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呟き

 夜、ロイは鉱山の奥にある奴隷たちの寝床(ねどこ)へと歩いていく。

 体中が痛みで悲鳴を上げていた。


 石で覆われた寒い洞窟の中、奴隷たちは一言も交わさず、それぞれの場所に倒れ込んでいた。

 また、冷たい床に横たわり、疲れ切った体を何とか休めようとする。


(こんなところで…眠れるわけがない…)


 心の中で呟いたが、現実は容赦なく、体は動くことさえできない。

 昼間の重労働でできた豆は痛みを増し、肩や腕、足の筋肉がすでに悲鳴を上げていた。


 洞窟の天井を見上げても、そこにあるのはただの暗闇。

 家族の温かい家とは比べものにならない冷たさが、心まで凍えさせる。


「母さん…父さん…」


 小さな声で呟いたが、誰も答えてはくれない。

 それが、今の僕の現実だった。

 涙がこみ上げてきたが、泣いてもどうにもならないと、唇を噛みしめて耐える。


 隣では、他の奴隷たちも同じように疲れ切って眠ろうとしていたが、誰も一言も発しない。

 孤独が、胸にじわじわと広がっていく。仲間がいるはずなのに、この洞窟の中は限りなく冷たく、寂しい。


「どうして…こんなことになったんだ…...?」


 自問自答しながらも、答えなど出るはずがない。

 目を閉じても、暗闇の中で家族の顔が浮かんでは消えた。


 その時、近くから微かな声が聞こえた。


「君も…家族がいるの?」


 僕は驚いてその声の方を見た。

 暗闇の中に、同じ年頃の子供が目を()せたまま、こちらを見つめているのだった。


「…うん。いる。」


「そうなんだ......。僕も…家族がいてね。

 会いたいんだ…でも、連れ去られてからはこのまま…」


 その子の声には、絶望がにじんでいた。

 自分の孤独と恐怖が重なり、胸が締め付けられそうだった。


「きっと..会える!…絶対にな!」


 根拠もないことを奮い立たせるように発した言葉は、

 自分自身に向けられたものであることに気づきながらも、気づかない振りをする。


 その子は弱々しく微笑み、

「そうだね…きっと…会えるよね…。」


 その後、しばしの沈黙が流れたが、その小さな会話が、ロイにとっては大きな救いだった。

 たとえ暗闇の中でも、誰かと繋がっている感覚が、ほんの少しでも孤独を(やわ)らげてくれた。


「おやすみ…」ロイはそっと(つぶや)く。


「おやすみ…」その子も静かに答えた。


 ロイは目を閉じ、心の中で家族の姿を思い浮かべながら、冷たい石の床の上で眠りに落ちる。

 明日もまた、過酷な一日が待っていることを知りながらも......。

読んで頂きありがとうございます。


自身の創作小説です。

面白かったらいいね!をください。よろしくお願いいたします。

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