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ずっと、君と。2人の出会い編  作者: なめくじ
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5話: 優しさ


優夢と翔馬はクラスメイトとの楽しい時間を過ごしながらも、お互いの存在を大切にする関係は変わらなかった。


ある日の放課後、図書室で優夢は一人、本を読んでいた。風がさわやかに吹き抜け、心地よい静けさが広がっていた。


「優夢さん、何を読んでるの?」


翔馬の声に驚いて本を閉じ上げると、翔馬が微笑みながら近づいてきた。


「あ、これはファンタジー小説だよ。すごく面白いんだ。」


優夢は嘘をついた。


「優夢さんもやっぱり本が好きなんだね。」


優夢は微笑みながら頷いた。


「翔馬くんも読書は好きなの?」


「うん、特にミステリーが好きなんだ。」


彼の答えに、優夢は少し驚いた表情を見せると、翔馬はにっこり笑って続けた。


「優夢さんがファンタジーも好きっていうの、ちょっと意外だった。」


「そうだよね、」


少しの会話だけでも、お互いの趣味や好みについての理解が深まる瞬間だった。翔馬との何気ないやり取りが、優夢の心に温かさを運んできた。


その後も、優夢と翔馬は学校の外でも時間を共にする機会を増やしていった。街を歩きながらのおしゃべりや、図書館で一緒に本を探す時間など、お互いにとって特別な瞬間が積み重なっていった。


しかし、雨が降り出し、2人は駅のホームで待つことになった。


「翔馬くん大丈夫? 雨降ってきたね。」


翔馬は深呼吸をしてから、少し顔を上げて微笑んだ。


「うん、大丈夫。優夢さんは大丈夫?」


優夢は心の中で何かを思いついた。彼女は翔馬に傘を差し出した。


「これ、使っていって。」


翔馬は彼女の優しさに目を細め、傘を受け取る。


「ありがとう、優夢さん。」


「翔馬くん、風邪ひかないように気をつけてね。」


翔馬は彼女の言葉に微笑みながら答えた。


「大丈夫、ありがとう。」


優夢は少し恥ずかしそうに微笑んだ。雨の音と、駅の電光掲示板の光が、彼らのやり取りを包む静かな雰囲気を作っていた。


そして、やがて電車が到着し、2人は乗り込んで席に座った。翔馬は窓の外を見つめながら、思いを馳せているようだった。


翔馬は優夢の言葉に興味津々の表情を見せた。


「最初は君のクールな雰囲気に引かれて、そして厨二病の話を聞いて笑ったり、共通の趣味を見つけたりするうちに、だんだんと私の心の中で変化が生まれたんだ。君の優しさや一緒にいると感じる幸せな気持ちが、私にとって特別な存在になってきたんだよ。」


翔馬は驚きと喜びを込めて優夢を見つめた。


「本当に? 優夢、君と過ごす時間が、僕にとっても特別なものになってきているんだ。」


二人の視線が交わり、心の中で何かが確かなものに変わっていくのを感じていた。雨の音と電車の揺れが、その瞬間を包み込むようだった。


電車が次の駅に到着し、翔馬は立ち上がった。彼は優夢の手を優しく取り、微笑んだ。


「優夢さん、今日は傘ありがとう。」


優夢は恥ずかしさと幸福が入り混じった表情で翔馬を見つめた。


「いえいえ、気をつけて帰ってね。」


「うん、ありがとう。またね!」


「うん、ばいばい。」

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