1話: 中学への転校生
炎天下の下、新学期の始まりが近づいていた。夏休み明け、中学二年生の翔馬は、汗を拭いながら学校へと向かっていた。夏の思い出と共に、新たな出会いと友情が彼を待ち受けていた。
「おはよう!」
声に振り返ると、親しみのある顔が広がっていた。翔馬の友人たちも、夏休みの疲れを引きずりながらも笑顔で登校してきていた。
「みんなおはよう!夏休みどうだった?」
「楽しかった!海行って、花火大会も行った!」
「俺はお祭りに行ったり、友達と遊んだりしてかな!あれ、俺花火誘われてないやん!」
「わるい!花火は彼女と行ったんだよ!」
「羨ましいなリア充め!」
友人たちの楽しい会話を聞きながら、翔馬も自然と笑顔がこぼれた。新しい学期が始まることに期待とともに、夏の終わりを感じる切なさも胸に迫ってきた。
そして、その日の注目の存在が、クラスメイトたちの中にいた。それは、転校生の優夢だった。
優夢は鮮やかな笑顔で、クラスメイトたちと楽しそうに話していた。彼女の雰囲気が、どこか他の子とは違う魅力を放っているように感じられた。
「あの優夢って子、すごくオシャレだよね。」
「そうだよね、服装も個性的だし。」
友人たちの会話の中で、優夢についての話題が持ち上がった。翔馬も興味津々で耳を傾けていた。
教室に入ると、席替えの紙が置いてあった。
翔馬の隣には、優夢が座ることになっていた。彼女は明るい笑顔で、翔馬に声をかけてきた。
「こんにちは、私は釜須 優夢と申しますよろしくね!」
翔馬は彼女の笑顔に応えて、にっこりと微笑んだ。
「こんにちは、釜須さん、僕は辻川 翔馬です!よろしく。」
優夢の存在は、彼の心に新たな色を添えた。彼女の雰囲気に、翔馬はますます興味を抱いていった。
授業が始まると、教科書をめくる音が教室に響いていた。翔馬は隣の席に座る優夢をちらりと見つめながら、心の中で彼女に興味を寄せていた。
昼休み、友人たちと一緒にご飯を食べながら、再び優夢についての話題が持ち上がった。
「あの優夢って子、ほんとにかわいいよね。」
「確かに。」
友人たちの言葉に翔馬もうなずいた。他の子とは一味違う、優夢に興味津々だった。
放課後、図書室で静かに本を読む翔馬の元に、優夢が近づいてきた。彼女の存在が、静かな図書室に新たな風を吹かせていた。
「辻川くんもここにいたんだ。」
「うん、僕は図書委員だから。」
「辻川くん、オススメの本ある?」
「ん〜、どんなジャンルが好き?」
「う〜ん、恋愛モノかな?」
「それならこれとかオススメかな、」
翔馬は本を渡した。
「こ、これは!私、本もってるな。」
「あ、そうなのか、逆になにかオススメない?」
「そうね、私のオススメか〜ちょっと探してくるね!」
「うん。」
優夢は本を持ってきた。
「これ、どんな話?」
優夢は謎めいた笑顔を浮かべて言った。
「それは読んでからのお楽しみ。」
優夢の言葉に翔馬は苦笑いしながら、本を手に取った。何かを共有することで、二人の距離が少しずつ近づいていくのを感じていた。
夏の終わりから始まる新学期。翔馬は友人たちとの楽しい会話や、優夢との出会いを通じて、新たなる日々に向けて心躍らせていた。