野宿
ロイは小屋を出てから、森の中を歩いていた。
モーセルと過ごした時間は短かったが、そのおかげで、彼は心の底から安らぎを感じていた。
「俺は…自由になったんだよな」
ロイは自分にそう言い聞かせながら、少しずつ歩みを進める。
道なき道を進む彼の足元には、枯れ葉がカサカサと音を立ていて、風が木々を揺らし、その音が耳に心地よく響く。
しばらく歩いていると、森の中に小さな開けた場所が見えてくる。
ロイはその場所で一旦立ち止まり、リュックサックを下ろして座り込んだ。
「ここで少し休もう…」
リュックサックの中から水筒を取り出して一口飲んだ。
冷たい水が喉を潤し、体に少しの活力を与えてくれる。
「これから、どこに向かおうかな・・」
ロイは空を見上げながら考え込み、鉱山を脱出したばかりの今、自分がどこに向かうべきか、どのように強くなればいいのか、その答えを模索しているのだ。
「とにかく、まずはマカラート王国を目指そうかな…」
そう決めてから、ロイは地図を取り出してみる。
モーセルがリュックサックに入れてくれたその地図には、マカラート王国への道筋が簡単に示されていた。
「ここからだと、かなり距離があるなー」
しかし、今は進むしかないと思ったが、道中にどんな危険があるかもわからないため、地図をしっかりと確認しながら、歩き始める。
ロイの足元には土の感触と、風が頬を撫でる冷たさが、現実であることを教えてくれる。
道中、ロイはふとした瞬間に鉱山での辛い日々を思い出す。
重いツルハシを振り下ろし、体中が痛みに包まれていたあの頃。それでも、耐え抜いた。約束を果たすために。
「今の俺には、強い力が必要だ…」
ロイの中にはまだ知らない力が眠っているが、ロイ自身もそれを知らない。
ただがむしゃらに、強くならなければならないと思っているのだ。
森を抜けると、広い草原が広がっていた。
遠くには山々が連なり、その向こうにはマカラート王国がある。ロイはその景色を見つめていた。
その草原を眺めながらも歩き始める。
これからどんな困難が待ち受けているか、それは誰にもわからない。
だがらこそ、彼は自分を信じて進むしかなかった。
日が傾き始め、空が赤く染まる頃、再び森の中へと足を踏み入れる。暗くなり始める中で不安がよぎるが、安全そうな場所を探し野宿を考えていた。
(今日はここまでが、限界だな・・。)
夜が訪れると、ロイは小さな木の下に腰を下ろし、簡単な夕食を取ることにした。モーセルがくれた食料は、身体に必要なエネルギーを与えてくれた。
(これだけあれば、しばらくは大丈夫だな....)
少しずつ食べ物を口に運び、食べ物の温かさが心に安らぎを与えてくれる。外の冷たい風が頬を撫でるが、気持ちは暖かかった。
食事を終えると、ロイはリュックサックを枕にして横になる。星が輝く夜空を見上げ、シアを思い出しながら、ゆっくりと目を閉じるのだった。
(シア、元気でいろよ・・。)
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自身の創作小説です。
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