登るほど風の音も何もかも聞こえなくなっていき今はチュテンの足音以外に何も聞こえなくなってしまった。


今まで感じた事のない孤独感を今ここで感じてしまい、瞳に涙を浮ばせながら塔を登っていた。


このまま5分ほど登るとハッチが見え満面の笑みになりハッチを開けた、皆がここに待っていた!と上手い話があるわけもなかった。


「は?」


そこは美しい星がギラつきチュテンとそこにあったハープを照らしていた、こんな残酷で最低最悪な結果をチュテンは求めていたわけではあるはずがなく咄嗟に叫ぼうとすると、肺に空気中の酸素以外の何か棘のような物質を吸い込んでしまったのか咳をしていた。


誰も望むはずのない光景チュテンからしたら何もかもが上手くいっていなく咳をすればするほど喉を焼き付けるかのような痛みが襲ってきていっそのこと殺して欲しいくらいだった。


咳が止むと涙を流し小さな声で泣いていた、ここまで来てしまえば誰も助けてはくれない、いやそもそも最初から助けてくれる人間なんて誰もいなかったが、そう思うと塔に登っていた時とは180℃ほど心境が変わりもう全てを諦めた。


帰ろうとハッチを開けたが今さら戻ったところで空腹で死んでしまう事に気づきハッチを閉じた、何もする事がなくハープに近づいた。


ハープの使い方は分からなかったが弦を弾いてみた、すると綺麗な音がこの殺風景で幻想的な空間に鳴り響いた今まで生きていた中でこんなにも嬉しかった事があるだろうか、こんな酷い間に合い対価に見合わないような結末なのに何故か満足できてしまう。


今さらだが塔に登らなければとも思えてきた、いやあの時登ろうと決断した自分が愛おしくなり今は自分を嫌おうとするのはやめた。


「僕はこれを見るために塔を登ったのかな……」


そうだ最初から人がいない事なんて気づいてた、こんな塔の上で人間が生活できるわけがないそんな常識的な事は既に気づいていたのに少しの希望でここに来た、それはもう運命と言っても良い。


空を見上げて弦を弾き涙を流しながら誰一人として目立たないなんて事のないような星々を見て感動して、最後にチュテンは笑って目を閉じた。



最後にチュテンを見る事ができたのはこの夜空だけだった、この少年一人の行動で世界が変わったわけではないが少年の中では大きな物を手に入れそれ以外の全てを無くしてしまった、だがこの結果に悔いはなさそうな顔をしていた。



完 「星屑と踊った少年」

きっとチュテンはこの塔に入った瞬間から生きている間で一番楽しかったのだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ